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第156話 アカネとの一時の別れ

 まん丸が作った穴を走る事数時間、突如地上に出た。


 崖の下には大きな町が広がっていた。


「ラックバードだ、ここは憩いの場だね、降りる」


「ん、ここでいいの?」


「うん、ここまで来たら大丈夫、すぐそこが教会だから」


 アカネが指さしたのは私の背後だった。


 振り返ると、大きな教会が経っていた。


『この気配は』


『光の大精霊レムがいますね』


「気づいた?レムが居るんだけど、すべてが終わってからね、じゃあね」


 そう言うと、アカネは鞍から飛び降りて教会の方に走っていった。


「これ全て終わったらレムが契約してくれるってことかな?」


『だろうな、あいつはずっとここに居たのか』


『やなぁ』


「何かあるの?」


『以前ミアンの親父さんが言ってた、白銀の騎士ガルドーが亡くなった町なんだよ』


 そういえば英雄譚とか物語読もうと思っていたけど普通に忘れていた。


『ほんでな、ガルドーの葬儀がそこの教会でやったんや』


「そうなんだ……当時はミネユニロント王国だったの?」


『いや、当時はトロランディア帝国もミネユニロント王国も存在してなかったな、ただミネユニロント王国の前身ミネット王国があったんだ。そしてトロランディア帝国の前身メネス王国との争いで国を守り続けた英雄って扱いになっているな』


「へ~、どうして二つの国が変わっちゃったの?」


『リタが起こしたルマーン革命の影響だな、ルマーンで革命が成立するとこっちでも同じ革命が起きたんだよ、その結果だな、実際ルマーン革命の影響はこの大陸でも広まったからな』


『せやなぁ、滅んだの国はこの二つだけとちゃうで』


「そうなんだ……」


 3代目が守り続けた国が、4代目のリタの影響で滅んだ。


 なんというか……。


『ルマーン革命自体が、この地方の歴史の転換点でしたからね』


『せやね』


「そっか」


『それでは、ロシナティスに向かいましょう、この速さなら今日の夕方前には到着できるはずです』


 話が一区切り付いたところでアクアが切り替えてくれた。


「了解、まん丸お願い」


『は~い』


「ルナももうひとっ走りお願いね」

「ブブブ……」


 ルナは、頭を上下に何度か振りながら鳴いた。


 どういう感情なんだろう?


 そんなことを思いながら、再びまん丸が開けた穴の中に飛び込み走り始めた。


 しばらく暗闇の中を走っていると。


『ロシナティス手前にあるのナティス丘陵の中腹辺りに出して貰えますか?』


 何かあるのだろうか?


『ほ~い』


 走っていると、急に視界が明るくなった。


「ここが丘陵?」


『えぇ、ルナこのまま町が見える方まで行って貰って良いですか?』


「ブ、ブブ……」


 また首を縦に2度振りながら鳴いた。


 丘陵の草原地帯をしばらく歩くと海が見え、同時に大きな町も見えてきた。


『ここはロシナティス南側に広がるナティス丘陵なのですが、町の北西部にあるお屋敷見えますか?』


 町の中心部から比べると、高台になっている部分に大きな屋敷があった。


「うん」


『ラミィーとシーアはそこに捕らわれています』


 そもそも何でミッシェルと別行動になったんだろうか?


 そんなことしなければ捕らわれるはずなかったのに。


「うん」


『前にも言ったが、クロードのおかげで部屋に監禁されているような状態だな』


『最初は牢に入れられていたみたいだからね~』


「これもミッシェル誘拐と繋がるのかな?」


『船で失敗した場合の交渉カードと言ったところでしょうね』


 ふっと思う、不作が人為的なものって、ステルツィアの仕業なのだろうか?


「ミントだっけ?不作が人為的な物っていってたじゃん?」


『ゆうたな、どないしたん?』


「それって侯爵が?」


『侯爵だけやおまへんよ、ステルツィアのやつらやな』


『おそらくですが、トロランディア帝国がミネユニロント王国に攻めるための策の一環でしょうね』


「どういうこと?」


『あんな、トロランディア帝国領とミネユニロント王国領国境付近は両国の穀倉地帯なんよ』

『けれど、ミネユニロント王国側は豊作、一方トロランディア帝国側は不作国境を隔てる壁1枚でこうも大きく差がでたのです』


「普通あり得なくない?病気だったら壁関係ないし、天気による不作なら両方がそうなるよね」


『本来はそうなりますね、ですが……』


『まずね~土に細工がされたんだよ~、魔法で地面を固くされたんだ~それで麦の根がちゃんと張らなかった結果だね~』


『ほんでな、侯爵が発芽率の低い麦の種を配ったせいやな』


「二つの要因があると……」


『畑に細工したのはステルツィアのやつらなの~』


「今飢饉が発生しているって事は、昨年の秋の収穫がままらなかったって事だよね?」


 今は夏だ、昨年の秋収穫分か今年の春収穫分が、まともに収穫できなかったって事だろうか?


『その通りです。冬越しの麦も大して収穫できなかったようですよ』


 もうだめだめじゃん、上の思惑で農村の人の被害がひどいことになるって……。


「これって、ミネユニロント王国の細工だとか言いがかり付けて戦争の口実とか?」


『バルラック侯爵の狙いはそれでしょうね、ですが思った以上に飢饉の被害が大きく戦争を起こせるような状態ではなくなり、細工による領土切り取り路線に切り替えたというのが現実だと思いますよ』


『戦争は、兵糧とかで大量の食料が必要だからな、食料がなければ戦う前に負ける』


「自業自得じゃんって言いたいんだけど……」


 バルラック侯爵一人が苦しむのは良いけど、領民がとばっちり……。


『まぁそうですね、穀倉地帯で細工をした結果思った以上に被害が出て飢饉に見舞われているのがトロランディア帝国の現状ですね』

「領民のほうってなんとかならないのかな?」


『リタみたいなこと言い出した~』


『あいつみたいに持てる食料を領民にくばるか?』


「それは良いけど、一時しのぎにしかならないよね?」


『リタより考えてるね~』


 まん丸が先祖をディスってる気がする……。


『その通りだな、お金も国家予算級のお金が必要になるだろうよ』


「ん~、ステルツィアとの戦争も抱えているんだよね?」


『だな、ミネユニロント王国の東側はそういう状態になりそうだな』


「ん……、とりあえず、領民を苦しめるバルラック侯爵には消えて貰おう」


『発想がリタみたいになってきたね~』


『ふっふふ、そうですね、私としてはすごく懐かしい感覚ですね』


「領民を苦しめる領主とか要らないよ!」


 私達一般領民にとっては、平和で安心できる日々が送れるのが一番良いに決まっている。


『今から燃やすか?』


「ん~やるならせめてクロードには一言言ってからかな?」


『そうですね、あらぬ疑いをかけられないように手を打ってからでしょうね』


『決まりだな』


「とりあえずクロードと接触、ラミィーとシーアを救出だね」


『そうなりますね、ここからはルナを降りて行った方がいいかもしれません』


「だって、ルナありがとうね」


 私がお礼を言うと、ルナが膝をつき私が降りやすいようにしてくれた。


『ルナも私達と同じ姿になれますよね?』


「ブ、ブブ……」


 首を縦に2度振りながら鳴いた。


 これ“うん”って意味かな?


 私がそう思った瞬間、目の前のルナが一瞬光、ミントたちとおなじサイズの馬になっていた。


「ちっさ、ってか可愛いね」


『ブブブ……』


 姿は変わったけど、ミントたちみたいにしゃべれるわけじゃ無いか。


読んでくれてありがとうございます!


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