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【コミック発売中】蛮族転生! 負け戦から始まる異世界征服  作者: 武蔵野純平
第一章 土下座から始まる異世界人生!
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第12話 鉄の剣

次話は0時更新予約済みです。

 ――戦いが終わった。


 勝利の余韻に浸る間もなく、俺たちは敵兵の死体から装備品を回収することになった。


 アトス叔父上によれば、我々バルバル傭兵軍が倒した敵の装備は、我々バルバル傭兵軍に権利があるらしい。


『獲物の権利は、獲物を倒した者に帰属する』


 というルールだ。


 俺はフラフラしながら、先ほど俺が倒した敵騎兵隊隊長の死体をまさぐった。


 敵兵の死体から装備品を取り外すことに抵抗を感じていたが……。


(これ! 鉄剣だ! こっちは鉄のナイフ! やった!)


 敵の隊長は、鉄製装備を身につけていたのだ。


 鉄製武器が手に入れば、ブルムント族の村近くにある資源――岩塩の近くにいる魔物に勝てるかもしれない。


 岩塩のエリアから魔物を追い出せば、岩塩はブルムント族の物だ。


 俺はヒゲ面の騎兵隊長の骸に手を合わせた。


(鉄器をありがとう! 役立たせてもらうぜ! 成仏してくれよ!)


 俺は喜んで、敵隊長の身ぐるみを剥がした。


 ・鉄の剣

 ・鉄のナイフ

 ・鉄の槍(穂先のみ)

 ・上物の衣服

 ・銀貨、銅貨

 ・サッシュ(身分を示す帯)


 なかなかの実入りだ。


(傭兵業って儲かるんだな!)


 あくまで『勝てば』の話だろうが、俺はブルムント族が傭兵を生業にしている理由が少しわかった。儲かるのだ。


 俺がホクホクしながら敵の装備品を回収していると、大トカゲ族の族長ロッソが近くにいた。


 右手に青銅製の剣、左手に鉄製の小ぶりな剣を握って考え込んでいる。

 やがて、左手の鉄製の剣を捨てた。


 俺は、思わず声を出してしまった。


「あっ!」


「あー? なんだよ! 文句あるのか! こいつは、俺が倒したんだ! この剣は俺のモノだぞ! ガイアには、やらないぞ!」


 ロッソは、俺が剣を欲しがったと勘違いして、右手に持った青銅の剣を隠すように抱えた。

 どうやら鉄製と青銅製の見分けがつかないらしい。


「今、捨てた剣の方が良い剣だ。捨てたのは鉄製の剣だよ」


「鉄製……?」


 ロッソは、俺の言うことがよくわからないらしく首をひねっている。


「今、右手で握っている剣は青銅製だ。さっき捨てた剣は鉄製で、青銅製より丈夫だ」


「なに~? ウソつけ! こっちの剣の方がデカイだろう!」


 大きさの問題ではなく、素材の問題なのだが……。

 ロッソは、理解出来ないらしい。


「ウソだと思うなら、二つの剣を打ち合わせてみろよ」


「よーし! 分かった!」


 ロッソは、小ぶりな鉄剣を左手で拾い上げて、右手で握る青銅の剣と思い切り打ち合わせた。

 硬質な音が辺りに響く。

 そして、青銅製の剣は大きく欠けてしまった。


「ああっ!」


 ロッソは驚き、鉄剣を凝視している。


「なっ! 鉄製の武器は丈夫だろ?」


「ホントだ! スゲエ!」


「どうせ沢山は持って帰れない。鉄製品を中心に集めろよ。鉄製品は買うと、かなり高い。からな。その方が得だろう?」


「おお! そうだな! よし! 手下に探させよう!」


 ロッソは大喜びだ。

 大トカゲ族に命じて、鉄製品の武器や防具を探し始めた。


 このやり取りが、バルバル傭兵軍の他部族にも伝わって、バルバル傭兵軍全体で鉄製品を探し始めた。

 良かった。

 これでバルバル傭兵軍の戦力アップだ!


 誤算だったのは、鉄製品と青銅製品の見分けをつけられないヤツが多くて、俺のところに武器や防具を山ほど抱えてやって来たことだ。


 俺は、回収する装備の分別に追われることになった。

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― 新着の感想 ―
鉄と青銅の違いが理解らないのかーーーい!! 族長の知識が部族の発展にえらい貢献しちまうな ヤバイぜ異世界!!?
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