3話:鑑定拒否
目を開けると見慣れた天井があった
ふと横をみると、母さんが手を握ったままベットにもたれ掛かるように寝ていた
その傍らで、ライトも眠っていた
起き上がろうと力を入れても何故か起き上がれない
とてつもない脱力感に教われた
「あ、カツキおきたのね、よかった。」
力をいれたときに手を握ったのでそれに反応して起こしてしまったようだ
「おはよう。どうしたの?」
きょとんとした表情で首をかしげると、ライトも目を覚まして顔中をなめ回してきた
「また目を覚まさなくなるんじゃないかと思って」
一瞬デジャブかと思ったが気のせいだったようだ
「俺、どれくらい寝てたの?」
「3時間くらいよ」
「じゃあもう夕方か」
窓の外を見ると夕焼けが見えた
「カツキ、さっきの話だけど」
「続き?分かった、リビングに行くから待ってて」
「分かった」
そう言って母さんがライトを連れて部屋を出た
「さっきのは夢なのか?」
少し不安になりつつリビングに向かった
翌日····
俺は市役所に来ていた
何でも、能力測定するらしい
といっても魔力が使えるようになったのは最近だからアニメや小説みたいに詳細が分かる訳じゃない
スキル『鑑定』又は同じような効果を持ってる人を雇用して国で能力を把握しているらしいが、スキルが発現したのが最近だから開示できる情報に限りがあるらしい
要するに、スキルレベルが低いらしい
「龍宮勝輝、能力測定にきました」
全国民に対して能力測定の通知書が送られている
俺宛も当然あって、仕方なくやってきた
「はい、確認します」
「お願いします」
そう言って通知書を手渡した
「確認できました」
そう言って検査用紙のようなものを渡された
「そちらを持って矢印にそって進んでください」
何か、健康診断みたいだった
実際やることはほとんど同じだった
身長、体重、心電図や採決、検尿
唾液や精液、髄液を採取されたのは初めてだったのでちょっと戸惑ってしまった
そして最後に鑑定に掛けられる
スキル持ちの人が3人一組で鑑定する
情報に間違いがないかを確認するためらしい
俺の担当は男性一人、女性二人だった
「こちらの椅子に座ってください」
「はーい」
案内された椅子に座る
「じゃあ、今から私たちが鑑定します」
「あなたは何もしなくていいのでリラックスしてください」
「「「鑑定」」」
一瞬ドキッとしたが、それだけだった
「君、リラックスしてくれないか」
「えっと、してますよ?」
男性に言われたことの意味が分からなくて首をかしげてしまった
「そうか、少し待っていてくれ」
そう言うと3人ともどこかに行ってしまった
しばらくするとさっきとは違う6人がやってきた
鑑定をしてからまたどこかへ行ってしまった
よく分からずに待っていると、名前を呼ばれて別室へ案内された
「あの、何かあったんですか?」
「少し質問をしたい、座ってくれ」
「はい」
そう言って椅子に座り、出された水を口にした
「君は鑑定を拒否しているのかい?」
「え?拒否できるんですか?」
「その反応を見る限りは無自覚かな」
言ってる意味が分からずにオドオドしている俺
「鑑定はね、レストアできるんだ」
そう言って前に座っている男性が教えてくれた
「どうやれば出来るんですか?」
「とぼけてる?」
「ホントに分からないんですが···」
お互いリアクションに困りつつも、その日は帰宅した