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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第307話 樹海と岩山

 翌朝——


「ミャ!」


「ミャ~」


「ミャ」


 キャットバット達が私の顔をぺちぺちしながら鳴く。


 柔らかい肉球——


「ん……」


『餌をくれる人って思われてる!』


 フゥが笑っている。


「ゴールデン・ヴァインの香りだけだったはずなんだけどなぁ……」


 鞄から昨夜小さいキャットバットの子に出した肉を出すと、キャットバット達が一斉に飛びついた。


 わっと——


 ただ、昨夜肉を食べたキャットバットだけは、見向きもせず私の手におでこをくっつけていた。


 すりすりと——


「えっと……」


「ラミナ君を母親と思っているようですね」


「甘えてるんですかね?」


「そうですね、まぁ当然の欲求といったところです。その子だけでもポケットとかに入れておくと良いですよ」


「他の子は?」


「小さな鞄が空いているのでそこに入ってもらいましょうか」


「残りの子がそんなところに入るんですか?」


「えぇ、本来彼らは狭いところを好みますからね」


「外敵から襲われないようにするためだな」


「そうです、まぁ、アリアナ君が身に着けているレッグバッグも私が持っているポーチもマジックバッグ系ですからね、その子らを入れる小さなバッグはこれしかないんですよ」


「じゃあ、馬車から降りる際に入ってもらう感じですかね」


「いえ、今日の移動は馬車を使いませんよ」


「ぇ?」


「今日は樹海を突っ切ります。ラミナ君は強化魔法は問題ありませんよね?」


「はい、大丈夫です」


「結構、シアトン方面に抜ける予定でしたが、アリアナ君の仲間からの連絡で知ったのですが、町の門を閉じているようでして、シアトンを経由する理由がなくなってしまったんですよ」


「入れないって何かあったんですか?」


「いや、大きな理由はないな、どうやら戦に巻き込まれないようにという理由らしい」


「シアトンからロスロイは半日ほどの距離ですからね、なのでこのまま樹海を最短で突っ切り、そのまま二つ目の山を越えます」


「一直線、魔物とか大丈夫なんですかね?」


「そこらへんはラミナ君の側にいる精霊達が何とかしてくれると思っていますよ」


『それくらいのことは任せろ』


『ミントとまん丸は、みんなの足場の確保と先導を、フゥとグレンが襲ってくる魔物たちの対処、私とエセリアは護衛といったところでしょうか』


『ええで』


『ボクもそれでいいよ~』


『まっかせて!』


 エセリアもニコニコして頷いていた。


「大丈夫そうです」


「ありがとうございます。朝食を終えたらすぐに出発しましょう」


 私達も軽く朝食を済ませてすぐに出発することにした。


 キャットバット達を鞄に詰め込むと、「ミャ」「ミャ」「ミャ」「ミャ」と騒ぐが、鞄から出てくるようなことはなかった。


 一方一番小さいキャットバットは、私の着ている治癒院の制服についている胸ポケットに入れた。前足と顔だけ出すと「ミャァミャァ」と鳴いていた。


 可愛い——


 温かい——



 小屋の外に出ると——


『崩していい~?』


「まん丸が崩していい?って」


「えぇ、構いません、ありがとうございます」


『は~い』


 まん丸が返事をすると同時に、昨夜まで使っていた小屋が支えを失ったかのようにべしゃ~っとつぶれた。


 バサッと——


「ふ~む、この中で足が遅そうなのはぼくですかね?」


「だろうな、私は問題ないし、ラミナに至っては例外だろ」


「そうですね、魔素の量が違いすぎますからね、それでは、ぼくが先頭で、アリアナさんとラミナ君でいいですかね」


「あぁ、異議はない」


「私もです」


『ほなら、うちとまん丸に魔素を分けて』


「うんうん、いいよ」


 多分姿を見せて先導するためだろう。


『ほなもらうで』


『ボクはあとでいいや~』


「ぇ?」


『樹海の中はうちが案内すんねん』


「あぁ、山はまん丸が~ってことね」


『そそ~、でも、道を作るから都度貰うよ~』


「は~い」


 ミントが私から魔素を受け取ると姿を現す。


 ふわりと——


「これはこれは、道案内を?」


「うちの後についてきてや」


「お願いします。それでは行きましょうか」


「あぁ」「はい」


 そして、ミントを先頭に樹海の中へ突入した。


 しばらく樹海の中を走っていて思う、細い道を作るのかと思っていたが、大人3人位が横並びでも問題ないくらいの幅の道が出来ている。


 生えていた木々は道のわき側に倒れたり、草は抜かれ道のわきへ、岩はどんどん削れて道になっている。


 ゴゴゴと——


 音を立てて——


 地面の凹凸に合わせてだからか、上ったり下ったりが非常に多い気がするが、十分すぎるくらい快適な感じがした。


 風が気持ちいい——


「なんというか……、精霊が側にいると色々便利だな……」


 走りながらアリアナが言った。


「えぇ、本当に」


「みんなが色々と助けてくれます」


「そのようだな、ガレスから聞いたが、料理もしてくれるんだろ?」


「まん丸の事ですね、おいしいものが食べたいときはすすんで料理してくれますね」


「本当に何でもありだな……」


「リタ君と一緒の時にごちそうになったことがありますが、彼の料理はとてもおいしいですよ」


「そうなのか……」


「今度、機会があれば作ってくれると思いますよ」


「そうか、期待しておこう」


 軽い雑談を交わしながら、樹海を走っていると——


『そろそろボクが~案内するよ~』


 そういうとまん丸が私から魔素を受け取り姿を現した。


 そして次の瞬間、辺りが開けて岩山エリアに入った。


 視界が広がる——


「ほな、うちはここまでや、あとは頼んだで」


「は~い」


 先導がミントからまん丸に代わる。


「まん丸君ですね、お願います」


「は~い」


 先導し前を見ながら答える。


「料理上手な精霊とは君の事なのか」


「そうだよ~、アリアナは何が好きなの~?」


「そうだな、肉でもいいが、魚だな」


「そっか~、落ち着いたら作ってあげるよ~」


「それはありがたい」


「うんうん~」


 岩山では、足元付近は小さな石を突き詰めたような道が出来ていく、急斜面は削れ、斜めに駆け上がれるような斜面が出来たり、時には岩の中央が削れたりして道ができていた。


 ガリガリと——


 岩が削れる音——


「時々上空のロックバーンが燃えてるな……」


 アリアナがそういうので上を見ると、火に包まれた何かが落下しているところだった。


 ゴォォと——


 炎を纏って——


「そのようですね、山の主も精霊達の相手ではないんでしょうね」


『当然だ』


 グレンの声——


 頼もしい——


 そんなことを話しながら岩山を駆け上がっていると、ようやく尾根伝いに到着し——


 眼下には——


 広い海——


 遠くには大きな船が停泊し——


 手前の陸地には——


 ロスロイと思われる大きな町——


 そして——


 その外に——


 敵対するように張られた陣営があった——


 緊張感が——


 伝わってくる——


読んでくれてありがとうございます!


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