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sas再び

作者: emo






タラクネ区 王国陸上自衛軍 研究室


PP「はい100万」


メアリー「後払いって言ったはずだが」


PP「上層部がそうしなさいって言ってたんだよね。

「彼は悪党だが、こすい真似はしない。

出来るだけもてなせ」ってさ」


メアリー「ぜってーあいつだわ。

ふーん、出来るだけもてなせって言ったよな?

これから二人でホテル行くぞ」


PP「その冗談は嫌われるためにやってるじゃない?

よくないよそれ。

もてなせって言うのはきっとあれだと思うんだよね。

そこのショーケースにあるもの使っていいから。」


メアリー「スナイパーライフルだな。ブラスタータイプ、良いのか?」


PP「対オートマタ用の試作品、遠近両方使えるから今回の仕事で役に立つと思うよ。」


メアリー「ふふ」


PP「おや?あげるよ。」


メアリー「にっこり」


PP「へー、嬉しいんだ。

あとね、スタンドアローンスーサイド!再び!って張り切ってる若者がいるから、お世話してあげてね。

これはその前払い報酬(ほうしゅう)かな。」


メアリー「またアイツと組むのか。

あいつ堅苦(かたくる)しいし暑苦(あつくる)しいんだよなぁ」


PP「ほらほら早く行きなさいよ、待ってるんだから。」


メアリー「………」


PP「ディアオくん、そろそろ行くよ。」


メアリー「ホテル行きたいって言ったよな。

お前だけガチだから」


PP「現金なやつだねぇ、あいにく興味ないよ」


タラクネ区 スラム街


メリーアイン「ツヴァイ、ドライ、今日は市街戦(しがいせん)だよ!張り切って行こうね!」


メリーツヴァイ「ホントに自衛軍がここを巡回(じゅんかい)するのかなぁ、士官どのってたまに適当だし…」


メリードライ「士官どのの悪口を言うな!

ツヴァイ、今の報告するからな。」


メリーツヴァイ「今回自信ないんだよぉ、やめてよぉ」


メリーアイン「私達はキューティーセラフ小隊、名前かわいいでしょ!

治安維持を目標に活動しているオートマタのゲリラ部隊!

今回の任務は対立組織、王国陸上自衛軍、通称、自衛軍の戦力削減(さくげん)

あいつらすごく悪い奴らだって士官どのが言ってたの!

まあ、私達にかかればイチコロね!」


メリーツヴァイ「アイン〜、もう自衛軍が巡回してるよ。

私、後方支援(こうほうしえん)で良いかなぁ?」


メリードライ「臆病者!だからお前は階級が低いんだ!」


メリーアイン「ドライちゃん!あんまりキツイ事言っちゃダメじゃない!

ツヴァイちゃんは今日は具合が悪いの。

元気なドライちゃんがその分頑張ってあげてね。」


メリードライ「アイン隊長、了解!

ツヴァイ、それなら私は構わないぞ。

私が先陣(せんじん)を切るのをよく見ていてくれ。」


メリーツヴァイ「アインちゃん、ドライちゃんって何考えてるかよくわかんないよぉ…」


メリーアイン「けっこう単純なのよ〜。

ツヴァイちゃん、ドライちゃんの援護(えんご)するよ。

セーフティを解除して、セレクターはフルオートにして待ちましょ」


兵士「こんにちはお嬢さん、ここはあまり治安が良くない、俺たちが案内するからまず身分証見せてくれないかな?」


メリードライ「いいだろう、これでいいか?」


兵士「ぐっ!」


兵士「タカハシ!HQ(エイチキュー)、本部!

タカハシが女に刺された!

救護班(きゅうごはん)を頼む!」


メリードライ「救護班だけでいいのか?

次からは戦車でも持ってくるんだな。」


兵士「この!……お前、メリーシリーズ…!

お前らは治安維持組織のーー」


メリーツヴァイの荷電粒子小銃(かでんりゅうししょうじゅう)が兵士の頭を吹き飛ばした


メリーツヴァイ「アインちゃん!当たったよ!」


メリーアイン「そうよ、訓練通りでいいのよ〜

あと二人、撃ち殺すぞ〜」


兵士「このアバズレロボットがよぉ!」


実弾の銃声、金属音がこだまする。

ホームレス達は逃げ惑い、中には流れ弾に当たるものもいた

兵士は全滅した。


メリーツヴァイ「ひぇ〜、スパスだっけぇ?

アインちゃん、よく実弾使えるね」


メリーアイン「当然!私はメリーシリーズのカスタム機なんだから!」


メリードライ「アイン隊長!援護にショットガンは向いていないと前に言ったはずだ!

私の人工皮膚が裂傷(れっしょう)したぞ!」


メリーアイン「ごめーん、ドライちゃん、マスキングスプレーあるから早くおいでー」


メアリー「よう、俺が救護班だ」


メリードライ「誰だおまー

ばばばばばばばば」


メリーアイン「ドライちゃん!」


メアリー「ひどく精度の高いパルスライフルだな。」


メリーアイン「クソ!巡回してた奴らは(おとり)か!

出て来なさい!卑怯者(ひきょうもの)!」


メアリー「どちらが卑怯者か多数決するか?

投票結果なんか興味無いがな。

タカハシ君達は囮なんかじゃない、タバコくれた友達だ。」


メリーアイン(こいつ直接脳内に!)


メリーツヴァイ「アインちゃん、どうしたの?ドライちゃんは?」


メアリー「こちらメアリー、ディアオ、小さい方のオートマタを仕留めろ」


ディアオ「いいだろう、相棒。

確実に仕留める。」


スナイパーライフルの爆発するような銃声がスラムに響く


メリーツヴァイ「きゃああああ!」


メリーアイン「ツヴァイちゃん!」


メリーツヴァイ「銃が壊れちゃった」


ディアオ「相棒、すまない、仕留め(そこ)ねた。

おかしい、ヘッドショットを狙ったはずだぞ。」




メアリー「こちらメアリー、別に構わんぞ。

今回の目的はスラムの戦力の無力化だ。

殺せとは言われてない。」


メリーアイン「よくもドライちゃんを殺したな!」


メアリー「パルスライフルって知ってるか?

いいこと教えてやるよ。

こいつの電流を浴びたらお前らオートマタは内骨格(ないこっかく)に電流が通らず意識があるまま全身不随(ぜんしんふずい)になる。」


メリーアイン「ドライちゃん!今助けるから!」


メアリー「ドライちゃんって言うのか。

そいつ、「隊長、近寄ってはいけない、二人だけでも逃げてください」って言ってるぞ。

お前が隊長か。」


メリーアイン「おまえええええ!!!」


衛星からOPS(オーバーパワードスーツ)が射出された。

座標(ざひょう)はタラクネ区 スラム街


メリーアイン「このオーバーパワードスーツでしらみつぶしに潰してやる!」


メアリー「こちらメアリー、ディアオ、お前は一旦避難しろ。」


ディアオ「私はビルの上、お前はスラムの路地にいるんだろ!?

危ないのはお前の方だぞ相棒!」


メアリー「隊長の方は暴れてる。もう片方の小さいやつにこれから交渉(こうしょう)する。

最悪ずらかるから心配すんな。」


メリーツヴァイ「え!?誰!?」


メアリー「嬢ちゃん、今俺は嬢ちゃんの脳核(のうかく)に直接信号を送ってる。

選択肢をやる。

大人しく降伏するか、全員リタイアするか。

今すぐ選んでくれ。

殺すようには言われてねぇんだわ」


メリーツヴァイ「やだよぉ!こわいよぉ!」


メアリー「怖くないぞ、どちらに転んでも誰も死なない。

嬢ちゃんが決めるんだ。

スラムが潰される前に勇気を出せ。」


メリーツヴァイ「無理だよ!こわいよぉ!」


メアリー「いつまでうじうじしてんだ。

昔か?未来か?やるなら今だぞ。」


メリーツヴァイ「………もうやだぁ!

アインちゃん!もうやめてよぉ!!!」


メリーアイン「ツヴァイちゃん!あいつはドライちゃんをやったのよ!」


メリーツヴァイ「もうやだ!降参しまああああす!」


メアリー「ok、やるじゃん」


メアリー「デカブツ、俺はここだぞ。」


メリーアイン「死んで()びろ!」


メアリーのパルスライフルはオーバーパワードスーツのラジエーター部に被弾(ひだん)した。


メリーアイン「え?…ちょっと!動いて!

動いてよ!ねぇ!」


メアリー「やっぱりな、ディアオ、アンチマテリアルライフルで足の関節を破壊しろ。」


ディアオ「これクソ重いんだよなぁ…

しかも初めてだしなぁ…」


メアリー「これで仕事終わるんだから早くしろ。」


ディアオ「今やってる!ぐぬぬ、狙うのもしんどい!」


甲高い(かんだかい)金属音とともにオーバーパワードスーツが崩れ落ちる


メリーアイン「きゃあああ!」


メアリー「ディアオ、クソうまいな。

一人はリタイア、一人は降参、お前はどうする」


ディアオ「フッフッフ、相棒、当たり前だ。

私は狙撃手(そげきしゅ)でしかも少尉(しょうい)そして首席卒(しゅせきそつ)…あ、チャンネル変えやがった!」


メリーアイン「やだ!ちょっと!ああああ…

やだやだ!」


メアリー「パニックになってるな。

ちょっと、ツヴァイお嬢ちゃん、こっち来てくれないか?…あれ?」


ディアオ「おい!勝手に無線のチャンネル変えるな!

メアリー、そっちはどんな感じだ?

私は今エレベーターで下に降りてる。」


メアリー「ラジエーターが熱暴走してる。

片足ないし、ジェネレーターが冷え切るまでハッチは開かないだろ。」


メリーアイン「出られない!?いや、いやあああああ!」


メアリー「ディアオ、オートマタがヒステリック起こしてるぞ。

お前ならどうする?」


ディアオ「そんなバカな、ロボットなんだろ?

わけがわからんな。まあ私なら落ち着くまでその場にいるんじゃないか?」


メアリー「…ふーん、まあこのあと予定無いしな。

ディアオ、PPにはお前から連絡してくれ。」


ディアオ「了解した、もう合流する。」


メリーアイン「動け!動け!動けぇ!…….…動いてよ…」


メアリー「うまくやったな、銃はどうした?」


ディアオ「私がタフガイに見えるか?

衛星のトランスポーターで軍の武器庫へ送った。

残りの二人はどうした?

見当たらないぞ。」


メアリー「気になるか?」


ディアオ「え?まあ…」


メアリー「誘拐(ゆうかい)されたみたいだぞ。

恐らく奴隷商人(どれいしょうにん)じゃないか。」


ディアオ「はああ!?なんで早く言わない!

オートマタとはいえ、女の子だぞ!」


メアリー「言う必要がないからだ。仕事も終わったし俺は帰るぞ」


ディアオ「見損(みそこ)なったぞ…お前がそんなやつだったとは…」


メアリー「そんなやつだぞ。

俺は金で動く、それが傭兵(ようへい)だ。

それに、こいつらはタカハシ君達を殺した。

お前の仲間をだぞ。

義憤(ぎふん)にかられる対象が違うんじゃねーの」


ディアオ「…」


メアリー「うまいタバコだな。戦友の香りがする。

ディアオ、このタバコをPPにでも渡せ。

遺品(いひん)だ、絶対に遺族(いぞく)に届けろ。」


ディアオ「携帯、なってるぞ。」


メアリー「カチューシャ?仕事の依頼か?

はいもしもし」


技術士官「御機嫌(ごきげん)よう、死神。

私のメリーシリーズが拉致(らち)されてしまったようだ。

彼女達は今度、あるプロジェクトで使わなくてはならないんだ。

この間は大変世話になったね。

今回もお願い出来ないかな?」


ディアオ「誰か聞いてもいいか。」


メアリー「お前の元親分だ。」


ディアオ「貸してくれ!私が話をつける!」


メアリー「スピーカーフォンにした。騒ぐな。今、クライアントの仕事がすんだところだ。

別に構わないが、俺は報酬を100万受け取った。」


技術士官「いいだろう、倍出そう。

二人のGPSデータをそちらに送信する。

前払い報酬は……車でいいかな?」


ディアオ「おい、メアリー、それは罠だぞ。

まさか受けるのか」


メアリー「引き受ける。

オートマタ二体の奪還(だっかん)だな、二人は恐らく奴隷商人に拉致された。

すぐに車を手配してくれ。」


ディアオ「本当にお前は、機械のように金で動くんだな!

守銭奴(しゅせんど)め!」


その時、スチーム音とともにオーバーパワードスーツのハッチが開いた。

メリーアインはコックピットに(ふっ)していた。


メアリー「ぐったりしてんな。

おい嬢ちゃん、起きろや」


メリーアイン「寝るわけ…ないじゃない…降参(こうさん)よ…」


メアリー「名前は?」


メリーアイン「メリー、アイン…ドライちゃんは!ドライちゃんは死んだの!?

ツヴァイちゃんは!」


メアリー「死んでいない、拉致された。

これから奪還しにいく。

お前は組織へ帰れ。」


メリーアイン「いやよ!ドライちゃんもツヴァイちゃんも私が助ける!

私も一緒に行く!」


メアリー「相手は人間のクズとだけ言っておくぞ。

お前がどうなろうと知らないし、装備を整える時間もない。

車が到着次第早速出発する。」


ディアオ「おい、運転手!大人しく出てこい!

私は自衛軍だ!」


配達員「ちわー三河屋でーす」


ディアオ「あ、度々失礼した…」


配達員「今時車配達するなんて珍しいっすね〜。

あ、ハンコオナシャース」


メアリー「ディアオ、お前書くな。

俺がやる。」


配達員「はい、ハドソンさんですね、ありがとうございやーす」


ディアオ「ハドソンって誰だ?」


メアリー「偽名に決まってんだろ。

対立組織に筆跡情報(ひっせきじょうほう)パクられたくないだろ。」


ディアオ「あ、ありがとう」


メアリー「シェビーバンか…好きな車だ。

奴の趣味か?

お前ら乗れ。

運転は俺がする」


メリーアイン「あの」


メアリー「なんだ、ありがとうってか?」


メリーアイン「助手席、空いてないんだけど…」


メアリー「お、ニトロ積んであるやんけ、ええな。

さりげなくドライブデートしようとしてんじゃねーぞ、さっさと後ろ乗れや。」


メリーアイン「車とか!…よくわからないの!」


ディアオ「アインで良いかな、開けたから早く乗ってくれ。」


タラクネ区 郊外 荒野


メアリー「GPSのデータは恐らく正確だな。

ただ、二人が乗ってる物体がでかい。

恐らくオーバーパワードスーツ…

ただそれだけでは運搬(うんぱん)出来ないはずだ。

付随(ふずい)する何かがある。」


ディアオ「ずっと直進してるな。」


メアリー「ああ、この荒野を今100キロで飛ばしてる。

ニトロ使えばもっといける。

この調子なら隣の区へ行くだろうな。」


メリーアイン「そのニトロってやつ使いなさいよ!」


メアリー「あ、いっすよ」


バオオオオオオ!


メリーアイン「ひいいいいい!」


メアリー「止めたぞ。こうなる。」


メリーアイン「はぁ、はぁ、はぁ」


メアリー「ディアオ、お前は平気なんだな」


ディアオ「…」


メアリー(やべぇ、失神してる)


メリーアイン「二度と使わないで」


メアリー「必要になったら使うぞ。

ところでお前、装備は?」


メリーアイン「スパス、ショットシェルが六個。」


メアリー「パルスライフルのエネルギー残量もせいぜい20発だな。

そこのバカはライフル郵送(ゆうそう)しやがった。

これは(きび)しい戦争になるぞ。

…ところでお前、小隊名とかあるのか?」


メリーアイン「…キューティーセラフ」


メアリー「草」


メアリー「可愛い天使ちゃんじゃ今の状況は似合わねぇ。

俺とそこのバカ、あとお前でSAS(エスエーエス)だ。」


メリーアイン「なにそれ…バカにしないでよ!キューティーセラフはカチューシャがつけてくれたの!」


メアリー「スタンド・アローン・スーサイド。

誰も助けに来ない自殺部隊だ。

今この状況に最高に似合ってんだろ」


メリーアイン「かわいくないし!悪趣味だし!最悪!」


ディアオ「首席卒をバカ呼ばわりするな!」


メアリー「モヤシ!メスガキ!殺すぞ!

クソが、奴ら検問所(けんもんじょ)超えやがった」


メリーアイン「何が問題なのか教えなさい!」


メアリー「奴らは恐らくワイロでも渡したんだろうが、俺たちは違う。

この先は武器の持ち込みが禁止されるはずだ。

間に合わなかったな。」


メリーアイン「よくわかんない!」


ディアオ「メアリー、検問所は私に任せてくれないか?顔パスが効くかもしれない。」


メアリー「やってみろ。相棒」


ディアオ「メアリー!」


メアリー「うるせー!」


タラクネ区 境界 検問所


ディアオ「行ってくる、一旦降りるぞ。」


メアリー「頼む」


メアリー「メリーアイン、お前、車も検問所も知らないんだな、オートマタなんだろ?プログラムされてないのか。」


メリーアイン「確かに知らないけど。

でもカチューシャは色んなことを教えてくれるの。」


メアリー「例えば」


メリーアイン「お化粧の仕方とか、可愛い服のお店とか、美味しいケーキとか。

私達はカチューシャの事が大好きなの。」


メリーアイン「他は組織の兵隊さんは銃の使い方とか、カチューシャも兵隊さんもみんないい人よ。」


メアリー「俺はそうは思わんな。」


メリーアイン「なんでよ!」


メアリー「外の世界を教えてくれてないだろ。

聞け、人間が二人いた。

一人は夜空の星を見た。

もう一人は足元の泥を見た。」


メリーアイン「意味がわからないわ」


メアリー「意味がわかってねーから問題なんだよ。

お前らは泥を見た方で、それを泥と分かってないんだよ。

どうせあそこがスラム街だって事もわかってねぇんだろ。

一歩外に出ればもう死の世界なんだよ。

覚えとけ。」


ディアオ「戻ったぞ。」


メアリー「どうだった?」


ディアオ「このまま直進しろ。検問の必要はない。」


メアリー「………相棒、行くぜ。」


ディアオ「行け」


メリーアイン「軍人さん、すごいですね」


ディアオ「検問所の人間は殺されていた。

機材(きざい)の上に頭が置いてあった。あとで報告しないと。」


メリーアイン「ひどい…」


メアリー「もう追いつく、ニトロ使うぞ!」


ディアオ「ち、ちょっと待ってください!助けて!あっー」


メリーアイン「ひっ!ぐっ…」


メアリー「見つけたぜ、蛮族(ばんぞく)ども!」


バンゲリング区 荒野


蛮族「へへ、こいつは上玉(じょうたま)だぜ…ボス!

いくらぐらいになるんすかね?」


ボス「ん〜、ビューティフルな子猫ちゃんが二匹…ひどく(おび)えている、こっちの子猫ちゃんは反抗的(はんこうてき)だなぁ」


メリーツヴァイ「こわい…こわい…」


メリードライ「ツヴァイに何かしてみろ…皆殺しにしてやる!」


ボス「いきがいい子猫ちゃん達だ…んビューティフル!私の美徳(びとく)を満たしてくれる。

よし、このオートマタが売り物になるか…まずは服を脱がしてやろう。」


蛮族「よしきた!早速ひん()いてやりますぜ!」


メリーツヴァイ「やだ!こわいよ!やめて!やめてよぉ!いやああああ!」


メリードライ「やめろ!やるなら私にしろ!やめろ!」


蛮族「えぇ…すげぇ…」


ボス「すごい、んビューティフル!この裸体(らたい)は人間そのもの!

これは素晴らしい上納品(じょうのうひん)になる!」


メリーツヴァイ「返して…カチューシャがくれたお洋服なの…返して…」


蛮族「ボス!一発いいっすかぁ!?」


ボス「ならぬ!商品に手をつけてはならぬよ。それは私の、ん美学に反する。」


蛮族「じゃ、もう一人も脱がしちゃっていいすかぁ!?」


ボス「確認は、済んだ。んビューティフルな子猫ちゃんは、んビューティフルな化粧箱(けしょうばこ)へ!IN!」


メリーツヴァイ「返して!私のお洋服!返して!」


メリードライ「ツヴァイ…すまない…」


蛮族「箱にぶち込んでやりましたぜ!ボス!」


備考 テープ


メアリー「右につけるぞ、お前らどっか捕まれ!」


キャタピラ式オーバーパワードスーツは大型の荷馬車(にばしゃ)を運んでいた。

シェビーバンは思い切り体当たりした。


ボス「おわ!わわわ!君達、ナンセンス!ダーティー!ギルティ!」


メアリー「パルスライフルじゃゴムタイヤにダメージが通らない、アイン!

スパスでやれ!」


メリーアイン「どうしたら…」


メアリー「ありったけぶち込め!」


メリーアイン「え、ええええええい!」


ディアオ「パンクしたぞ!」


メアリー「よくやった!行くぜえええ!」


シェビーバンは思い切り体当たりし、荷馬車は横転(おうてん)した。

チェーンの切れたオーバーパワードスーツは走り去ってしまった。


ディアオ「死ぬかと思った。

メアリー!車が止まったぞ!」


メアリー「ダメージがでかすぎた!

こっからは歩兵戦(ほへいせん)だ!

武器は!?」


ディアオ「ガバメント、マガジンが二つ、14発だ!」


メリーアイン「弾切れ!」


メアリー「アイン、お前はバンに残れ。

爆発はしないはずだ。

ディアオ、お前はパルスライフルで狙撃しろ。

ガバメントは俺が使う。」


ディアオ「わかった、使い方は?」


メアリー「変わらん!セーフティ解除、あとは出力セレクターだ!

行くぞオラ!」


ディアオ「援護する!」


メリーアイン「私は…何も出来ないの…?」


ディアオ「荷馬車から放り出されて、何人か死んでるな、1、2…敵は六人、ガタイのいいやつが一人だ」


メアリーは転倒(てんとう)した荷馬車に隠れながら機会を伺う。

ディアオはバンの上から狙いを定める。


メアリー「一人だけ3メートルぐらいのやつがいる、あいつは最後だ。

コンテナの周りに固まってやがる、あれに恐らく二人が入ってる。」


ディアオ「どうするメアリー」


メアリー「全員殺すのは多分無理だ。

ディアオ、一人だけでいいから雑魚をヘッドショットしろ。楽勝だろ相棒?」


ディアオ「一人だけか?」


メアリー「一人でいい。恐らく雑魚は全員生身(なまみ)今の出力なら頭に当たれば死ぬ。

最悪気絶でもいい。

その隙に俺がコンテナを開ける。」


ディアオ「お前は14発だぞ、いけるか?」


メアリー「おうよ」


メアリーは葉巻(はまき)に火をつけた。


ディアオ「自衛軍少尉のもと、お前ら外道を私が裁く。」


蛮族「び、びびびび!!!」


メアリー「ジャックポット、即死だな。

どうせこいつが最後の葉巻になる。」


ディアオ「おいメアリー、三人コンテナ付近に残ってるぞ。

やれるか?」


メアリー「やる。」


メアリーは走った。

薬莢(やっきょう)が踊る。

蛮族から赤い華が舞う。


メアリー「リロード!残りの7発でコンテナをぶち抜く!」


ディアオ「了解!」


蛮族が走る。

斧がきらめく。

右肩に刺さる。


メアリー「いてぇえ!!ちくしょぉおお!!」


薬莢が踊る。

コンテナが変形する。

扉が開く。


メアリー「お前ら!出るぞ!なっー」


コンテナの中にはミニガン装備のパワードスーツがあった。


ディアオ「メアリー!おい!」


メアリー「地獄で仏だ!こっからは白兵戦(はくへいせん)だ!」


スコープが光る。

(よろい)を着込む。

(とき)の声があがる。


メアリー「1ぃい!!」


鋼がうなる。

拳が当たる。

首が飛ぶ。


メアリー「2ぃい!!」


鋼が跳ねる。

爪先(つまさき)がえぐる。

二つに千切れる。


ディアオ「3人目!」


光の矢

吐瀉物(としゃぶつ)

マズルフラッシュ


メアリー「ガトリングがあったまった!

一網打尽(いちもうだじん)だぜ!」


薬莢の雨

肉が踊る

赤い花火


メアリー「はぁ、はぁ、はぁ、あとはお前だデカブツ」


ボス「んビューティフル!最高の(いくさ)ぶりである!死地を選ぶなら今!

()して参る!」


蛮族のボスの背中のブースターが火を()く。

思い切り体当たりした。


メアリー「ぐっっっっ!!!!」


メアリーはきりもみ回転しながら吹き飛ぶ。


ディアオ「メアリー!おい!返事しろ!」


メアリー「やべぇ…血が…足りねぇ…」


ディアオ(生きてる!パワードスーツを吹き飛ばすほどの力、絶対サイボーグだ、ならパルスライフルは有効なはず…弱点を探せ…弱点を…)


メリーアイン「ブースターとブースターの間、背中の真ん中、あれはジェネレーターよ。」


ディアオ「助かる!相棒、待ってろ!」


獲物(えもの)を狙う

光の矢

七色の花火


ボス「んエクスタシィイイイ!」


ディアオ「よし、機能停止だ!…アイン!

おい待て!まだ危ない!」


メリーアイン「私がやらなきゃ、私がやらなきゃ!」


メアリー「アイン、何しに来た……」


メリーアイン「早く脱いで!私がやる!」


メアリー「メリー・アイン…夜空を見たら、星を見ろ…綺麗だぞ…」


鎧が()がれる

決意する

鋼をまとう


メリーアイン「メアリー、ひどい怪我だよ…休んで…」


ボス「んダーティー…んダーティー…」


メリーアイン「私達は…女は物じゃない!死ねええええ!!!!」


拳が暴れる

血、肉、鋼

リタイア


ディアオ「おええええ!………メアリー、聞こえるか…とうとう人を殺したよ…」


メアリー「吐いた音まで聞こえてるよ…

しかし恥じるな。

よくやった。」


メリー・アインからパワードスーツがぼろぼろと剥がれ落ちる。

メアリーは二人を探し始める。

ディアオは泣いた。

蛮族のボスは虫の息だ。


メアリー「まだ…仕事が終わってねぇ…この、デケェ箱を開けたら…仕事が終わるかもな…」


ディアオ「もうやめろよ…もういいじゃん…お前病気だよ…」


メリーアイン「もう…もうやだぁ…うわああああん」


上空から飛行型パワードスーツが五体迫ってくる。

兵士「治安維持組織のものです。

メリー・アインさんですね?

大丈夫ですか?」


メリーアイン「…」


兵士「あとの二人を捜索する。

A班は集合、B班は捜索(そうさく)!」


ボス「ブラボー…ビューティフルな戦だった…」


兵士「生態反応(せいたいはんのう)あり、A班、撃ち方用意。」


メリーアイン「え?…ちょっと!」


メアリー「よう…クライアントが待ってるぜ…」


メアリーは箱を開けた。


メリードライ「ツヴァイに手を出すな!」


メアリーの腹部(ふくぶ)にナイフが刺さる。


メリーツヴァイ「ドライちゃん!」


メアリー「いいよ……別に……これで、おあいこだな…」


メアリーは倒れた。


end

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