第141話 性同一性障害の原因?
クロウとロゼッタが去り、ミアンと二人で後片付けをしていた。
「ねぇ、さっきミアンが言っていたのが起こる原因ってなにがあるの?」
「確実に起こる原因なら分かるんですけどね」
答えたのはアクアだった。
「確実に起こる原因があるの?」
私の中では衝撃だった。
「えぇ、体は男性だけど女性の心というのは一致していますね」
「教えて!」
「えぇ、いいですよ、まずローレライ、ハーピー、セイレーンと呼ばれる魔族に共通していることは分かりますか?」
「全員が女性……」
アクアの問にミアンが即答していた。
「その通りです。では女性だけでどうやって個体数を増やすでしょうか?」
この問はこの前魔物生物学でやってたきがする。
「単一繁殖だっけ?」
「そうです。一定数の魔素を持った個体なら誰でも子を宿し産む事が出来るんです」
「うん……」
「この場合当然のように、女性が生まれます」
「そりゃ女性しか生まれない種族だから……」
「えぇ、その通りです、では1つめのパターンの話になります。人間が同じ事を出来ると思いますか?」
「「ぇ!?」」
私とミアンが同時に驚きの声を上げた。
というか“1つめ”って言うことは、いくつかの原因があるってことだろうか?
「そういう話をするって事は出来るって事だよね?」
「えぇ、この国では命をもてあそぶ行為として扱われ禁じられていますが可能なんです」
「そうなんだ、というかどうやって出来るの……?」
「魔法と同じ要領です」
「イメージ……?」
「えぇ、そして正しい魔法陣です」
「正しい魔法陣とイメージ……」
「えぇ、ですが、どちらかがちゃんと出来ていないと、母体が死を迎えたり、奇形児が生まれたりするんです」
そりゃ命をもてあそぶ行為を言われても仕方ない気がする。
「そして、イメージして男の子が生まれても、この手で子を産む場合必ず中に入る魂は女性なんです」
「それでミアンが言ったようなことが発生すると」
「はい、それが一つ目のパターンです。続いて二つ目ですが、ミアンあなたはセイレーンと人、ローレライと人の恋物語は知っていますか?」
私はそういった物語があることを知らない。知らないことを知っているからアクアがミアンに対して質問したのだろう。
「うん!知ってる!北のメレス王国民謡で読んだことがあります!」
「そうですね、メレス王国北部沿岸にセイレーンの生息域がありますからね」
「では、その物語では、人と恋に落ちたセイレーンはどうなるんですか?」
「人になって末永く幸せに暮らすんだよね」
「えぇ、セイレーンやローレライなど魔族が人になるには大半の魔素を使い姿を変えることが出来るのは事実です。ですが人の子を宿す体にはなれないんですよ、あくまで見た目が人の姿になるだけなんです」
「あっ」
「そうなるとさっきの話の結末と同じ事になると……」
「えぇ、その通りです、確実になる原因はこの2つになりますね」
「そっか……」
種族を越えた恋愛話は悪くないと思うけど……。
「とりあえず、その子を女性の姿にするのが出来るかどうかはともかく、親が何か言わないかな……」
私としては手段が確立したところで本人だけの問題じゃない気がした。
「そうだよね……、いきなり女性になった子が帰ってきたらよその子扱いされましたなんて可愛そうだもんね……」
「うん……」
もうちょっと男女差に関して勉強しないとだ。
「ところで二人とも、時間は大丈夫ですか?既に遅い時間になっているのですが……」
アクアに言われてカバンから時計を出して確認すると、既に23時を回っていた。
「寝ないと!」
「だね」
「今夜は二人ともここに泊まっていけば良いと思います、クロエの方には私から伝えておきます」
「そうだね、さっさと片付けて寝る準備をしようか」
「うん」
その後、ミアンと一緒にさっさと片付けてから、少しだけ果物とパンを食べてから寝る準備をして寝た。
そして翌日のお昼には、西門の外の建物を残したまま帝都に戻った。
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