第177話 再び友との別れ
一緒に食事を断っただけなのに!
「ラミナの言うミネユニロント王国の切り札って事はお城でも姿を隠すんだよね?」
『そうしておいた方がいいだろうからな』
「かな?」
実際トロランディアからミネユニロント王国に移動する際は国境の検問を受けてないから密入国状態だけど、最初にここに来た時の目的通り、私はいまトロランディアから出てない状態なはず。
「なら、すべてが終わった後、友達として夏休み過ごそうよ」
「そうですわね」
「待って待って、それって夏休み中にすべてが終わる前提の話をしてるよね!?」
そもそも、戦の止め方が分からないのに、夏休み中に終わるかも分からない、明日から8月だけど、1カ月でどうこう出来る物じゃないと思う!
『戦を止める方法か』
『国のトップや騎士団の上層部が消えれば出来そうですけどね』
『問題は王都を覆う結界みたいなもんやな』
『ボクは分かんないけど、どういう状況なの?』
グレンとアクア、ミントがこれまでの状況をフゥに教えていた。
「やれるだけの事はするけど、戦は止められる自身はないよ、ほんとに……」
もう、これは別行動の流れかな?
「構いませんわ、被害が少なくなるだけでもみんなの為になりますもの」
「そうだね」
「ぇ~二人とも私を追い出したしたかったりしないよね?」
そうだったら悲しすぎる。
「そんなわけないじゃん!」
「そうですわよ、私たちを信じてくださらないの?」
「いや、信じてるんだけどさ……、ほんと戦止めるなんて無理だからね?過度な期待とかしないでね」
そう伝えた瞬間。
『そんなの簡単じゃん!』
フゥが突然叫んだ。
『何か思い当たるのか?』
『王都の結界って魔道具かなんかだよね?』
『えぇ、おそらくはそうですね』
『だったら壊せばいいじゃん』
私も魔道具なら壊せばいいじゃんって思った。
『物が見つからねぇんだよ』
『物なら見つけてあるよ~』
『壊せそうなんですか?』
『ん~今は魔法とか使えないから壊せないかな~、でもラミナが近くにいれば壊せる方法はあるよ』
それはなに、私に魔道具のある場所に行けって事かな?
『と言う事は、結界の中央部で何かに埋もれているって事か?』
『そうそう、お城の中央部の塔の先端にあるよ~』
『決まりだね!早速壊しに行こうよ!』
『そうですね、その魔道具さえ壊せれば、黒幕を消す事もたやすいですからね』
あれ~?
『だけど、1戦、二戦位は避けられないよね』
『ですね、相手方は既に国境に集結しているようですし』
「ぇ?」
「どうしたんですの?」
「相手方は既に国境に集まってるって」
「えぇ、私たちも明日、明後日には国境に向かいますの」
どのみち皆城を離れるのか。だったら私は私でやれることをするまでだ。
「二人共城から離れるんだ」
「うん」
「んじゃ、私は一足先に行ってるよ」
「夕食は良いんですの?」
「うん、精霊達が止める手立てを見つけてくれたみたいだからね」
「そう、久しぶりに会えて嬉しかったけど、ちょっと残念ですわね」
「さっきミアンが言ってたように、終わったら夏休みを楽しもうよ」
「そうだね、ちゃんと無事に帰って来てね」
「二人もね」
覚悟は決まった。二人が無事に帰れるように私は全力を尽くそう。
鞄からローブを取り出し羽織、フードを深々と被った。
「じゃあ、またあとでね」
「えぇ、ラミナさんもまた後で」
いつになるか分からないけれどまた再開できることを祈って。
ミッシェルとミアンが居た客室を後にして、そのまま城の外に出た。
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