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24話:悪意を育むもの②

「「バーニングランサー」」


ライトと俺は同じ魔法を放った

お互いの魔法が干渉し、威力がはね上がる


「やはり、火が弱点だな」

「うん、他の属性よりらくだよー」


このUnknownにはアナライズが通用しない

体感でしかないが、他の属性よりも火は有効だと感じた


「次はこれだ、アイシクルメテオ」


頭上から超巨大な氷の塊が落下した


「ぱぱ、火じゃないよ?」

「まあ見てな」


そう言うと、アイシクルメテオで落ちてきた氷の塊に魔法を放つ


「バーニングランサー」


粉々に砕けて溶けていく氷の塊


「よし、そろそろいいかな。ライトサンダーブレスだ」

「はーい、サンダーブレス」


超高電圧の電気の息吹が吹き荒れる

すると····


「ライト、こっちに」


すかさず防御·防音結界を全力で展開した

直後目の前が光に包まれ大爆発を起こした

光が収まるとそこには、俺とライト

同じく結界に守られた社長夫人が以外は全て消し飛んでいた


「わーお、ぱぱナニコレ!!」

「化学反応だよ」

「カガクハンノウ?」

「ライトには難しかったかな?」

「かな?」


そう言いながら、一人と一匹は警戒しつつ社長夫人に近く

一気に吹き飛ばしたから再生に時間がかかっているのか、彼女の影から闇が少しづつ溢れている


「アナライズ」


俺は社長夫人にアナライズをしようする

そこには······


「なんだこれ?『魔王の寄生体』」


ステータスにしっかりと表示されていた


「おい、テメエ中に入れやがれ」


その時、干渉できないはずのフィールドの外から声が聞こえた

聞き覚えがあった


「お前は勇者·····いや、虎徹(こてつ)か!!」


実は、以前遭遇したときにしっかりとアナライズをかけていた


「何で俺の名前····まあいい、さっさと入れろ、そいつを何とかしなきゃいけねえんだ」

「·····殺すのか?」


俺はドスのきいた低い声で訪ねるが


「解放するんだよ、化け物のままの方がいいってか?」

「仕方ない」


虎徹をフィールの中に入れた


「ディバインソードブレイク」


フィールドに入った虎徹はすぐさま社長夫人を攻撃した

だが·····


ガキィィィン!!!!!!


「なに!」


俺がはっていた結界に阻まれる


「いきなりは無いだろ、説明しろ」

「うるせえ、時間がねえんだよ」

「せ·つ·め·い」


無言で睨み会う


「ステータス見れるか」


虎徹が口を開く


「ああ、『魔王の寄生体』のことか?」

「分かってんなら話がはええ、それが発現したら肉体は手遅れだ、魂だけ回収する」

「そう言うことか」

「そうだ、だから「簡単なことだ」」


俺は話を切り上げ、社長夫人にもう一度アナライズをかける


「見つけた」


彼女の魂を識別し保護する

そして魂を解析し、そこに記された肉体構造のデータを読み取る


「ぐぅ!」


思考加速をしても、膨大な人体の情報量に頭が内側から弾けそうにガンガンする


「1人でこの負担か」


人体の全ては解明されていない

宇宙と同じく神秘の塊だ

その、神秘の根源を全て読み込む

当然、負担が俺にのし掛かる


「バカか、止めろ精神崩壊するぞ」


状況を察した虎徹が止めようとす


「お前の能力で魂を救う、それは理解した」

「なら····」

「それじゃダメだろ、どんな人でも家族がいるんだ、嫌いなヤツでも、そいつにとっての大切ものが、そいつを大切に思うヤツが必ずいるんだ、魂が助かっても肉体がなくなって会えなくなるんじゃ意味がない」

「お、おまえ····」


俺は初めて全力を解放した


「俺は、俺の納得できない結果なんか受け入れない、これは·····俺の自己満足なんだーーー!!」


保護した彼女の魂を中心にスキャンした人体構造を反映し不要なものを全て掌握

そのまま、隔離した別の空間に排出

すかさず彼女の欠損部分を修復する

しかし、すぐさま寄生される


「肉体だけじゃダメだ、アストラル体のコアにいる寄生体の本体を剥がさねえと無駄だ」

「見てろ!!」


俺はさらに侵食部分を隔離し、人体を修復する

平行して、隔離した侵食部分を解析する

思考がさらに加速する

寄生体の情報が少しづつ解析される

ついに『Unknown』の文字が消える


「『NO NAME』か、パラーシト、マールス略して『パラルス』ってことか?安直かな、まあいい」


俺はもう一度アナライズをかける

今度は社長夫人ではなく、そこに潜む悪意、パラルスに向けて


「······」

「ぱぱ?」

「大丈夫だライト、問題ない」


俺は拳を前に付き出して叫んだ


「ホールド!!」


彼女の体の中にある寄生体を捕縛

そのまま体から黒い塊を取り出した


「次元断層生成、隔離結界×10」


黒い塊を作り出した別の空間に隔離し、次元断層で覆って捕縛した


「やりやがった······」


目の前には·····

元に戻って倒れた社長夫人

呆気にとられている勇者の虎徹

俺を支えているライト

俺は満身創痍だが、何とか意識を保っていた


「やるな」

「簡単だって言ったろ」


意外にも虎徹が手を出した


「説明しろ」

「分かった。俺もおまえを探してたんだ、だが今は寝ろ」

「もう、逃げるなよ」

「その必要は無くなった」


俺は薄れ行く意識の中フィールドを解除

同時に俺とライト、社長夫人と虎徹をいつもの訓練所に転移させ意識を失った······





目を開けると見慣れた天井があった

ふと横をみると、母さんが手を握ったままベットにもたれ掛かるように寝ていた

その傍らで、ライトも眠っていた

起き上がろうと力を入れても何故か起き上がれない

とてつもない脱力感に教われた


だが、この下りもそろそろ飽きたな


「おはよ、母さん」

「おはよう、カツキ」

「すぐ出掛けるけどいいよね?」

「ええ、でも無理しないでね」

「ありがと」


俺は母さんにお礼を言って着替えた後、訓練所に転移した


「待たせたな」


そこには、総理、秘書さん、諜報員さん

そして、虎徹がいた


「いや、あれだけの事をやったにしちゃはえぇ」

「そうか·····」


とりあえず俺はイスとテーブルを錬成した


「色々話さないといけないからな、座れよ。総理達もどうぞ」


全員が席につく

俺は指を鳴らしてコーヒーとクッキーをストレージから取り出した


「お前、まさか神力持ちなのか?」

「ああ、用途は知らんがな」


虎徹が納得したような表情を浮かべている


「後で説明する、それより話すべき事がある」

「だな、聞かせろ。俺を探していたという意味も含めてな」

「ああ、こいつらも知る権利あるからな」


虎徹は秘書さんと諜報員さんを見てから話し出した





「俺は魔王になんかならねえ、もとの世界に帰らせろ」

「いいのかい?、この世界を支配出来るんだよ?」


虎徹は神と向かい合っていた


「興味ねえ、元の世界に戻せ」

「分かったよ、元に世界に戻すのが本来の流れだから予定通り、となると願いは保留ね」

「けっ、あばよ」


虎徹は神に無理やり召還され異世界に降り立った

本人がこの性格なので仲間も作らず、たった一人で災厄の元凶である魔王に戦いを挑んだのだ

それは無謀だった

だが、成し遂げたのだ

全ては本人の自己満足だ

他者を自分のせいで傷つけたくない

その一心で

世界を救うための犠牲なら誰もが喜ぶ

そんな神や王の気にくわない言葉を否定して

そうして成し遂げた男は元の世界に戻るための魔方陣に入った


「ニガサン」


その禍々しい声は虎徹はと神の視線を釘付けにした

闇の塊が虎徹と神の間に現れた


「キ、キミは死んだはず」

「魔王なのか?」


困惑する神を無視し、虎徹に闇がまとわりつく


「ニガサン」


いびつな声を最後に全てが光に包まれた



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