表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/110

第73話 消えたキリタイ族

 ――翌日。


 俺は妻のジェシカを連れて、バルバルの本村落から出掛けた。

 キリタイ族のバルタに会って、硝石の生成を依頼するのだ。


 留守居はアトス叔父上だ。


「アトス叔父上。お願いします」


「うむ! 土はたっぷり用意しておく。あと硫黄も帝国の商人から買っておこう」


 頼もしい叔父である。

 持つべきは優秀な親族だ。


 俺とジェシカは、馬に乗って北へ進んだ。

 途中で大トカゲ族のロッソを誘って、バルバルの港町オーブを目指す。


「ガイア~! 馬! 楽しい~!」


 ジェシカは馬に乗ってご機嫌である。

 俺、ジェシカ、ロッソの馬は、戦利品だ。

 戦死したキリタイ族の遺品である。

 いや、キリタイ族は馬を家族同様に扱うと聞く。遺族と言うべきか。


 とにかく良い馬なのだ。

 足が速く、持久力がある。


 馬体が大きいので、大柄なロッソが乗っても大丈夫。

 よくしつけられているので、乗馬が上手くない俺が乗っても大丈夫。


 さすがはキリタイの馬。

 普通に買ったら高いだろうな~。


 アルゲアス王国の商人に売ってくれと頼まれたが、あのアトス叔父上が断っていた。


『キリタイの馬だぞ! 二度と手に入るかわからない! それに繁殖に成功すれば……ムフフ……』


 持つべきは、銭勘定逞しい親族である。


 繁殖に成功するかどうかは、数年経たないとわからないが、俺たちバルバルはキリタイ族を取り込んだ。

 キリタイ族に任せておけば、馬は増えるだろう。



 さて、道中にあるバルバルの村々で二泊して、俺たちは先を急いだ。


 無事にバルバルの港町オーブに到着した。

 まだ、掘っ立て小屋が建ち並び、港の桟橋を工事している最中だが、独特の活気がある。


 しかし、キリタイ族の姿が見えない。


 俺はキリタイ族の族長バルタに、『しばらくオーブを拠点にしてくれ』と言っておいたのだが……はて?


 俺は現場監督のディアスに、キリタイ族がどこにいるのか聞いた。


「キリタイの連中なら出掛けてるぞ」


「出掛けた? どこへ?」


「さあ? 言葉がわからないから……。ただ、馬に乗って狩りに行くような身振り手振りをしていたぞ」


「わかった。ありがとう」


 心当たりがある。


 キリタイ族のバルタから、バルバルの領域に草原はないかと相談されていたのだ。

 キリタイ族としては、草原で生活をしたい。

 可能であれば、遊牧が出来る広大な草原が良い。


 俺はバルタに、『港町オーブの西に草原が広がっている。ただし、草原には魔物が生息しているので、魔物を退治しながら領域を広げる』と話したのだ。


 恐らくバルタはキリタイ族を引き連れて西の草原へ向かったのだろう。

 自分たちの手で領地を広げようと考えたのか……、それとも俺の帰りが待てなかったのか……。


 キリタイ族は女子供も戦となれば武器を取る習俗がある。

 魔物相手に大丈夫だろうか?


 俺は心配になってきた。


「キリタイ族を追うぞ!」


 俺は港町オーブで食料と水を補給して、ジェシカ、ロッソと共に西へ馬を走らせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■お知らせ■

m3xp8tkadjxaklfuf50kcny8up9_qa2_dw_jq_94mv.jpg

【蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服】がコミカライズされました!
マンガ一巻発売開始です!
全国の書店、Amazon、電子書籍サイトにて、ぜひお買い求め下さい!

蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服1(Amazon)


■クリックで応援!■

★★★小説家になろう 勝手にランキング★★★

― 新着の感想 ―
狩にお出かけ中!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ