表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

感謝の念

「……………うわぁ」



 ほどなく、呟きを零す。そんな僕の視界には、水色の風鈴が心地好く響く縁側。そして、左手には種々の木や草花が彩る穏やかな庭が広がって――


「……いいところだろ? 真昼まひる

「……彩氷あやひ……うん、とっても」


 すると、僕の心中を察したように尋ねる彩氷。その表情は、この空間に優しく溶け込むように穏やかで。視線を移すと、元輝げんきさんもニカッと快活な笑顔を浮かべてくれていて……うん、良いなぁこの雰囲気。




「二人とも腹減ったろ。ほら、遠慮せずに食べな!」

「ありがと、元輝さん。ほんと、もう腹ペコで」

「……あ、ありがとうございます……元輝さん」

「おう、気にすんな!」



 それから、数十分経て。

 桧木の香り漂う和の居間にて、太陽のような笑顔でそう口にする元輝さん。僕らの前には、ご自宅の畑で採れたという野菜をふんだんに使った料理の数々。どれもとても美味しそうで、恐縮しつついただきますと手を合わせる。そして――


「…………美味しい」

「おっ、嬉しいねえ! そう言ってもらえると作り甲斐があるってもんよ!」


 そう、声を洩らす。すると、本当に嬉しそうな笑顔で告げる元輝さん。……うん、ほんとに美味しい。僕なんかが通ぶるのもどうかとは思うけど……それでも、食材の質からして普段食べているものとはまるで違う気がする。彼が、いかに丹精込めて作っているかが見なくても分かるようで。そして、料理もあれこれ手を加えるわけでなく、素材の味を最も生かす形で最低限の……うん、何を語っているんだろうね、僕は。




「……ご馳走さまでした。改めてですが、本当に美味しかったです」

「ごちそうさま、元輝さん。今日も美味かったよ

「おお、お粗末さま。気に入ってくれて嬉しいぜ!」


 それから、数十分後。

 他愛もない会話に話を咲かせつつ、楽しく美味しい食事を終えた僕ら。まあ、僕はコミュ障ゆえほとんど話せていないと言うか……彩氷と元輝さんのお二人が会話をリードしてくれたので非常に助かりました。


 その後、しばし縁側にてのんびりする僕ら。そっと鼓膜を揺らす風鈴の音が、何とも心地好く眠気を誘う。だけど、眠っているわけにはいかない。パシッと自身の頬に手を当て、すっと立ち上がる。そして――



「……あの、元輝さん。僕に、なにか出来ることはありますか?」



 



 


 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ