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神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~ 【原作完結済】  作者: 川原 源明
第11章 夏休み!

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第167話 壮大なプロジェクトへ

 セレスと共に、ロシナティスの冒険者ギルドを訪れた。


 初めて訪れる町の施設に興味津々なのか、セレスは辺りをきょろきょろと見回している。


「すみません、ヴェネスさんをお願いできますか?」


 私はカウンターの職員に声をかけた。


「かしこまりました。少々お待ちください」


 職員は丁寧に応じると、すぐさま階段を上がり、ギルドマスターのいる三階へと向かっていった。やがて、ヴェネスがその職員と共に姿を現す。


「おや?そちらのご婦人は?」


「水の神殿に住んでいる精霊さんです」


「これはこれは……私は冒険者ギルド・ロシナティス支部でギルドマスターを務めております、ヴェネスと申します。お嬢さんのお名前をお伺いしても?」


「私はセレス、セレスティア! ラミナと契約してるの!」


(……その最後の一言、わざわざ言う?)


 丁寧な挨拶を返すヴェネスと、無邪気に応じるセレス。その対比がどこか微笑ましい。


「セレスティア様ですね。今後ともよろしくお願いいたします」


「うん、よろしく!」


「それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」


「麦の収穫がもうすぐ始まりそうで、それをどうすればいいのか、ご相談に……」


「もう収穫ですか? 時間の流れの違いを考慮しても、それは随分早いですね」


 ヴェネスはやや驚いた様子で言う。たしかに、現実世界の一時間でダンジョン内では一週間が経過するとはいえ、ギルドを出てから数時間しか経っていない。


「精霊たちが、ちょっと張り切っちゃって……」


「なるほど。それでしたら、こちらに搬入していただいても結構ですし、商業ギルドに直接納品していただいても構いません」


 商業ギルドか……でも、私は別にお金が欲しいわけじゃない。


「ねぇラミナ、私、この町に住みたい!」


「えっ!?」


 突然、セレスが思いもよらないことを口にした。


「……なんで?」


 率直に尋ねる。いまのロシナティスは、決して魅力に満ちた町とは言い難い。


「なんとなく!」


「ふむ、それでしたら空き家をご紹介しましょうか。麦を定期的に納品していただけるなら、我々としても歓迎いたしますよ」


 定期納品……って、あの麦の量じゃ過剰供給になるのが目に見えているけど……いいのかな?


「いいよ! 代わりと言ってはなんだけど、果物とか食べ物の苗や種ちょうだい!」


 その“代わり”って何の……!?


「それくらいでしたら問題ありませんよ」


 もしかして、麦以外にも栽培する気……?


「やったね! いろいろ育てられるよ!」


 ……もはや“水の神殿”じゃなくて“農耕の神殿”では?


『ええんちゃう? 一種類だけやと飽きるしなぁ』


『私も同感です』


『俺の出番がないのはどうなんだ……?』


 火の精霊の出番……パン焼きぐらい?


「パンとか焼くなら、出番あるかもね」


『パンか……』


「作ろう! パン作ろう!」


「え?」


「せっかく育てた作物、なにかに使おうよ! それを配ればいいじゃん!」


「でも、無料配布すると他のお店が困っちゃうよ?」


「そうですね。ある程度の価格は維持していただかないと、商売が成立しなくなります」


「じゃあ、飢饉が終わるまで配って、その後は普通にお店にしよう!」


 なるほど、それなら確かにバランスは取れるかもしれない。


「……ということですが、どうしますか?」


「私としては歓迎ですが、本当にそれでよろしいのですか?」


「私は構いませんよ。実際、働いてるのは精霊たちですし……」


『ええよ、むしろ楽しんどるしな』


『どうせなら、職に困っている人にも手伝ってもらうのもいいかもしれません』


『ボクらだけでもできるけど~町への運搬とかは任せたいかな~』


『パン作り担当が必要だな、俺としては』


 ……なんだか、ちょっとした町おこしプロジェクトみたいになってきた……。いや、帝国の飢饉・雇用対策まで含んだ国家レベルかも……


 私の中では、単に食糧問題を解決できれば、という程度の気持ちだったのに。


「精霊たちは賛成してるみたいです。将来的に、町でお店を構えることを考えて、場所を確保したいのですが……」


「かしこまりました。それでは、この後一緒に商業ギルドへ向かいましょう」


「はい、お願いします」


 こうして、私はヴェネス、セレスと共に商業ギルドへと足を運ぶこととなった――。


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