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第103話 ベッヘンハイムと一騎打ち(後編)

 俺はベッヘンハイムと打ち合った。


 ポポン将軍に借りた剣は、さすがに強い。

 ベッヘンハイムのウォーハンマーを弾き、反らしても折れ曲がらない。

 俺がベッヘンハイムの攻撃を防ぐようになったことで、徐々に形勢はスピードに勝る俺に傾いてきた。


 俺はベッヘンハイムの繰り出すウォーハンマーをきわどいところでかわし、剣を急所に突き込む。

 だが、ベッヘンハイムは器用にウォーハンマーを操り、ウォーハンマーの頭や柄で上手に防御する。


(凄いな!)


 ベッヘンハイムは力だけでなく、技術も高い。

 さすがノルン王国のヤール。

 国王に反発するだけの力と技量を持っている。

 単に粗野な海賊ではない。


 それに俺の剣が折れた時に、『交換しろ』と促し待ってくれた。

 ヤール――貴族として、戦う男として矜持がある。


 俺はベッヘンハイムに好意を持った。


(殺すのは惜しい!)


 俺は作戦変更してベッヘンハイムを生け捕ることにした。

 ベッヘンハイムがウォーハンマーを下から上にカチ上げてくる。

 俺はわざと剣をはじき飛ばされた。


 ベッヘンハイムが無手になった俺を見て勝利を確信し吠える。


「もらったぞ!」


 ベッヘンハイムは振り上げたウォーハンマーを振り下ろすべく、大きく振りかぶった。


(隙がデカいぜ!)


 俺はスルッと甲板に滑り込み、ベッヘンハイムに蟹挟みを仕掛けた。

 俺の足がベッヘンハイムの両足をすくう。


「うわっ!」


 ベッヘンハイムは後ろにひっくり返った。


「グッ……!」


 ベッヘンハイムが後頭部を甲板に打ちつけた。

 鉄製の兜をかぶっているとはいえ、ダメージはある。

 脳が揺らされたのだろう。

 頭に手をやって、立ち上がろうともがいている。


(さあ、ここから!)


 俺は無言でベッヘンハイムに組み付き寝技をしかける。


 まず、俺はベッヘンハイムの足をつかみ、膝を固めようとした。

 ベッヘンハイムは危険を察知して横に転がり、うつ伏せになって急所を守ろうとした。


(逃がさない!)


 俺はベッヘンハイムの足を固め、体の上に覆い被さり、首を両手でガッチリホールドする。

 足を痛めつけると同時に首を絞めた。

 プロレス技のSTFに似た形だ。


 プロレス技は腕で顔面を痛めつけるが、プロレス技と違い俺の腕はガッチリと首を絞めている。


「うがー! な、なんだ! この技は! 逃れられん!」


 ベッヘンハイムがもがく。

 腕をバタバタと動かすが、足を決められているので、逃げることが出来ない。


「くっ……グッ……ぐ……」


 ついにベッヘンハイムは意識を失った。


「ふう……」


 俺はゆっくりと立ち上がる。

 ポポン将軍が大音声で俺の勝利を伝えた。


「バルバルのガイアの勝利じゃ!」


 どうっ! と大きな歓声と拍手の音。

 周りを見ると、アルゲアス王国の兵士たちは、俺を見て手を叩いたり、剣を突き上げたりして、俺の勝利を讃えている。


 一方の海賊たちは、ポポン将軍のアルゲアス王国語はわからなかったであろうが、俺の勝利が明らかであるため、次々と剣を甲板に放り出し降参している。

 どうやら一騎打ちの結果を受け入れてくれたようだ。


 気を失ったベッヘンハイムは、アルゲアス王国の兵士が縄を打ち、アルゲアス王国の船へ運ばれていった。


「ガイア!」


 ジェシカが走ってきた。

 嬉しそうに笑い、頬が上気している。


 俺はジェシカを抱きしめるとキスをした。


(ああ……、生きてるな!)


 俺は勝利を噛みしめた。

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― 新着の感想 ―
寝技にまぐれはないからね…これに関して知識と研鑽がモノを言う。バイキングのような生態の連中には育ってない技術だよね。
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