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第109話 あやかし?

 ミアンの手術から約1ヶ月ほど時は流れ、明日から学内武道会の予選が始まる。


 私はミアンと一緒にサウススペルンの治癒院に来ていた。


「ミアンさんも大分手慣れてきましたね」


 イリーナがミアンを褒めていた。


「そうですか?」


 今日はミアンがメインで3回目の開腹出産手術だった。


 この1ヶ月、イリーナ、マリベル、ミアンと私で、クゥの場所を借りて何度も何度も開腹出産の流れを練習していた。そのおかげもあって4人のうち誰かがいれば安定して出産が出来るようになっていた。


「えぇ、もう任せても大丈夫だと思えるレベルですよ」


 体の構造を知っている、イリーナ、マリベル、私に比べて、ミアンは体の構造を覚えることから始めたせいか、3人よりは数歩出遅れていたが持ち前のやる気で大分追いついてきた。


「よかったです、新しい生命の誕生って感動しますね」


「そうですよね、私もこの仕事をしていて一番好きなシーンなんですよ」


 イリーナは同意していたが、私から見ると感動なんてする?


 と疑問に思っていた。感じ方なんて人それぞれだし何も言わないけど。


「そういえば、ミアンちゃんは、武道会参加するんでしょ?」


「はい、ペアの部門で参加します」


 そう、ミアンは生涯最後の思い出になるかもしれないと言うことで、摘出手術前に武道会にエントリーしていたのだ。


「そっか、私は行けないけど頑張ってね」


 マリベルはサウススペルン治癒院の責任者だから仕方ない気もする。


「はい、がんばります!」


「それじゃあ、ラミナさんとミアンさんは今日お昼の便でかな?」


「その予定です」


 私が答えなくても大体ミアンが他の人とやりとりしてくれるので楽だ。


「そうですか、それじゃあちょっと早いですけどお昼にしちゃいましょうか」


「はい」


 4人で院内食堂に移動しご飯を食べていると、ミアンが話し出した。


「そういえば、先輩方の居た頃ってアカデミーの7不思議ってあったんですか?」


「あ~懐かしいですね、私が居た頃には既にありましたよ」


 そう応えたのは年長のイリーナだった。


「ですね、ダンスホールのゴースト、花摘みに消える女生徒とかですよね」


「そうそう」


 私は7不思議なんて知らないけどと思いながら話を聞いていた。


「最近ダンスホールのゴーストが頻繁に目撃されているんですよね」


「あぁ、そうみたいだね、私も先日ヴィッシュ先生から言われたよ」


「あの……、7不思議について全然知らないですけど、ダンスホールのゴーストってなんですか?」


「あら、ラミナちゃんは知らないんだ、ダンスホールのゴーストってのはね、夜誰も居ないはずのダンスホールから、ステップを踏む音やらピアノの音が聞こえるって話なんだよ。見回りの先生が確認しに行くと、扉のガラス越しには中に誰かが居るのが見えるのに、扉を開けると消えちゃうんだって」


「へぇ……、ダンスホールって事は貴族科ですかね?」


「そうそう」


 はぁ、不思議なこともあるんだなぁなんて思っていると。


『学内ってゴーストの気配なんてありませんよね』


『だな、かといってあやかしの気配も無いがな』


 アクアとグレンのやりとりを聞いていると聞き慣れない単語が出てきた。


「あやかしって何?」


『あやかしってのはね~、人や動物、魔族でも魔物でも無い第3の存在なんだよ~』


『状況によるが、強い負の感情と魔素で異形の者になったりするやつだな。ゴーストなんかのアンデットもあやかしの一種だが』


「はぁ……、ゴーストでもあやかしでもないって事は誰かのいたずら?」


『じゃないか?調べるか?』


「いや、いいよ、ダンスホールなんか行かないし……」


『そうか』


 興味が0と言うわけでも無いが、私と関係ない場所だしこの時は良いかなぁって思っていた。


「ラミナ精霊さんから何を聞いたの?」


「ん~、ダンスホールにゴーストの気配とか、あやかしの気配は無いって精霊さんが言ってた」


「ますます謎ですね、最近頻発する怪奇現象!」


「マリベルは昔っからそう言うの首突っ込みたがりますね」


「面白いじゃないですか」


 マリベルはそういう話が好きなのかな?


 そんな話をしながらお昼を済ませて、ミアンと共に帝都に帰った。



「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


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