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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第18章 動き出す厄災、救国の聖女

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第301話 合流

 コンコンと——


「はい、どうぞ」


 扉が開き、見慣れた顔が現れた。


「やぁ、ラミナ君。久しぶりだね」


 ヴィッシュ先生とウッズ院長だった。


 相変わらずの穏やかな笑顔で、白衣を着ている。


「ヴィッシュ先生!」


 私は駆け寄った。


「ふふ、元気そうで何よりだね」


 温かい——


「先生も、お元気そうで……」


「まぁね。色々あったが、なんとかやっているよ」


 アリアナが一歩前に出た。


「はじめまして」


「アリアナさんですね、ガレス君から聞いていますよ」


「そうか」


「それで、ラミナ君のほうはいかがでしたか?」


 ヴィッシュが、ウッズ院長に尋ねていた。


「いやはや、すごいですね。何度か彼女の手術に立ち会わせてもらいましたが、その年で色々な病に対応できる応用力と考え方がねぇ。救国の聖女と呼ばれるのも納得ができます」


「そうでしたか。私も王都に行った時"救国の聖女"という単語を聞きましたが、やはりラミナ君の事でしたか。なんでもウォンバル様に会ったりしたようだね」


「はい、暇つぶしで会いに来たようでした……」


「なるほど、天神様とは違い大雑把な方とは聞いたことがありましたが……」


「そうなんですか?」


「えぇ、昔リタ君と一緒に、天神ファラドラ様にお会いしたことがありますが、細かく対応してくれる方でしたね。一方地神ウォンバル様は気分屋だったりするところがあると、その時聞いたことがあるのです」


 気分屋ね——


 確かに自由気ままな感じもしたし、気分屋なのかもしれない。


「そうなんだ……」

 

「えぇ、早速ですがこの先どうするか決めましょうか」


「はい」


「現状ですが、ノルトハイムにて、ガレス君から第二王子のエドワード君の保護亡命について聞きました。なので第一王子のアルベルト君も同じような状況だったためそのままガレス君に身柄を預けています。エリザベス王女の方はとても王位継承権を放棄しているためかそういったことはないようでしたので、そのままガレス君の元に居ます」


「はい、以前アリアナさんから聞きました」


「そうでしたか」


「あの、クレイジーラットがロスロイに上陸したと聞いたので、ロスロイの方に行こうと思っています」


「なるほど、ロスロイですか……」


 ヴィッシュがアリアナの方を見る。


「現在ロスロイは、メレス解放軍と名乗るレジスタンスが占拠しているな。それと同時に王代理軍がロスロイを解放するために軍を差し向けたといったところだ」


「ぇ、戦が起きてるんですか?」


「あぁ、この1か月で三度ぶつかっているな。おかげでロスロイ周辺は荒れている」


---


「クロウ君とヤーハン君の方はどうですか?」


 ヴィッシュが尋ねた。


「最近は連絡取り合っている形跡がないな。ヤーハンがクロウを見限ったのか、はたまたその逆か……」


「そうですね、彼らの性格を考えると、クロウ君は念願の権利を手に入れてヤーハン君を捨てたというのが私の考えですね」


 利用されるだけ利用されてポイってことなんだろうか?


「国の乗っ取りにヤーハンって人が貢献したりしたんじゃないんですか?」


「その通りだと思いますよ。ただヤーハン君は地位とかにあまり固執するタイプではありませんでしたからね。自ら提案した策等がどのような結果をもたらすのか、そういった実験と経過、結果のほうが好きなタイプでしたからね。なので私としては、クロウ君の目標は達成したから次の段階へといった認識ですね」


 そういえば以前も、ヴィッシュがヤーハンの性格で、そういったことを言っていた気がする。


「解放軍と王国側の争いとその結果を見守っていると」


「えぇ、それが私の考えです。ヤーハン君はノルトハイムに居たままですか?」


『えぇ、移動とかはしていませんね』


「あぁ、動きはないな」


 アクアとアリアナの声がかぶる。


「鳥使いを経由して解放軍にアプローチはしている様子は?」


「あるな、以前より頻度は高い」


「なるほど、クロウ君の周辺を探りつつ、解放軍への手助けをしているというのが現状かもしれませんね」


「だろうな」


「こちらの、というより、ラミナ君の動きを警戒している様子なんかはありますか?」


「あるな。奴の手下を何人かこの町によこしているが……」


「対策していると」


「あぁ、当然だ」


 対策って消してるって事かな——


「そうですか。ロスロイは戦地という事を考えれば、大勢で行くのもあれですね」


「だろうな。こちらは士気は高くても練度が低い」


「えぇ、ですが旗があるんですよね?」


「治癒院とウォンバル様の旗ならプライム辺境伯が大量に用意してくれている」


「えぇ、そのようで、町の城壁に掲げられていましたからね」


---


「そうですね~、最初はここにいる四人で向かいましょうか」


 私は辺りを見ると、今この場にいるのは、私、ヴィッシュ、アリアナ、ウッズ院長。


「ぇ?ウッズ院長もなんですか?」


「えぇ、彼は治癒師としてももちろんなのですが、彼のスキルが強いですからね」


「スキル?」


『彼のスキルは言霊。一部の感情操作が出来たり、味方に暗示という名の強化魔法に似せた物をかけることが出来るんですよ』


「私のスキルは言霊なんですよ。なんで落ち着いてもらったり多少の疲れをとったりすることが出来るんですよ」


「そんなたいそうなスキルじゃありませんよ……」


「それに、彼なら気持ちの面からくる不調は簡単に治せますからね」


「そうなんだ……」


 便利——


「アリアナさんもそれでいいですか?」


 ヴィッシュがアリアナに尋ねる。


「構わない。もとよりラミナの専属だからな」


「そうだったの!?」


「あぁ」


---


「なら決まりですね。プライム君のところに向かいましょうか」


 私は違和感を感じた。ヴィッシュが、相手の名の後に君付けするのは元アカデミー生の事が多い。


「あれ?辺境伯を知ってるんですか?」


「えぇ、彼は元々貴族科の生徒ですからね。それに、今回この町を待ち合わせにしたのは、君とエリナ君を引き合わせるためでしたからね」


「そうだったんだ……」


「結果的に、君は、プライム辺境伯と会い、エリナ君を治療した」


「そうですね……、読んでたんですか……?」


「えぇ、ある程度はね。ウッズ君とプライム君からエリナ君の病の事はルマーンにいる時に聞いていましたし、プライム君からは助けてほしいと依頼も来ていました」


「そうなんだ。もしかして治癒師の人が捕らわれていたのも?」


「えぇ、二人から聞いていましたね」


「そうなんだ……」


 すべて——


 ヴィッシュの思惑通り——


「さぁ、プライム君のところに向かいましょう。クレイジーラットの件が本当ならこの辺りでのんびりしているわけにはいきませんからね」


「わかりました」


---


 その後、ヴィッシュ、アリアナ、私は、プライム辺境伯邸に向かった。


 石畳の道を——


 パタパタと——


 足音が響く——


 町の人々が、私たちに気づいて頭を下げる。


「聖女様……」


 温かい視線——


 でも——


 重い——


---


 領主邸の門が見えてくる。


 衛兵たちが、すぐに門を開けてくれた。


「ラミナ様、お待ちしておりました」


「ありがとうございます」


 中に入ると、プライム辺境伯が執事と共に待っていた。


「ラミナ殿、そして……ヴィッシュ院長!」


「やぁ、プライム君。久しぶりだね」


 二人が握手を交わす。


「本当に久しぶりです。まさかこのような形で再会するとは」


「人生、何が起こるかわからないものだね」


 ヴィッシュが穏やかに笑った。


 応接室に通され、私たちは席についた。


「それで、ロスロイに向かわれるのですか?」


 プライム辺境伯が尋ねた。


「えぇ」


「そうですか……ここ最近レジスタンスと王国側との衝突があったようですが大丈夫ですか?」


「そのために我々四人で向かいます」


「わかりました。必要なものがあれば、何でも言ってください」


 ヴィッシュが色々と受け答えしてくれるおかげで私はただ側にいるだけだった。


 私は、窓の外を見た。


 青い空——


 穏やかな風——


 でも——


 これから向かう場所は——


 戦地——


 厄災——


 そして——


 この国の未来がかかっている——


読んでくれてありがとうございます!


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