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武器屋のカリスマ店員  作者: 橘菊架
第一部
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闖入者


店の奥にある、ヴェダ専用のカウンセリングルームには、壁にいくつかの武器がかけられ、脇の方にスタンドに武器が立てられている。

オーソドックスな武器だけが並ぶその部屋の真ん中に小さな机と椅子が四脚鎮座する。


隅の一角に魔力ケトルと挽かれた珈琲やお茶の茶葉が並ぶ。

魔力ケトルとは魔力を注ぐことで数分で水をお湯に変えることの出来る魔具である。やかんを火にかけるよりも早く沸くので大抵は魔力ケトルを使う。


ヴェダは魔力ケトルで湯を沸かし、珈琲を作ると椅子に座り、大きく息を吐いた。


瞬く間に別人になったヴェダは睫毛で縁取られた目を伏せた。


変身と言うスキルがある。

文字通り、身体を作り替え、別人に成り済ますスキルである。

ヴェダは変身のスキルを保有し、常時発動させている。

地味だった茶髪のボブは人目を惹く輝かしい金髪のロングに。丸い頬は見る影もなくシャープなものになり、可愛らしい団子鼻は鼻筋の通った高い鼻に。手足は伸び、胸と尻は膨らみ、逆にウエストはカーブを描く。

印象の薄い茶色の瞳はこの世にも珍しい紫の瞳に変わる。


紫の瞳は、王の右腕と言われる者の持つ色である。

歴代、王の右腕と称される宰相は紫の瞳を持った者だった。人の善悪を見抜き、王に害する者を排す、と。


政治には興味がないし、店員をしていたい。

現在、紫の瞳を持つ人間を国は死に物狂いで探しているがヴェダは名乗り上げるつもりは無い。

ガロも特に何も言ってこない。恐らく、ヴェダがいなくなった後の売り上げを考えるといて欲しいと思っているに違いない。

非常に助かる話である。


珈琲に反射し、写る自分の姿を眺めてみる。

地味で印象の薄い、武器商人のヴェダとは正反対の人間がそこに居る。

この姿を見た事があるのは今は亡き母と孤児院の悪戯好きな悪餓鬼とガロのみ。軽く唇を噛み、一気に珈琲を飲み干す。


休憩の時間は終わり。仕事をしなければ。

戦闘経験の無いヴェダはMP量があまり多く無い。常にスキルを使っている状況はかなり負担がかかる。さらに、複数のスキルを同時に使うこともあるので、こうしてちょくちょく休憩を挟まないと過労でぶっ倒れることもある。


MPポーションを飲むと言う手もあるが、冒険者じゃないヴェダには少し手が届かない値段なのだ。

国一番の武器商人が高給取りであるとは限らない。

MPの回復を手伝う珈琲やお茶を飲む事で誤魔化し仕事をしている状態である。


一瞬で地味な武器商人に戻ると、ヴェダは扉を開け、声を上げる。


「番号札6をお持ちのお客様、こちらへどうぞ」


今か今かと待ち構えていたらしい少年冒険者が目を輝かせ、番号札片手に人をかき分けやって来た。

6と書かれた番号札を受け取りカウンセリングルームに通す。

低い鼻は眼鏡がよくずり落ちる。ヴェダは人差し指と親指で右横のフレームを掴み、眼鏡の位置をそっと直した。


「なぁ、嬢ちゃん。俺もカウンセリングしてくれやしないかい?」


有無を言わせない不遜な態度でヴェダの細い肩を無骨な手が掴んだ。

眼鏡のフレームに手が当たり、ずり落ちる。掛け直し、目の前の男に目を向けた。

ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる男にスキルを発動させる。


鑑定。

レベル、保有してるスキルと詳細、健康状態、諸々。所持している武器に目を向け、さっとスキルに目を通す。

もう一つ、アルバムのスキルを発動させ、男の名前や顔、スキルなどを脳内で書き込む。引っ掛かりが無いので、初対面、と。


「カウンセリングは必要ありません。今お持ちの武器、使いやすくは無いですか?」

「あぁ、そうだな」

「左手奥に槍は置いてあります。気になるものがあればお試しください」


では、と踵を返した瞬間、肩に痛みが走り体が壁に激突した。

ざわめく店内。だが誰も助けてくれやしない。先ほど見た男のレベルは中々に高かった。


「カウンセリング、頼めるよな?」

「お言葉、ですが、カウンセリングは、必要ない、かと」

「あぁ?聞こえねぇなぁ!」


わざとらしく大声を出す男は肩に突き刺した槍を、傷口をえぐるように動かす。思わず痛みに喘ぐと気を良くしたのかさらに槍を動かす。

男のスキルには、魔力吸収があった。槍を媒体に今現在ヴェダからはMPを吸い出している。大してMP量が多いわけではないヴェダは目眩を感じ始める。


(まずい、このままだと)


変身が、溶ける。

じわじわと上の方から変身が剥がれ落ちていくのがわかる。短い茶髪が伸び、金髪に。少し丸みを帯びた手足から余計な贅肉が落ち、伸びる。

変に騒いでいる様子を感じ裏の鍛治場から出てきたガロが視界の端に映る。


「うちの店員を離してくれ」

「カウンセリングしてくれるならな」


男はにべもなく断るとガロを突き飛ばす。片足が義足のガロは、それだけで簡単に尻餅をついてしまう。


その時、激しい轟音と男の呻き声が聞こえた。

次いで、ドアについた鈴がからん、と鳴る。


「情けない冒険者だ。傲慢な上に弱い」


やっと、助けが入ったらしい。

もっとサクサク話進めた方が良かった気はしてます。反省。

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