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第183話 バトラス要塞

 目を開けると見知らぬテントの中にいた。


「あれ?」


「気づきましたか?」


『リリアンがルナから落ちるラミナを支えてくれたんやで』


 体を起こして辺りを見渡すと、開いている部分から、強めの雨が降っていて外を走る騎士の姿が見えた。


 おまけに、アクアがお姉さんの姿で実体化していた。


「ここは?」


「バトラス要塞です」


「ん?どこそれ?」


『崩れた砦~』


「あぁ、そこの名称がバトラス要塞だったんだ」


『せやで、ってか、なんであの魔法つこうたん?』


 あれ?

 ダメだったのかな?

 私の中ではベストだと思ったんだけど?


「ダメだった?」


『ダメと言うよりは、新しい問題が発生したってとこだな』


「そうですね、あの魔法を教えたときの注意事項を覚えていますか?」


 注意事項……?

 なにかあったっけ?


「ん~ごめん覚えてないかも」


『せやろなぁ、覚えとったら使わんやろ』


「あの魔法は術者の魔素に応じて範囲が決まります」


「うん、それは覚えてるよ」


「そして、魔法で放たれた水は蒸発するんです」


 うん?


「何か問題あった?」


『あのね、この国とミネユニロント王国の一部の水が干上がったんだよ~』


『蒸発した大量の水が入道雲形成してこの辺り一帯が土砂降りになってるんだ』


 現在進行形?

 蒸発から雨ってそんなに早いの?


「まぁ、全ての水が蒸発したおかげで干上がった川を渡ってここに来たんですが」


「この土砂降りで崖崩れとか、この前みたいな川の氾濫とかが……」


「そうです、クリスタル・マリナーは禁呪と呼ばれるレベルの魔法ですからね」


『ラミナの魔素限定やったから、この程度で済んでんで』


 そういや、キラベルでファラに強すぎる魔法を使った結果、気候に影響を与えて常に雪が降り続ける町が出来た話をしていたのを思い出した。


「んと、サウスラーベンの話とかって……」


『えぇ、あれは術者の魔素じゃなく、大気中の濃い魔素を使ったクリスタル・マリナーの影響ですね、定期的に発動しているために大気中が冷え、対象不在で氷の刃にならず蒸発しているから雲が出来、雪が降り、ある程度時間がたつと、次の……といったループを繰り返すという悪循環が続いているんです』


 危ない危ない、自分の魔素指定しておいて良かった……。


「そっか、ごめん?」


「済んだ事は仕方ありませんよ」


『だな、これからどうするかだ』


「今の現状は?」


「生存者の救出に関しては既に完了しています」


 そんなに一瞬で終わる?


「ぇ?あれ?私そんなに長く寝てた?」


『ゆうても24時間くらいやで』


 丸1日と……。

 ここで不思議なことに気づく、いつも寝るときに魔素を空っぽにするわけだけど、9時間程で起床している。なぜ24時間も続けて寝てたんだろうか?


 アクアが大人の姿で実体化していることと関係あるのかな?


「私魔素が無くなって、意識を失ってたんだよね?」


「そうですね」


「今までこんなに長く意識を失ってたこと無いよね?もしかしてアクアが実体化しているのと理由があるのかな」


「そのことでしたか、まず私が実体化してこの姿で居るのは、必要以上の水を魔素に返還しているためです」


 水を魔素に返還?

 魔素から水が出来るならその逆も出来そうではあるけど、初めて知ったかもしれない。


「うん」


「そして、ラミナが長時間寝ていたのは、私がラミナに戻した魔素を、地の子ども達がゴーレム化するためにラミナの魔素を根こそぎ持って行っていたからです」

「じゃあ魔素切れを何度か繰り返していたと」


「そういうことです」


 それで救助が早く終わったならそれでいいけども。


「アクアは水を魔素にすることが出来るの?」


「教えたことありませんでしたっけ?」


「うん、初めて聞いたかも」


「私は水や氷等水から出来ている物なら魔素に返還することが可能ですよ」


 精霊だから出来るって事だろうか、そうなるとまん丸は石や土を魔素にすることが出来るって事かな?


「あとは、私に魔素を戻すって?」


「ラミナの魔素が水属性なので私の魔素をそのまま戻すことが出来るんですよ」


 アクアが“そのまま”と言うことは、属性が違うミントやグレン、まん丸、フゥは少なくなるとかそういうことなのかな?


「とりあえず理解した。第2の隊長さんの所に案内してくれる?」


「構いませんよ、こちらです」


 体を起こしてアクアの後についていく、あれ?


「ローブ着てたのに支えてくれたの?」


「詠唱終わって前に倒れたときにフードが外れましたからね」


「あぁそれで、ネッシアンは?」


『ミンチになって消えたな』


『細切れ!』


『オーバーキル~』


「あれ?そんなレベルの攻撃になったの?」


 思えば、この国とミネユニロント王国の一部の水が干上がったと言うくらいだし、それだけの大量の水がネッシアンに攻撃を加えたって事だろうか?


「察しの通りですよ、あの規模の攻撃を耐えれられるのは私しか居ませんよ?」


 それは水属性の魔法だからアクアには魔素に変換されるからってことかな?


「水属性魔法だから魔素に変換しちゃうからってこと?」


「えぇ、その通りです」


『グレンだったら一瞬で死ぬね!』


『うるっせぇよ!おまえもだろうが!』


『うちらじゃ耐えられんて』


『ボクもあの量の攻撃はちょっとやだなぁ』


 改めて水の力って偉大かも?


 そんなことを考えながらアクアの後についていった。


 周りの騎士達が私を気にしているようだけど何で?


 そんなことを思いながらアクアの後について行った。


 ついて行った先の扉を開けると、そこには顔立ちが整っている美人どころのエルフの女性が居た。



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