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武器屋のカリスマ店員  作者: 橘菊架
第一部
9/44

誘拐


ゆらゆらと揺れていた。

ここは揺り籠だろうか。ヴェダは振動に身を任せ、目を瞑っていた。


揺り籠にしては固く、全く柔らかくない。時折激しく揺れては身体をぶつける。

そして、違和感にようやく気が付く。


手足が、縛られている。


目を開くと、薄暗い場所だった。

ガタガタと揺れる振動は、ここが馬車の積荷台だかららしい。

時折馬の嘶きが聞こえる。


ヴェダは軽く顔を顰めた。

頭が殴られた様に痛む。意識を失った時にぶつけたか、殴られたか。

確認しようにも手が後ろで縛られているのでどうしようもない。


どこに連れて行かれているか分からないが、殺される事はないだろう。

頭は痛むし身体の自由は効かないが大人しくするしかない。ヴェダは溜息を一つ落とす。


(今何時かしら。お客さんとの約束守れそうにないわね)


戻れたら謝らないといけない。

でも、怒って二度と来ないかもしれない。

約束を違えてしまう事がヴェダにとって物凄く辛い。

誘拐された事よりも、お客さんの事が気掛かりでそわそわしてしまう。


随分と時間が経ち、振動が治った。

コロコロといつの間にか奥に転がっていたらしい。反対側が開き、数人乗り込んできた。


逆光で顔が見えないが、キツイ香りが鼻に付く。香水を頭から被ったかの様だ。隣の国の人だろうか。

雨が余り降らず、砂漠だらけで水が貴重で中々風呂に入れないのでキツイ体臭を香水で誤魔化すと聞いたことがある。


「付いて来い」

「手足縛られてて動けません」


一人の男がヴェダに近づき偉そうに吐き捨てるが、ヴェダは涼しい顔で軽口を叩く。

舌打ちをし、男はあっさりとヴェダの拘束を外した。

有無を言わせぬ態度で背中を向けさっさと歩き出した。逆らうと面倒臭そうなので大人しく着いていく。


何処かの森の、人が行き来して出来た様な道を歩く。時折、獣の様な、化け物の様なけたたましい遠吠えが聞こえる。

戦闘スキルを持たないヴェダには恐ろしく聞こえる。襲われたらひとたまりもないだろう。


道の先に、空を貫くようにそびえ立つ塔が見える。

噂に聞く迷宮なのだろう。

何故迷宮にヴェダが連れてこられたか、何となくわかる。


鑑定は、人だけに作用する物ではない。宝石や魔力が付与された物も鑑定は使える。

応用として、迷宮や迷路の仕掛けも、仕組みを見抜ける。


迷宮は世界中にあるが、鑑定のスキルを持つ物は数少ない。

鑑定のスキルを持つ者は例に漏れず、皆、紫の瞳である。

偶然街で耳にして即座に行動したのだろう。如何にも冒険者らしい。

いや、冒険者に失礼か。


街の食堂でもカルマと共にかなり注目を浴びていたし、仕方がないかも知れない。

もうバレているだろうし、変身のスキルは使わなくていいだろうと思ってしまった。

母が人前で変身のスキルを解くなと口を酸っぱくして言っていたのを理解した。今度母の墓参りで謝らなければならない。


無事に帰れたら、の話だが。

今日始めたソシャゲにハマってしまって執筆時間短かったので、ちょっと短めてす。

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