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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第302話 ロスロイへ

 辺境伯とのやり取りが終わり屋敷の外に出ると、治癒院のシンボルとウォンバルの横顔が描かれた旗だけではなく幌馬車も用意されていた。


 立派な馬車——


「これなら、盗賊とはいえおいそれと手を出さないでしょう?」


 プライム辺境伯が言った。


 私としては、普通のシンボルマークなんてない馬車でいいのにと内心思っていた。


 目立ちすぎるし——


「そうですね、しいて言うなら道中も人が集まりそうですが、情報収集の場として割り切りましょうか」


「治療を求められたらどうするのだ?」


 アリアナがヴィッシュに向かって言った。


「対応するしかないでしょうね。進むのが遅くなりそうなら別の手を打ちましょう。ラミナ君、鞄の中に馬車は入っていますか?」


「多分?」


 念のため鞄の中に手を入れ念じてみると、幌付の馬車が出て来た。


「進むのが遅くなりそうなら、そちらに移りましょうか」


「馬の方はどうしますか?用意できますが」


「あ、ルナが居るから大丈夫です」


 ミント達と同じサイズになっていたルナが大きくなり姿を現した。


 真っ白な馬——


「これはきれいな白馬ですな」


「ラミナ君、その子も精霊なのですか?」


「はい、夏休みにアカネからもらいました」


 ちょっと違うが問題ないと思う。


「そうでしたか。見た感じ属性精霊というよりは幻獣種といったところですかね」


「確かペガサスの幼獣と言っていました」


「それはまた、伝説上の生き物ですね……」


 プライム辺境伯がなんともいえなさそうな表情を見せていた。


 困惑している——


「となると、休みなく走り続けたり出来るのですか?」


「多分?魔素供給し続ければできるんじゃないですかね?」


「ブ、ブブブ」


 ルナが私の方を見て頭を上下に振っている。


「人の言葉を理解しているようですね……」


「多分理解していると思います」


 ルナからの返答は分らないが、こちらの言葉を理解している節々は感じている。


「そうですか。ルナ君、君一人で馬車を引けますか?」


 今度はヴィッシュの方を見て頭を上下に振った。


「それではルナ君に引いてもらいましょうか」


 ヴィッシュが馬車とルナをつないだ。


「大丈夫ですか?」


 ルナがヴィッシュを見て頷く。


 力強く——


「それでは行きましょうか」


 ヴィッシュが御者席に座り、私とアリアナが馬車に乗り込む。


「あれ?ウッズ院長は?」


「途中で拾いますよ」


「道中お気をつけて」


「プライム君も、感染しないようにしてくださいね」


「はい、わかりました」


 馬車がゆっくりと動き出し辺境伯邸を出る。


 ガタガタと——


 揺れる——


「ルナ君はすごいですね、こちらで何かする必要がないですね」


「行先を伝えれば勝手に走ってくれます」


「そうですか、賢い子でほんと助かります。それでは北門までお願いします」


 ヴィッシュの言葉にルナが二度頷き、駆け足を始めた。


 速い——


 でも揺れは少ない——


「ヴィッシュよ、ルートはどのように行くのだ?この先のルートは複雑だが」


 アリアナが尋ねた。


「そうですね、最短で行きたいところですが、険しいと聞きます。なので少し遠回りになりますが、山を二つ越えるルートでよいかと思いますが、どう思いますか?」


「人里も少ないし構わない」


「そうですね、その分魔物の多いエリアにはなりますが、そこはラミナ君の精霊達が教えてくれるでしょう」


『まっかせて!』


『この先の事を考えると、索敵はミントとまん丸に任せましょうか』


『ええで~』


『は~い』


『ぼくは!?』


『フゥは魔物討伐担当でいいんじゃないですか?』


『だな、メインの護衛は俺がやろう』


『では、護衛はグレンとエセリアで、私は都度臨機応変に動くとしましょう』


 エセリアがニコニコして頷いている。


 精霊たちの役割分担も決まったようで——


---


 その後、北門でウッズ院長と話をしたが、別で行動するとのことで、私たち3人は、プライヤーの町を出た。


 石畳の道から——


 土の道へ——


 パカパカと——


 ルナの足音が響く——


 町が遠ざかっていく——



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