6話:テイマー
スキルが発現してから色々試してみた
特に解析は便利だった
会社で解析した材料
スクラップを同じ成分で同じ形に錬成すると、再利用できてしまう
スーパーで食べ物を解析すると食べ頃が分かるので食事がいっそう美味しくなった
もちろん、調味料も解析で適量入れる
人や動物を解析するとステータスだけでなく、体調や病気まで分かる
肩こりの人は何処をほぐせばいいかまで分かる優れもの
便利だ
能力を登録する時に市役所で聞いた限りでは、解析は鑑定の上位互換的なものらしい
「美味しいかいライト」
「わん、わん」
今日はライトと近くの公園に遊びに来ている
「しかし、ここも変わったもんだ」
目の前には親子連れや俺と同じようにペットとのんびりしている人達がいる
そこまではいい
ある一角では簡易的な仕切りが作られ、スキルの練習場になっていた
火や水、パチパチと静電気のようなものも舞っている
力があっても、ある程度の能力がないと暴発などの危険があるから訓練所が作られたらしい
「まあ、俺には関係ないか」
そう言って自称神と鬼を吹き飛ばした時の事を思い出す
あの技は再現できた
しかも簡単にだ
バーストで破壊、タイムリバースで修復
その繰り返しでコツもつかんだ
ちなみにバーストは魔力を破壊エネルギーとして放つ魔法で、それに火属性をつけたのはフレイムバーストなので、他の属性も使えたりする
タイムリバースは対象の時間を巻き戻す魔法、タイムスピードという対象の時間を早める魔法もある
「ライトはどんなスキルがほしい?」
「わん、わうわう」
何か喋りたそうにしている愛犬が可愛くてかおをくしゃくしゃして上げた
とても嬉しそうだ
「喋れたらいいのに」
その時、目の前には選択肢が現れた
そこには
「スキル『テイマー』を取得しますか?だと?」
ライトを見るととても嬉しそうに見つめてきた
「じゃあ、取得しようかな」
その瞬間、選択肢が消えた
ステータスにはテイマー(1)が追加されていた
「えっと、解析っと」
スキル:テイマー(スキルレベル1)
テイムする事ができる
ただし、相手を屈服させるか信頼関係を気付かなければ失敗する
テイムした相手と能力を共有することが出来る
また、意志疎通も可能になる
「お、意志疎通か。ライトはテイムされたいか?」
「わんわんわんわん!」
大喜びでぐるぐる回っている
「よし、じゃあ····テイム!」
次の瞬間·······
何も起きなかった
「あれ?アニメみたいに光ったりしないの?」
一瞬でワクワクしたが何も変わらなかった
「なんだ、よくわかんね。まあいいや後で調べよっと。」
そう言って歩きだした
相変わらずライトは元気に走っている
「ダメもとかな·····ライトー喋ってるみな」
「なあに?」
喋った、ライトが喋ったよ
「なあに、おやつくれるの?それともだっこ?」
嬉しそうに見上げてくるライト
不思議な気分になったけど、悪くないかな
「抱っこだよ、いやかい?」
「うれしい、だっこー」
甘えてくるライトを抱き抱え、その日は家に帰った