第175話 ミネユニロント王国 王都ミネット
川にダイブしたルナはアクアの協力もあり、しばらく水面を走っていたが、川幅が狭くなり流れが少し速くなった途端タイミングがずれ結局泳ぐ羽目になった。
私はルナにつけている鞍の突起に捕まりながら泳ぎ湖の畔まで出てきた。
「泳いだと言うより流されたって感じだったけど着いたね」
『ですね、一時はどうなることかと思いましたが』
『ラミナ、あそこに見えるのが王都ミネットだ』
「ファントムフラワーは!?」
私としては、ファントムフラワーが一番みたい。
『まだちょっと早いんやな』
「そっか」
『あれは、あと半月位先ですよね』
『やね』
それまでに全て終わっていますように。
「アクアお願い」
「えぇ」
服が乾き、綺麗になってさっぱりした。
「んじゃ、ルナに乗って王都に行きますか」
『ラミナ、フードも被ってくださいね』
「うん、裏切る可能性のある宰相助手対策って事だよね?」
『それもありますが、どこで敵国と繋がりのある者と接触することになるか分かりませんからね』
「フードかぶっちゃうと認識して貰えないから検問スルーでいいのかな?」
『かまわんやろ』
『私からミアンにラミナが王都に来たことを伝えておきます』
「うん、お願い」
ルナの背に乗り王都ミネットに向かった。
王都の城門前でルナから降りて人や馬車にぶつからないように城門をくぐった。
そこには帝都は少し違う町並みが広がっていた。
「なんかグリーサの建物とは少し雰囲気が違うね」
『あっちは倭国から流れてきた人達の影響もあるからね~』
『ルマーン帝国はグリーサは木材と石材を使う傾向がありますが、こちらは石材を中心に使っている建物おおいですからね』
「へぇ、土地が違えば変わるって事か~」
『せやね』
セレスのために露店に並んでいる珍しい果物や野菜を買いながらお城に向かった。
お城の入り口まで来ると、門番が待っていると思っていたが、ミッシェルとミアンが待っていた。
私はフードを外し、二人に駆け寄った。
「「ラミナ(さん)」」
フードを外し私を認識した二人がこっちに走ってきた。
「二人とも元気そうだね」
「えぇ、ラミナさんこそ」
「ホープがまめに連絡くれてたけど心配してたんだよ」
「そっか、まぁ、色々あったけど無事合流出来て良かった。そうだ」
カバンからペンダントを取り出してミッシェルにかえした。
「預かり物返しておくね」
「えぇ、ラミーとシーアも先日帰ってきましたの、本当にありがとう」
「成り行きだから……」
「えぇ、それでも私にとってかけがえのない親友だから」
少し涙目のミッシェルを見て、どうすればいいのか分からなかった。
「こんな所で立ち話もあれだし、中に入ろうよ」
「そうですわね」
『例の彼が近くにいますのでフードをかぶりましょう』
「うん、二人ともまた認識出来なくなると思うけど近くに居るから」
「えぇ、わかりましたわ」
フードをかぶり、ミッシェルとミアンの後に続いて城の中に入った。
城内は物語に出てきそうな光景だった。
「ミッシェル様」
声がした方を見ると、誠実そうな青年が居た。
『例の奴だ』
彼が裏切る可能性のある人か、裏切るように見えないけども……。
「ヴァレクス、何か用?」
「いえ、姫様こそ、どうしてこのような場所に?」
「どうでもいいでしょう?」
お嬢様というより姫様らしいしゃべり方?
「そうでしたね、申し訳ありません」
「分かってくれれば良いのよ、戦の準備は大丈夫そう?」
「えぇ、そちらは抜かり無く」
「そう、良かったわ、ミアン行きましょう」
ミアンはヴァレクスと呼ばれた青年に会釈をしてからミッシェルの後を追った。
ミッシェルの背を見ているヴァレクスを見てなんとなく“恨みを抱えてる?”という印象を受けた。
なぜならミッシェルを見送ったときの目つきが鋭くなったように見えたからだ。
私も彼にぶつからないように、ミッシェルとミアンの後を追った。
「ねぇ、さっきの人は?」
「ヴァレクス・シャドウマインド、5年位前に文官として士官された方ですわ」
「これから始まる戦の参謀として参加するんだって」
ミッシェルの言葉に、ミアンが補足してくれた。
「そうなんだ、やっぱり軍師ってスキルだから?」
「えぇ、ですけど、私はあまり信用してないんですの」
「なんで?」
「女の勘と言ったところですわ」
精霊達はまだ彼のことを伝えていないって事だろうか?
「そうなんだ」
「ミッシェルは戦に参加するの?」
「もちろんですわ、私が総大将となって参加するつもりですの」
総大将って、槍の技量持ちだからだろうか?
それともスキルがあるからだろうか?
「私もついて行くよ」
ミアンは一緒に参戦するつもりなのか。
「そうなんだ」
ん~私も参加すべきなんだろうか?
「私も参加した方が良い?」
「いえ、ラミナさんは情報収集をお願いしますわ」
「精霊さんが集める情報は早くて正確だからね~」
『当然だな』
『ヴェネスのように見落としがないように徹底調査を始めましょうか』
『OK~』
『いいよ~』
『ボクもボクも!』
自分たちで判断して情報収集してくれるから私としては何もやることがないわけで。
「まぁ、それくらいなら」
実際私は何しよう?
2人についていくと、一つの部屋に案内された。
ミッシェルが扉をノックすると。
「お父様、ミッシェルですの、開けてくださいまし」
しばらくすると中に居たメイドが扉を開けてくれた。
中に入ると、妃と思われる女性とお茶をしている王と思われる男性がいた。
「友人が到着したので、紹介をと思いまして」
『ローブを脱いで大丈夫ですよ』
アクアに言われ、フードを外すだけでは無くローブそのものを脱いだ。
「お父様、お母さま、こちらがラミナさん、先日ラミィーとシーアを助けてくれた友人ですの」
跪いたほうが良いのかな?
ミアンも普通にしているし大丈夫なのかな?
ミッシェルから私の紹介を聞くと、飲んでいる手を止め、カップを戻すと立ち上がり私の元に来た。
「そうか君が、娘から色々聞いている。友人の孫を助けてくれてありがとう。私の名はアレクサンダー・デミトリアス、これからも娘ともどもよろしく頼む」
両手で私の手を取っていった。
なんというか、王というより1人の父親って感じだった。
「私はカタリナ・デミトリアス、ラミナさんこれからもミッシェルをお願いね」
「はい、私はラミナですこちらこそよろしくお願いします!」
『アレクサンダーは勇者のスキル持ち、カタリナは賢者のスキル持ちですね』
『2人とも戦いに向いたスキルだな』
『せやね』
国王がそんなスキル持っていたら、この町は落ち無さそう……。
「あぁ、ミッシェル、彼女の部屋はどうする?」
「ミアンが同じ部屋にって言ってますの」
「そうか、では先に案内してあげなさい、直に夕食だ、それまでゆっくり体を休めるといい」
「ありがとうございます」
「ラミナさん、こちらですわ」
国王の私室を後にして、客室に案内された。
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