1話:漫画みたいな変化
目を開けると見慣れた天井があった
ふと横をみると、母さんが手を握ったままベットにもたれ掛かるように寝ていた
その傍らで、ライトも眠っていた
起き上がろうと力を入れても何故か起き上がれない
とてつもない脱力感に教われた
「あ、カツキおきたのね、よかった。」
力をいれたときに手を握ったのでそれに反応して起こしてしまったようだ
「おはよう。どうしたの?」
きょとんとした表情で首をかしげると、ライトも目を覚まして顔中をなめ回してきた
「眠っていたから何も分からないよね、後でちゃんと説明するから、まずはご飯にしようか」
「そうだね、何か凄くお腹へった」
母さんが部屋から出ていったのでもう一度起き上がろうとしたが、なかなか起き上がれなかった
やっとのことで起き上がり、ベットから出て歩こうとしたがうまく歩けず、壁にもたれながら何とかキッチンにたどり着いた
「部屋で待っててよかったのに」
「いいよ、病人じゃあるまいし」
体が少し変だが問題はなかったので笑顔で返事をした
「····たしかにそうね」
少し間が空いて母さんが返事をした
違和感があった
それから、カレーを食べて休憩していると父さんが帰ってきた
「ただいま、カツキずいぶんお寝坊さんだったな」
ガシガシと頭を撫でてくる
「日曜なんだし、別にいいでしょ」
そう言って、父さんの手を払いのけた
こんなことしてくるのは幼稚園以来だからちょっと恥ずかしかった
「ん、今日は土曜日だぞ?」
「あなた、まだ話してないの」
「そうか、なるほど」
二人で納得しているが、俺には何のことだか全く分からなかった
「土曜は昨日でしょ?」
俺がそう言うと、父さんと母さんがテーブルの向かいに腰を掛けた
「今から嘘みたいな話をするが、ふざけてる訳じゃないからちゃんと聞いてくれよ」
父さんが真剣な顔で話し始めた
「実はな、お前は2週間ほど眠ったままだったんだ」
「············」
「さすがに驚いて声もでないか?」
両親が神妙な表情をした
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「なるほど、それで体の調子がおかしかったのか、納得したよ」
何気なく返答したが、両親が呆気にとられていた
「驚かないのか?」
「驚いてもどうにもならないでしょ?それより原因は?俺、長くないの?」
嫌な考えが頭の中をめぐっていた
死ぬんじゃないか
思い病気になったんじゃないか
でも、何故か冷静だった
「い、いや、それは大丈夫だ」
父さんが少し驚いている
俺が動じてないからだろう
自分でも不思議だから仕方ない
「そう、じゃあいいや」
「いいのか?」
「うん、とりあえず今はいい」
「そうか·····」
両親はうつ向いていたがとりあえず、命に関わることがないならそれでいい
「で、それだけ?」
「あ、いや、もうひとつある」
「そう、多分2週間ぶりに食べたからか、凄く眠いんだ、早めに話してくれると嬉しいな」
「そうか、じゃあ手短にいうと、魔法が使える世界になったらしい」
「へー、魔法がつ··············」
さすがに笑ってしまった
まあ、自分の両親からそんな言葉が出るとは
「さすがに眠気吹っ飛ぶわ、そんな真剣な顔で冗談言わないでよ」
しばらく一人で笑ったところで両親が笑っていないのに気づき
「マジで?」
「大真面目だ、ホレ」
そう言って父さんが空になったコップに指をさすと、なにもない空間から水が吹き出し、空っぽだったコップに水が注がれた
「生活魔法と言うらしいが、ほとんどの人間が使えるようだ」
「へー、じゃあ俺も使えるかもね。便利じゃん」
「ただ、魔力を使うらしいから、魔力量の少ない私たちのような人間は結構疲れるんだよ」
父さんの方をみると肩で息をしていた
少し辛そうだ
「まあ、代償なしで使えるほど都合良くないか」
「そうだな·····」
父さんが息を整えている間に母さんから魔法が使えるようになった経緯を聞いた




