風鈴が消えた街
得体もつかめず
ただ生温いだけ
人肌を通り過ぎれば
追い払われて
びゅと吹く
風は寂しかろう
ならばせめて
風鈴を飾れば
涼しさ感じてくると思えど
人の声せわしく
それを非難し
風鈴は街から消えいずる
カランガラン……。
懐かしの音は
昔話でのみ語られし
伝承の音色
風鈴の記憶
下駄の音鳴らし
鞠をついていた
あの頃はもう無かれども
誰もが想像できる幻想
昔にあった日本の物語
聴き逃さぬように
先祖代々受け継いでゆく
今風で言えば
エモいというべきか
風はゆく
耳傾ければ
カランガラン……。