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第122話 エキシビションマッチ!2

 ペア部門が終わると、ミッシェルとミアンが私の側まで来た。


「二人ともお疲れ様」


「ありがとう、まるで相手にされてなかったね」


「そうですわね、ファラ先輩とハンゾー先輩ならどうにかなる相手ですけど、精霊には勝てるビジョンが見えませんでしたわ」


「おまえは槍術をもっと昇華させるべきだな、色々な技を見てみろ」


私の後ろで腕組みしているグレンがミッシェルにアドバイスを送っていた。


「私とも手合わせしてもらえませんこと?」


「ふん、ラミナ同い年ならいつでも機会はあるだろう、それよりも今はアクアの技を盗んでみろよ」


「そういえばアクアちゃん槍を持っていますね」


「そうでしたわね、アクアさんは?」


『私も姿を現しましょうか、ラミナ魔素もらいますよ』


「うん」


 アクアもごっそり魔素を持って行くと姿を現した。


 私自身、ミントたち4人に魔素渡したけど、まだ大丈夫なのかな?


「ミッシェル、同じ槍使いとして今度私と手合わせしましょうか」


「是非!」


「ふふふ、私も楽しみにしていますよ」


 そんなやりとりをしているのを聞きながら、プリム達の方を見ると、地面を焼き払ったりしていた。


「ミント対策してる……」


「せやねぇ、根っこが残ったままやん」


 あ~、これはまた利用されるやつだ……。


「それでは最後にパーティー部門のエキシビションマッチを始めます!両者リング上へ!」


 審判がそう言うと、ミント、アクア、まん丸、グレンがリング中央にむかい、ファラ、ハンゾー、プリム、ミラの4人も向こう側からリング中央に向かってきた。


「ねぇ、ラミナ私の出番は?」


「クゥの出番は無いかな……」


「えぇ~~!」


 クゥらしからぬ返事が返ってきた。


「対戦する相手がいないじゃん」


「ん~、対戦したい相手ならいるんだけどね~」


 クゥはそう言うと、謁見台の方を見ていた。


 ん、女性騎士を見ている?


「隻眼の人と?」


「えぇ」


 今回は無理だと思うけど……。


 一方リング上に視線を戻すと、お互いに位置に付いているところだった。


 精霊達は正面にまん丸、左右にグレンとアクア、後方にミントという菱形に近い陣形で、一方ファラ達優勝者チームは、アクアの前にハンゾー、まん丸とグレンの間くらいにファラ、後方にミラとプリムという陣形になっていた。


「それでは位置に付いたようなので、パーティー部門エキシビションマッチはじめっ!」


 ハンゾーとアクアがぶつかり、ファラとまん丸・グレンがぶつかった。


 フリーなミントは、再びリング外の雑草を使い、プリム、ミラにけしかけていたが、無詠唱で火魔法を使うプリムが必死になって焼き払ってミラがミントに向かって魔法を放っていたがまん丸に塞がれていた。


 ハンゾーアクアの勝負は結構見応えがあるやりとりをしているが、ファラまん丸グレンは、まん丸がファラを無視しプリム・ミラの方に向かおうとするもファラが必死になって止めるが、グレンに致命的な一撃をもらいダウンしていた。


 ミラが精霊陣に攻撃を仕掛けるも、ファラを失った優勝チームは劣勢に立たされていた。


 ハンゾーが他のメンバー救援に向かおうとすると、アクアが水玉の中にハンゾーを捕え、2人への救援を妨害していた。


 グレンがミラの元に詰め寄り回し蹴りをいれ、ミラをダウンさせそのままプリムにも蹴りを入れてリング外に吹っ飛ばしていた。


 最後までのこったハンゾーはアクアの水玉の中で窒息しリング外に飛ばされていた。


「勝者精霊チーム!」


 精霊チームは、グレンとアクアがアタッカー、ミントが魔法アタッカー、まん丸が盾役としてバランスがいいが、一方ハンゾーファラがアタッカー、プリム・ミラが魔法アタッカーと純粋に攻撃チームなだけあって相手を崩せないと一気に崩れていくパターンになっていた。


「当然の結果だよね、まん丸とグレン一人でってのは無理があるかなぁ」


「クゥもそう思ったんだ」


「えぇ、さってと、私ちょっと離れるね」


 クゥはそう言うと姿を消した。


 リング上では、まん丸とミントがアクアの元に怪我人を抱えていき、アクアがダウンした4人を回復魔法を使ったりと介抱していた。


 グレンは触れると火傷させるからか私の所に戻ってきた。


「おつかれさま」


「あぁ、クゥはどうした?」


「どっか行っちゃった」


「そうか……、まぁいい、俺は一足先に戻る」


「はい」


 私が返事すると、グレンがいつもの姿に戻り、その場には熱々の溶岩とオリハルコンの手甲が残された。


 手甲を鞄にしまい、溶岩は冷えるのを待ちかなと思い、アクア達の方を見ると、リング上の審判の元に学長が寄っていき、何か耳打ちしていた。


 ダウンした4人の回復も終わりアクア達もこっちに戻ってくると、


「それでは、急遽もう1試合行います!」


 審判がそう言うと、会場中がザワザワし始めた。


「なんや?」


「さぁ?」


「クゥだよ~」


 ぇ?


「クゥ~がね、この後騎士団長さんと戦うみたいだよ~」


 消えたと思ったらそんなことしていたのか……。


 謁見台の方を見ると、クゥと例の騎士団長の姿があった。


 そして次の瞬間クゥと騎士団長の姿が謁見台から消え、リング中央に姿を現した。


 2人がリング上に姿を現すと、ざわざわしていた空気が一転して歓声があがった。


「それでは選手の紹介です!みなさんご存じ!我が国最強と言われたフラフィ騎士団長!そして対するは、ラミナさんと契約する精霊が1柱、クゥ!」


 あれ?


今まで紹介していたっけ?


 聞いてなかったかな?


 思い返しても紹介しているときにおしゃべりしていたような気がした。


「それでは両者位置へ!」


 審判がそう言うと、お互いに中央から4~5歩離れた所で向き合っていた。


 気づけばクゥはどこからともなく、相手と同様の剣を取りだし構えていた。


「クゥって剣使えるの?」


「剣に限らず全ての武器を使えるんじゃないですか?」


『ダンジョン内で剣の戦い方をみてるだろうしな、地下都市ダンジョンだけじゃなく世界各地にあるダンジョンに潜った剣の使い手の動きならマスターしているんじゃないのか?』


 そういえば、同じ属性の精霊同士情報共有しているんだっけ。


 そうなると、世界中のダンジョンに潜った人たちの動きを知っていてもおかしくはないはず。


 剣聖相手に一歩も引かない戦いができるってことだろうか?


「それでは!はじめ!」


 審判が合図をすると、クゥと騎士団長は、壮絶な剣の打ち合いを始めた。


 素人の私から見ると、互角のように見える打ち合い。


「同じ位?」


「いえ、クゥの方が余裕を持っている感じですかね」


『だな、まぁ相手がどこに打ち込んでくるかなんかを感覚的に把握しているだろうが、騎士団長さんは初見の相手だからという事もあり少し警戒しているといったところか』


 改めて思う、グレンやアクア、クゥもだけどおかしくない?


 精霊だからそんなに強いの?


 まん丸とミントは、攻撃を加えているところをあまり見ていないから普通に思えるけど、グレン、アクア、クゥは強さがおかしい気がする。


 そんなことを思っている間に、2人の打ち合いが続き、私でも気づいたことがある。


「クゥって騎士団長さんの動きを真似てない?」


『気づいたか、相手と同じ戦い方になっているな』


「何がしたいのかな……?」


「グレンと同じですよ」


「同じ?」


『おそらく上には上がいる。騎士団長なんて座に収まってないで世界を回って武者修行してこいって事だろうな』


「グレンなら、そうするって事かな?」


『ファラにやったようにな、世界にはいろんな武術があるからな、剣聖・拳聖ならいろんな技を見ればもっと自分自身を高められるからな』


「ふ~ん……」


 戦いをあまり得意としない私にとっては無縁の世界に思えた。


 その後リング全体を使い打ち合ったりしていたが、最終的にはクゥが勝利していた。


「勝者クゥ!」


 クゥに負けた騎士団長はすごく悔しそうにしていて、そこにクゥが近寄り、何か耳打ちしてからこちらに戻ってきた。


「クゥお疲れ様」


「えぇ、楽しめた。やっぱ体を思いっきり動かすのって良いね」


 その気持ちは分かる。


ハンゾーの指導受けた後は疲れるがすっきりと気持ちいい感覚はある。


「そうだね~、最後に何を言ったの?」


「ん~、さっきグレンが言っていたでしょ、彼女は国の頂点だからこそ孤独を感じていたみたいだし、“世界を見て回りなよ、今の君より強い人はいっぱいいる”ってね」


「そんなことをしたら国を守る人いなくなるんじゃ……」


「大丈夫でしょ、敵対するほど悪い関係の国はないし、帝都だけなら私がどうにか出来るからね」


 戦争のない平和な国だけど、良いのかな……無責任すぎたりしないかな?


 そんな無用の心配していた。


 その後は、アクアの歌声と、オリビア先生のピアノの音色に会場中がしんみりしたり湧き上がったりとした。そして閉会式が行われ、基礎学年1年の学内武道会が幕を閉じた。


読んでくれてありがとうございます!


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引き続きよろしくお願いします!


明日は、エキシビションマッチ、パーティ部門のアクアVSハンゾー戦をアクア視点でのストーリーを上げます。

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