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第123話 幕間 エキシビションマッチ アクアvsハンゾー

 水の大精霊アクア視点。


 ペア部門が終わると、ミッシェルとミアンがラミナの側に駆け寄ってきた。


「二人ともお疲れ様」


「ありがとう、まるで相手にされてなかったね」


「そうですわね、ファラ先輩とハンゾー先輩ならどうにかなる相手ですけど、精霊には勝てるビジョンが見えませんでしたわ」


 当然だ、私達は自然そのもの、人の身でどうこうできる存在ではない。


「おまえは槍術をもっと昇華させるべきだな、色々な技を見てみろ」


 グレンがミッシェルにアドバイスを送っていた。


「私とも手合わせしてもらえませんこと?」


「ふん、ラミナ同い年ならいつでも機会はあるだろう。それよりも今はアクアの技を盗んでみろよ」


 グレンの言うように、ミッシェルは努力する才能がある。私の槍裁きを見て真似れば、一段階腕を上げることができるだろう。


「そういえばアクアちゃん槍を持っていますね」


「そうでしたわね、アクアさんは?」


 そろそろ出番だし、姿を見せるとしましょうか。


『私も姿を現しましょうか、ラミナ魔素もらいますよ』


「うん」


 ラミナから顕現に必要分な魔素を貰い、姿を現した。


「ミッシェル、同じ槍使いとして今度私と手合わせしましょうか」


「是非!」


 ミッシェルは、とてもうれしそうな表情を見せた。


「ふふふ、私も楽しみにしていますよ」


 私自身も心の底からミッシェルが成長する所を見てみたいと思った。


「それでは最後にパーティー部門のエキシビションマッチを始めます! 両者リング上へ!」


 審判から声がかかった。


「それでは行きましょうか」


「せやな」


「あぁ」


「いこ~」


 リング上に登り中央に向かっていると。


「このメンバーでやるのは久々だな」


「せやな、リタの時以来やもんな」


「だね~」


「ラミナの顔に泥を塗らないように努力しましょうか」


「んなの余裕だろ」


「うちが倒されるのが心配やねん」


 実際にミントは直接対決向きの精霊ではない。どちらかというとサポート、妨害を得意とするタイプの精霊だ。


「そうですね、ハンゾーかファラが抜けたらミント一人じゃ対処しきれませんからね」


「だが、俺かアクアを無視したら、それこそ向こうが崩れるだろ」


「一人でも倒して負けるか、誰も倒せずに負けるかだねぇ~」


「彼らは負けるつもりは無いようですよ」


「なるほど、子ども達から聞いたか」


「えぇ」


「なら、ミラとプリムを犠牲にミントをやる考えはないか」


「そうなると不利になるのは彼らですからね。グレンか私タイマンを申し込まれたら足止めに徹しましょうか」


「だな」


 リング中央まで来ると、ハンゾー達四人もリング中央に並んだ。


「それでは一同位置へ」


 審判がそう言うと。


「アクア殿、胸を借りる」


 どうやらタイマンをすることになるのは、私とハンゾーのようだ。


「えぇ、こちらこそ」


「っち」


 グレンが舌打ちしていた。


 私の前にはハンゾーが位置取り、まん丸とグレンの前にはファラが位置取り、ミント・ミラ・プリムはそれぞれリング際に陣取った。


「それでは位置に付いたようなので、パーティー部門エキシビションマッチはじめっ!」


 審判の合図と共に、ハンゾーが縮地を使い私に斬りかかってきた。


 持っている槍でハンゾーの初撃をいなすと、すぐさま柄を返してハンゾーに攻撃を与えようとするが、再び縮地を使い私から間合いを取っていた。


「さすがにやれぬか」


「あなたの動きは手に取るように分かりますからね」


「ック」


「来なさい。よそ見をしない限り、あなたの望む形で勝負いたしましょう」


 魔法を得意としないハンゾーが望む形、魔法を抜きにした勝負だろう。


「かたじけない! それでは!」


 周囲に散っている水蒸気の動きから、私の後方へ縮地したのがわかり、半歩退いて槍でガードした。


「これも当てられぬか」


「甘いですね」


 再びガードから攻撃に転じたが、防がれた。


 彼は戦い慣れているのが分かる。魔法抜きにすれば攻撃を当てるのが難しい。


 その後も何度か、お互いの武器がぶつかり合うたびに“キン”と高い音が繰り返されていた。


 こちらも彼の動きがわかるので攻撃が当たることはないが、お互いに決め手に欠ける。


「やりますね」


「武器でのやり合いなら負けぬ!」


「ふふふ、いいですね。それでは少しやり方を変えましょうか」


 氷状になっている槍を、ほんの一部水に変えた。


 再び打ち合いが始まる。


 ハンゾーが打ち込んできた瞬間、柄の部分でガードし、ガードした柄の部分と穂先を分離し、短い槍と柄の二刀流に変化させ穂先の部分でハンゾーに攻撃を加えた。


 ハンゾーが私の攻撃を紙一重で避ける。


「なんと面妖な……。だが、二刀流が出来るのはそなただけではない」


 ハンゾーはそう言うと、帯から刀の鞘を抜き左手で持った。


「二段抜刀術」


 倭国の武士の一部が得意とする、鞘と刀の二段構え。


「さすが、知っているか」


 ハンゾーがそう答えた瞬間。


「ハンゾー!」


 ミラの叫び声が響いた。


「むぅ、ファラがやられたか!」


 当然だろう。ソロのエキシビションマッチでグレンに敗北しているのに、まん丸とグレン両方の相手が出来るわけが無い。


 ハンゾーが私から離れようとしたので、ハンゾーの周囲に水のドームを出現させた。


「よそ見は厳禁といいましたよ」


「むっ!」


 そのまま、脱出不可能な水玉の中へハンゾーを閉じ込めた。


 このまま行けば窒息で場外にはじかれるだろう。


 辺りを見ると、すでにグレンがファラ、ミラ、プリムを蹴り飛ばして場外に飛ばしていた。


「後はそいつだけだな」


「えぇ」


 最後まで残ったハンゾーも窒息しリング外に飛ばされていた。


「勝者精霊チーム!」


 リタの時代にも四人で戦う事はあったが、わずかでも一人欠ける可能性があったのは今回が初めてだった。


「今までの中では一番の難敵でしたね」


「そうか?」


「ウチはジブンみたいに強ないからな!」


「それを考えたらそうだねぇ~」


「ふむ、ハンゾーはどうだった?」


「武人としては決め手がありませんでした」


「ふ~ん、アクアにそう言わせるなら相当なもんなんだろうな」


「あなたが相手なら、余裕でしょうね」


「当然だろ」


 魔法抜き、属性相性抜きにすれば、私よりもグレンに軍配があがる。


 今回の戦いは久々に楽しめた気がした。

読んでくれてありがとうございます!


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引き続きよろしくお願いします!


明日からは新章突入、リメイク版オリジナルストーリー

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