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第108話 生涯の相棒

 出された物はどれも美味しかった。私はもちろんだったが精霊達も満足した様子だった。


 食事が終わると、執事やメイドの方々が食器を下げていった。


「ラミナ君」


「はい」


「君は今後もミアンにやったことをやっていくつもりかい?」


 ミアンにやったことって、お腹を切って~ってやつかな?


「お腹を切って治療とかですかね?」


「そうだね」


「必要あればですかね?」


「そうか、人手は足りているのかい?」


 どうなんだろうか?


「精霊達がいるから問題ないですけど、精霊達はいずれ人だけでやれると良いねって以前言っていました」


「そうか、ミアンを一員に加えるつもりはないかい?」


「ぇ?それはどういう事でしょうか……」


「そのままの意味だよ、ミアンが胸に病を持っていることは昔から知られていてね、貴族の娘とは言え病を持っている娘を引き取ってくれる所は無いからね」


「ぇ、でもそれは、昨日治しましたよね?」


「そうだね、ミアンの強い要望で病が治ったことは伏せたままにしておこうと思ってね」


「ぇ、どうして?」


「貴族としてでは無く、君の横で必要な人の希望の光になりたいそうだ」


「ぇ?」


 公爵がこの話をしてくると言うことは、了解を得ていると言うことだろうか?


 ミアンの方を見ると。


「ダメかな?私もラミナと一緒に必要な人の支えになりたくて……」


「どうしてそんなことを?」


「どうしてか~、ツキから魔素硬化症って聞いたとき、私の命はあと数年なんだって目の前が真っ暗になったんだよね、でもさ、おじいさまとの話の時、ラミナが可能性の話をしたじゃない?」


「あぁ、うん」


 あの時はまだ構想段階で実験もしたことが無かったときだった。


「その時、僅かだけど希望の光が灯ったんだよね、だからかな、私みたいに絶望しかない人たちの光になりたいって、でも私一人じゃそれは出来ないからラミナの側でって」


「そっか……」


 私としては固定で手伝ってくれる人がいるならそれは心強い気がするけど、良いのかな?


 卒業したら先祖の歩んだ道を行ってみたいと思っているし、先祖が行かなかった地域にも行きたいと思っている。


『いい話じゃ無いですか?』


『だな、まん丸がやっていたところでも良いし、対面でラミナのサポートでもいいんじゃねぇの?』


『せやなぁ、ミアンに技術をたたき込んでもええと思うで』


 精霊達は賛成のようだ。


「わかった、良いけど、自分のやりたいこととかできたら言ってね」


 何も私に付き合い続けることは無いと思う。


「それはもちろん!」


「じゃあ、よろしくね」


「こちらこそ!」


 この先、生涯の親友として長い付き合いになることは知らなかった。


「あっ、そうだ!ラミナこれ見て」


 ミアンがそう言うと、どこからか綺麗な透き通った水色の玉を取り出した。


宝石だろうか?


「何これ」


『水属性の魔石ですね』


 私の問に対して即座にアクアが答えていた。


「ホープ卵!」


 アクアの答えを聞いてなかったら、“宝石じゃ無くて?精霊の卵?”なんて思ったかもしれない。


『ミアンの魔素がたまりにたまって魔石化した物ですね』


「水属性の魔石だって」


「属性魔石は非常に珍しいと聞くが……」


「そうなんですか?」


 魔石というと透明なガラス片みたいな物しか見たことないけど。


『まぁ作れるのが俺等精霊か、持っているのは属性ドラゴン・あとは……エレメンタル系の魔物たち位だからな』


 今度はグレンが教えてくれた。


「あぁ、サンダーエレメンタル等のエレメンタル系の魔物が持っていてね、特定の地域にしかいなく、並の冒険者では手が立たなくてね」


『生まれたときから魔石を持っているから魔物扱いされてるけど~、僕らと同じ精霊なんだよ~』


 今度はまん丸が教えてくれた。次はミントの番だ。


「へぇ、そうなんですね、この辺りにいるんですか?」


「いや、この辺りでは見たという話は聞いたことがないね」


『ネユニロントにぎょうさんおるで』


 やっぱり、次は誰だろうか?


 ネユニロント……、ミッシェルの故郷で夏休み行く予定の場所、出会うことは出来るかな?


「そうなんだ……」


「まぁがっかりしなくてもいい、魔大陸にいるドラゴン種なら必ず持っているそうだよ」


 それはさっきグレンが言っていた。


 魔大陸って精霊達からも何度か聞いていたけどどこだっけ……。


「魔大陸ってどこにあるんですか?」


「ここから遙か西にある大陸だね、人が住めるのはポートリタという街だけ」


 あぁ最近だとクラブ活動の時だ、思い出した。


 聖女リタが、教会での一件をやり終えた後に流された地、魔大陸のポートリタ忘れないようにしないと。


「そうなんだ」


「魔大陸と言われるだけあって、ポートリタの外は魔物であふれかえった場所だそうだよ、君なら、聖女殿がやったように大陸を回れるのかもしれないね」


「ぇ?魔大陸を歩き回ったんですか?」


 精霊達からポートリタと魔大陸に関する話は聞いたことがなかった。


「おや?しらないのかい?」


「はい」


「そうか、魔大陸の地図を作ったのは聖女様なんだよ」


「へぇ」


 初めて知ったかも。


「リタの伝記とかあるんですか?」


「そういった物は残っていないが、歴史の授業でも出てくるし、聖女リタこの名は世界中でも有名な名だよ。もっとも病気や怪我を治した偉人としての名だけどね」


「魔大陸の話はあまり残ってないんですか?」


「そうだね、ポートリタの冒険者達の間ではそっちのほうで有名だよ」


「そうですか」


 先祖の軌跡をたどるなら、私も魔大陸旅すべきなのだろうか……?


 その後も公爵が知っている先祖の話を色々聞かせて貰った。


『実際は薬草集めやドラゴン素材を集めるために回ったんで、地図作成はついでなんですけどね』


『ラミナのカバンにも大量に入っていると思うぞ』


『他にもね~珍しい鉱石が取れるからって歩き回ったんだよ~』


『リタが歩いた所は荒野になりましたけどね……』


『ぼーん、どかーん、ばーんや、うちなんか悲しゅーてしゃあなかったわ』


 およよ……、と泣く仕草を見せるミントが印象に残った。


『爆発魔法やら、火炎の魔法使いまくったからな』


『実際大陸の半分近くは焦土化したもんね~』


 まん丸の一言でなんとなくイメージがついた。


 爆発魔法やらを撃ちまくった挙句、森林やらを吹き飛ばし焦土化したという事だろう。


 それなら、植物の大精霊であるミントが悲しむ姿を見せてくれたのも納得できた。


『今では緑の美しいところになっていますけどね』


 アクアが締めくくっていた。


 その後は、公爵一家と色々な雑談を交わした後、自宅まで送ってもらった。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


『☆☆☆☆☆』より評価.ブックマークをよろしくお願いします。


作者の励みになります!



これにて、ミアンの肺患い編はおしまいです。続いて学内武道会編へ

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