19話:仕事とプライベートの境
「少々お待ちください」
秘書さんは確認の電話をしてくれた
「やはり、まだ見つかっていないので、何か出ればご連絡します」
「お願いします」
その後俺は会社に出勤した
「お疲れさまでーす」
「「お疲れさまでーす」」
社会人やってると定例になる挨拶
日常って感じがいいね
「あ、龍宮さん。社長が出社したら連絡ほしいと言ってましたよ」
「分かりました」
その後、自分のデスクでメールをチェックしながら電話をかけた
「お疲れ様です。先程出社しました」
「ご苦労さん、忙しいのに悪いね」
「いえ、お休みとか色々助かってます。こちらこそありがとうございます」
「そう言ってもらえると助かるよ、実は折り入って頼みがあるんだが時間いいかな?」
「はい、大丈夫です」
「だったら2時間後に会社に戻るからそれからでもいいかい?」
「分かりました」
それから少しだけ打ち合わせをしてメールの処理をする
その後は現場で生産状況を確認してスケジュールの調整、完成品の品質チェックをしながらPDCAを回す
うん、日常って素晴らしい
元々が仕事人間だからこの日常が忙しくても一番落ち着く
「あの、龍宮先輩」
「ん?どうしたんだい?」
俺の一つ下の後輩君が声をかけてきた
「あの、相談があるんですけど聞いてもらえませんか?」
「仕事の事?プライベートなら休み時間か定時後の方がいいかな」
「えっと、多分仕事の事です」
「多分?取り敢えず聞くからおいで」
後輩君を連れて休憩室へ入った
「何か飲む?」
「あ、いただきます」
コーヒを買って席に座った
「で、どうしたの?」
「あの·····実は······れ、錬金術を教えてほしいんです」
「えっ?どういうこと?」
「実は···先輩が一人で端材を材料に錬成しているところを見てたら、なんか、その·····か、かっこいいなと思っちゃって、僕にも出来たら先輩のお手伝いが出きるかなって、それに、少しでも、あ、憧れてる、先輩に近づきたくて、その······」
顔が真っ赤だ
同性に恋愛感情を抱いた経験はない
だが、この子は年齢の割に幼く見えるからかわいいんだよなー
社員全員のアイドルだったりする
本人は全否定してるが····
「そっか、ごめんね変なこと言わせて」
後輩君は力一杯顔を横に振る
「ぼ、僕が勝手に言ってるだけです。先輩は悪くないです」
「魔力はどれぐらいある?」
「えっと、21あります。最初は19だったんですけどちょっと増えました」
この世界はスキルにレベルがあってもステータスにはレベルはない
ステータスを鍛えるにはひたすら使えばいいのだ
俺とライトの遊びのように
「毎日寝る前に魔力を使いきって寝て増やしました。これからも続けます。だから、錬成術を教えてください」
後輩君は頭を下げた
「んー、プライベートの話だし定時後に話の続きしようか?」
「え?仕事の話のに繋がりませんか?」
「んー、言い方キツくなって申し訳ないけど、出来るから手伝いたいというなら仕事だと思う。でも錬金術を教えてほしいはプライベートかな、少なくとも仕事中にスキルを教えるのは俺の仕事ではいからね、あくまでも仕事は製造事務だよ、材料管理もその一部ね」
後輩君は少し落ち込んでいるようだ
「ごめん、なさい···」
そう言って、コーヒーをイッキ飲みし職場に走っていった
「まあ、気持ちはありがたく受け取っとくよ」
俺は聞こえないと分かっていたがボソリと呟いた




