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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第17章 メレス再び

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第281話 合流

翌朝——


 目を開けると、目の前にまん丸のお尻があった。


 どうやら私の顔の上で休んでるらしい。


 実体がないとはいえ、こころなしか息苦しい気がする。


「まん丸……」


『ん~、起きた~?』


 のんきな声だ。


『おまえもやろ』


 ミントが突っ込むと、まん丸が私の顔からふわふわっと飛んでどいてくれた。


「おはよ~」


『おはようございます。ヴィッシュが昨夜到着されて、治癒院で待ってますよ』


「ん、了解」


 体を起こす。


 窓から朝日が差し込んでいる。


 清々しい朝だ。


 顔を洗い、髪を整え、服を着替える。


 さっと身支度を整えて、すぐに宿を出た。


---


 外に出ると、朝の冷たい空気が肺に入ってくる。


 気持ちいい。


 空は青く澄んでいる。


「治癒院の場所ってどこ?」


『こっち!』


 フゥが前を飛んで案内してくれる。


 早朝だからか、人が少ない。


 商店はまだ閉まっている。


 パン屋から、焼きたてのパンの匂いが漂ってくる。


 お腹が鳴りそうだ。


 静かなマッシュの町の中を歩く。


 石畳の道を、コツコツと靴音を立てて進む。


 鳥のさえずりが聞こえる。


 平和な朝——


 すると、大きな白い建物が見えてきた。


 二階建ての立派な建物だ。


 壁は白く塗られていて、清潔感がある。


 入り口の上に、治癒院特有のエンブレムが掲げられている。


 二枚のヒール草がクロスし、その上から白い鳥が両翼で包み込むようなシンボルマークだ。


『ここ!』


 フゥが建物の前で止まる。


「フゥ、ありがとう」


---


 扉を開けて中に入る。


 ギィ——


 木の扉が軋む音が響く。


 中は広々としていて、清潔だ。


 白い壁、木の床——


 薬草の匂いが漂っている。


 消毒液のような、でも優しい匂い。


 奥に、ヴィッシュと治癒院の職員と思われる女性が話をしていた。


 女性は30代くらいだろうか。


 白い治癒師の服を着ていて、髪を後ろでまとめている。


 優しそうな雰囲気だ。


「おはようございます……」


 声をかけると、ヴィッシュが振り返る。


 気づいて、駆け寄ってきた。


「ラミナ君、来てくれたね。すまない、待たせてしまったね」


 ヴィッシュが申し訳なさそうに言う。


「いえ、大丈夫です」


「昨夜遅くに着いてね、宿を探すのが遅くなってしまって」


「ヴィッシュ先生、そちらの子が?」


 女性が近づいてくる。


 柔らかい足音——


 穏やかな笑顔だ。


「えぇ、ラミナ君、紹介しますね。マッシュの町の院長をしているアメリア君です」


 ヴィッシュが私とアメリアを交互に見る。


「ラミナです。よろしくお願いします」


 頭を下げる。


「アメリアです。よろしくね」


 アメリアが優しく微笑む。


 温かい目——


 安心感がある。


「まだ若いのに、いろいろな治療法を考えた子って聞いて驚いたわ」


「いえ、まだまだです」


「謙遜しなくていいのよ。ヴィッシュ先生から色々聞いているわ」


 アメリアが目を細める。


「さて、それでは本題に入りましょうか」


 ヴィッシュが真剣な表情になる。


「アメリア君、状況を説明してもらえますか?」


「えぇ」


 アメリアが頷く。


 三人で、奥の部屋に向かう。


 廊下を歩く——


 足音が静かに響く。


 部屋に入ると、テーブルと椅子が置いてあった。


 シンプルだけど、清潔な部屋だ。


 窓から朝日が差し込んでいる。


「座ってください」


 アメリアが促す。


 椅子に座る。


 ヴィッシュとアメリアも座る。


「さて、どこから話しましょうか……」


 アメリアが考え込む表情になる。


 これから、どんな話が始まるんだろう——


 緊張が走る。


読んでくれてありがとうございます!


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