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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第313話 絶望的な流行り病

 港まで来ると並べられたものの正体が分かった。


 ヒトだ——


 約50体程のヒトだった——


 人族、ドワーフ族、エルフ族、リンクル族と種族関係なしに並べられている。


 呼吸していない者が大半だが、弱々しくだが呼吸している者もいる。


 かすかな——


 息——


「ここは……」


『おそらくですが、死体置き場、もしくは見限られた者達が並べられた場所なのでしょうね』


「まだ息がある人が居る!行こう!」


 私はスコルの背中から飛び降りて呼吸していると思われる人の元へ——


 並べられた死体が邪魔だ——


『うちの身体をだして』


『ボクも~』


 鞄からミント用の人形と、ミスリル粒子を地面にだすと、二人が中に入り、ウッドゴーレムとミスリルゴーレムとして動き出した。


 ガシャガシャと——


 すでに亡くなっている者達を一か所に集め、まだ呼吸のある者達だけを残してくれた。


 丁寧に——


 優しく——


「あんた何やってんだ……、そいつらに近づくと病が伝染るぞ」


 遠くから私に向かって話しかけてくる人が居る。


 心配そうな声——


「大丈夫です」


 私の場合は保菌したらすぐアクアかエセリアが対処してくれると思っている。


 一人目の体をチェックをする。


『足の付け根を』


 ぇ~……。ズボンを下ろすのも気が引けるので、服の上から触ると局部の横付近に何かこぶのようなものがあった。


 硬いし大きく膨らんでいる——


「なにこれ?」


 アカネからの情報では魔素が枯渇するって聞いていたけども——


『どうやら、この病原菌は身体の防衛機構によって足の付け根や脇の下あたりに集められるようです』


「防衛機構と病原菌の争っている形跡ってこと?」


『えぇ、その通りです。以前、身体の防衛機構について話しを覚えていますか?』


「うん、外から入ってきた菌を体内にいる防衛隊が食べて終わるって話だよね?」


『えぇ、どうやらこの菌は特殊なようで、防衛隊に食べられても防衛隊の体内で増殖しているようなんです』


「ぇ?」


 そんな話聞いたことがなかった——


『そのため、防衛隊も必死に増員された結果、股の付け根や脇の下が膨れ上がるんです』


「ちょっとまって?どうやって治すの?」


『今までやっていた通りの対処で大丈夫ですが』


「あぁ、穴あきの針で治すのはいいんだけど、これって自分で治せないって事だよね?防衛隊が無意味なんて」


『その通りです、今まであなたに教えてきた病とは別枠と考えてください、見た感じ、その防衛隊を洗脳して正常な細胞を攻撃しているようなのです』


「えぇ!?防衛隊が乗っ取られるの!?」


『通常、防衛隊は菌を外に出さないよう砦……、股の付け根や脇の下の部分ですね、そこに閉じ込めます。しかし、この菌に操られた防衛隊は、自ら砦の門を開け、菌を血の川へと流し込んでしまうのです』


「それって、敗血症になるんじゃ!?」


『えぇ、その通りです。それを考えると、人の自然治癒能力は意味がないと考えられます』


「えぇ……」


 私は急ぎ穴の開いた針を患者の体に刺した。


 チクッと——


 エセリアが淡く光る。


 ふわりと——



『そして、亡くなった者達を見た結果ですが、どうやら体内に入り込みある程度増殖すると、魔素硬化症へ移行するようです』


「ぇ?」


 意味が分からなかった。なぜ魔素硬化症へ……?


『アカネが、魔素が枯渇する、回復しなくなると言っていましたよね?』


「うん」


『その原因ですが、ある程度増殖すると、菌が体内の魔素を集めはじめその部分が硬化していくんです』


「ぇ……、じゃあ魔素が回復しないというのは……」


『病原菌が魔素体内の魔素を根こそぎ集めるからです』


「ぇ、敗血症で死ぬのと、魔素硬化症で死ぬのってどっちが速いのかな?」


『おそらくですが、敗血症で亡くなる方が早いですね、魔素硬化症は大きい物でも1㎜ないくらいなので、死に至らしめるレベルではないです』


 ……、この話はよくない話だ——


「あのさ……、敗血症ってことは血管内に、菌がいっぱいいて、肝臓、脾臓、腎臓、肺なんかに侵入して~ってことだよね?」


『そうですね』


「ってことはだよ……、全身の複数の臓器で魔素硬化症というか、魔石のようなものができてるってことじゃない?」


『まさにその通りです。複数個所に魔石化している形跡がみられました』


「えっと……、最悪全身から取り除く手術が必要になる可能性があると……」


『えぇ、ここからは可能性の話になります』


「うん?」


 まだ何かあるのだろうか?


『おそらくなのですが、体内魔素の量が多い人ほど魔素硬化症の進行が速くなると思います』


「ぇ?」


『先ほど菌が魔素を食らうと言いましたよね』


「うん」


『死体を見る限りですが、僅かながらですが人によって魔石化した部分大きさに違いがみられるのです』


「その人の体内魔素の量による違いの可能性があると……」


『えぇ、その通りです、そこは詳しく研究なりしないと分からないのですが、可能性は十分にあると思います』


「……、そっか……」


 魔素の枯渇原因は病原菌にあるとして、問題は魔素硬化症に発展していた場合の対処法の方が怖かった。


 恐ろしい病気だ……。


 その後も、息のある人に針を刺し、エセリアの浄化または、アクアのアクアクリーンで治療活動をしていった。


 一人——


 また一人——


 淡々と——


 チクッと針を刺す——


 ふわりと光る——


 繰り返す——


 アクアの話からは幸い、助けた人たちは、身体のあちらこちらに菌が散っていたものの、魔素硬化症には至ってない事が聞けて一安心した。


 ほっとする——


 でも、まだ、やることはたくさんある——


 その後、港で私に声をかけてきた人に許可をもらい、死体を燃やした。


 グレンが、炎を赤々と燃え上げる——


 煙が、空へ昇っていく——


 私は、黙ってその様子を見守った——


 助けられなかった人たち——


 ごめんなさい——


 心の中で祈る——


 どうか安らかに——


読んでくれてありがとうございます!


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