第180話 レジスタンス
コーレンの町が見える所まで来た。
「中に入って良いの?」
『えぇ、その前に』
わずかにアクアが光った気がした。
「何かしたの?」
『町の方々の洗脳状態を解いたんですよ』
「あぁ、プロパガンダの……」
『そうです。これで大丈夫ですよ』
「ん、ありがとう、ルナもここまでありがとうね」
『ブブブ』
と鳴くと、膝をついて私が降りやすい体勢を取ってくれた。
ルナから降りると、ルナは精霊達と同様の姿になった。
「ローブはこのままで良い?」
『えぇ、脱いでも大丈夫なときは言いますよ』
多分しばらくは脱げないんだろうなって思った。
町の中に入ると、これまでの町とは違いなんとなくだけどピリピリしていた。
「なんか空気おかしくない?」
『戦時ですからね、それにこの町はレジスタンスの拠点があるんですよ』
「レジスタンス?」
『現国王に対して不満を持っている者達の集まりだな』
『国王をぶっ倒して、みんなでええ国作りしようとしよるんや』
「味方って事?」
『そうなるね~』
『完全に味方じゃ無くても協力は出来るんじゃない?』
これは接触すべきなんだろうか?
「レジスタンスの人と会った方がいい?」
『そうですね、ですが、今日は宿で休みましょう』
「ぇ?」
カバンから時計を出して確認すると、時刻は15時前だった。
「はやくない?」
『そうですけど、夕べあまり休んでないでしょ?』
『ずっと火事みとったもんな』
『だな、体に無理が来る前に休んだ方が良いぞ』
私の中ではまだ活動できるくらいの体力はあるつもりだけど、精霊達がそう言うなら従っておこう。
「分かった。宿に案内して」
『その前にご飯食べよ~よ~』
お昼食べてないし、そうしようかな。
「じゃあ、まん丸お願い」
『は~い』
『相変わらずご飯のお店選びの係なんだね』
フゥがそう言うって事は、リタの時代にもまん丸が選んでいたんだろうと容易に想像が出来た。
『そうだよ~、美味しいもの食べたいじゃない~』
『まぁね~』
その後まん丸のおすすめのお店で、遅い昼食をとり、町の露店で野菜や果物などの食べ物を購入してから宿に入った。
宿屋の客室でくつろいでいると。
『ラミナ、ちょっとええか?』
「ん?」
『この町のレジスタンスの話だ』
「ん?なんかあるの?」
『まずこの町でレジスタンスのトップを務めているのは、第2騎士団のリリアン・スターブレード団長です。同様に第3騎士団ガレス・ストームブリンカー団長もレジスタンスの一員です』
「騎士団の人達が?」
『えぇ、騎士団も一枚岩ではないんです』
『だな、ほかの騎士団もレジスタンスに入っているようだが、まずはリリアンに接触すべきだろうな』
『だね、彼女をずっと見てたけど、ラミナが近いうちに接触するのを知ってるよ』
未来を知る事が出来るって事?
「ぇ?なんで?」
『彼女のスキルは占星術なんですよ』
「占星術?」
『星の流れや動きでちょっと先の未来を読むんです』
「それで、私と近々接触する未来を見ていると」
『えぇ』
国王に刃向かう以上何らかの背景があるって事だろうか?
「どんな人なの?」
『リリアンは元々国家の最高顧問としてステルツィア王国の繁栄に努めていたみたいなんだけど、王の暴政に耐えかねてレジスタンスを立ち上げたみたいだよ』
フゥが教えてくれたけど、プロパガンダの影響を受けていないって事だろうか?
「王のプロパガンダの影響はないの?」
『えぇ、今は解けてますね、何らかのきっかけで洗脳が解け、その時に暴政を見た結果でしょうね』
「洗脳ってそんなに簡単に解けるの?」
『解けるっちゃ解けるな、頭に強い衝撃を受けたりしたら、洗脳が解ける可能性は高い』
以前にも同じ事を言われた気がする。
「あ~じゃあ、騎士団の訓練中にとかで解けた可能性があると……」
『せやな』
「それじゃあプロパガンダ自体は常時発動するようなものじゃなく、意識して相手を洗脳状態にするって事?」
『えぇ、その通りです、それに以前グレンも言っていましたが、ある程度の忠誠心がないと効果がありません』
「じゃあ既にリリアン達にはプロパガンダが効果無いってこと?」
『その通りです』
少し先の未来が見える人が仲間になってくれるなら、それはそれでうれしい。
「じゃあ、明日はその人に会うって事かな?」
『えぇ、それがよろしいでしょうね』
「了解」
とりあえず、1人で戦わずに済みそうだ。
『それでは今日は休みましょう』
「うん」
ベッドの上で横になり寝た。
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