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第135話 レージュ村防衛

 レージュ村に着くと、故郷のルヴァ村と変わらない感じだったが、先の震災で木造住居や小屋が崩れていた。


 村の中央には焚き火が焚かれ人が集まっていた。


「二十人ほどの村だと聞いていたが、救助活動は終わってそうだな」


「死者二人ってここのこと?」


『ハンゾー達が向かった村で、レージュ村では怪我人は居ましたが、すでに治療済みですよ』


「なんだって?」


「救助活動とかは終わってけが人の治療も済んでいるそうです」


「じゃあ、魔物対策だけか」


「家屋の修復は手伝わなくて良いんですかね?」


「ノームにやらせるのか?」


 寝る場所とか住処は必要だと思うけども。


「寝床とか無いと困りません?」


「まぁ困るだろうな、瓦礫をどうにかしてからだろ」


 木造ならグレンにパパッと燃やしてもらえば早い気がするけど。


『ラミナ、その前に掘を作ったり塀を作らないとですよ』


「あ~そうでした」


「なんだ?」


「魔物が襲ってくるなら塀とか堀をって」


「まぁそうなるわな、村長に一言言ってからだな」


「そうですね」


 ファラがこの村に来たことが有るかのように、ずんずんと歩みを進めていくので後に付いていった。


 村の中央に集まっている人の元までいくと。


「村長はどこに居る?」


「村長はわしだが?」


「キラベルから応援で来たんだが、森の奥で魔物達がたまっているらしいんだが、何か知ってるか?」


 ふと思った事がある。


 魔物達が散る際に村は襲われなかったのだろうか?


 なぜ戻るときだけ通過する可能性があるのだろうか?


「やはりか、西の森が獣くさくてな、もしやと思っとった」


「兆候はあるのか、村の周りに土塁とか作っても構わないか?」


 ファラと村長のやりとりを聞いていて、土塁って?


「構わないが、村のもんは自宅の片付けをしているから人をまわせんぞ」


「それは構わない、私らというより、こいつが一人でやるからな」


 ファラはそう言うと私の方を見た。


「嬢ちゃん一人か?土魔法の使い手か?」


「んなことはどうでも良い、とりあえず土塁を作るからな」


「あぁ、頼む」


「よっし決まりだな、行くぞ」


 私は村長に軽く会釈をしてからファラの後に続いた。


「先輩、土塁ってなんですか?」


「土で作った壁みたいなもんだ」


「なるほど、どこに作るんです?」


「西の森って言っていただろ、精霊達に具体的な場所を確認して襲ってきそうな部分に壁を作れば良いだろ」


「だって」


『ラミナはまず、マジックポーション飲みましょうかハイなら1本で十分です』


『せやなぁ』


 アクアに言われたとおり、カバンからハイマジックポーションを1本取り出し飲んだ。


「それ美味しいか?」


「美味しくはないですよ、まずくもないですけど」


 実際、マジック草は苦みがある草だ、それをすりつぶして作ったハイマジックポーションなだけあって、ちょっと苦みがあるが、まずいってほどでも無い。


「ふ~ん……」


「どうしたんです?」


「いや、苦いよな?」


「苦みはありますね」


「飲みたくねー」


 ファラは苦虫をかみつぶしたような表情を見せた。そこまで嫌なのかな?


「苦いの苦手なんです?」


「苦手だな……、それよりもさっさとやっちまおう」


「そうですね、どこにやれば良いかな?」


『そうですね、あの辺りでしょうか』


 アクアがそう言って指を指した先は、両サイドが、かなり急な斜面の崖になっていて谷間のようになっている場所だった。


「不思議なことがあるんだけど、いいかな?」


「なんだ?」


「魔物達が散る際には村って襲われなかったのかな?」


「なんだそのことか、ルマーンのほとんどの村はスティンクオークといって魔物が嫌う匂いを放つ樹木が囲っているんだ、だから基本避けるんだが、谷間に落ちたオーク達が住処に戻るのにはここを通らないと戻れないからな」


「戻るのになりふり構わずって事ですか?」


「ブラックディアに関して斜面だの崖だの登っていくが、オークはそうでもないからな~」


 地形的な理由と生物の特徴故ですか。


「サーベルタイガーは?」


「あいつらも北側の斜面くらいならひょいひょい登っていくぞ」


 私が生まれた村にもスティンオークあったのかな?


 村にいたころを思えば、あまり魔物騒動は起きたことがない気がする。


「じゃあオークだけがここを通過する可能性があると」


「だな、まぁオークを追ってサーベルタイガーも来るかもしれんがディアは来ないだろ」


『ファラの言うとおりや』


『そのサーベルタイガーにオークが手を出したようですけどね……』


 それはサーベルタイガーがここに来る可能性があると……?


「ぇ、命惜しくないの!?」


『空腹にはかえられんのだろ』


「お腹すいていたからってこと……?」


『せやな』


 なんて事してくれるんだ……。


「なに、どうした?」


「なんかお腹すかせたオークがサーベルタイガーに手を出したらしく……」


「馬鹿だねぇ~」


『ちなみにですが、オークだけで5~600いますからね、この先の森の実りなんかは食い尽くされていますよ』


 それはレージュに住む村人にも影響があるんじゃないだろうか?


「とりあえずだ、さっさと塀なりやっていこうぜ」


「はい」


 その後は精霊達のアドバイスを元に村の四分の三を囲む空堀と、反りのある立派な土の壁を作った。


読んでくれてありがとうございます!


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