18話:転移の腕輪
「ありがとうございました」
俺は病院で精密検査を受けた
昨日の戦いの影響を確認するためだ
「龍宮様」
「あ、諜報員さん」
勇者との一戦の後、状態を調べるために渡していた刀を返してもらった
「どうでした?」
「全く破損はございませんでした」
「龍宮様のお身体の方は?」
「全く問題ありませんでしたよ」
つまり、勇者と刃を交えても問題なく使用でき、身体へも負担がないということだ
「これで武器の目処はたった、次は防具だ」
そう言いながら刀をストレージにしまう
ストレージには『刀:水鏡』と記載されていた
「あれ?刀に名前ついてる」
つけた覚えはないが、見合った名前がついたということなのだろう
「お伺いしても?」
「水鏡だそうです」
「美しい刀身に合った素晴らしい名前です」
その後、諜報員さんと場所を移動
お昼だったので一緒にカフェに入った
「ここの明太パスタ美味しいんですよ」
「では、私もそれにします」
注文を入れ、今後の予定を確認した
「私は総理への報告の為に東京へ戻ります」
「俺は昼から出社します。あと、これをどうぞ」
3つの腕輪を渡した
「これは?」
「転移を付与した腕輪です。総理と秘書さん、後は諜報員さんの分です」
「ありがとうございます。ですが、私達はそこまで魔力がありませんが使用できますか?」
もっともだ
転移は距離によって消費する魔力が大きく異なる
遠くへ転移すればそれだけ多くの魔力を消費する
「それは大丈夫です」
「と、言いますと?」
ざっくりと説明した
実は精密検査の待ち時間中に錬成や付与を色々試してみたところ、ミスリルには微量ながら魔力を蓄積する性質があることが分かった
その性質を利用し、転移の魔法を付与、そして俺の魔力を込めて充電することが出きるように調整したのだ
と言っても使用回数は4~5回
それまでに俺が魔力を充電すれば再利用出きるようにしてある
つまり、超低燃費の充電式だ
「これは凄いものですよ!」
「分かってます」
「確かにお預かりします」
「あ、差し上げますよ。どうせ、三人以外には使えないようにしてあるので」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
「イメージしながら少しだけ魔力を流せば起動しますんで」
「では、さっそく」
諜報員さんは何処かへ転移し、しばらくして戻ってきた
総理と一緒に
「やあ、カツキくん。素晴らしいプレゼントありがとう」
「そんなことよりも、秘書さんに怒られますよ?」
「大丈夫、お昼に出るって言ってきたから」
絶対後で怒られるだろうな···
「すみません、私も二人と同じものを」
しかも注文してるし···
「腕輪見せてください」
二人が付けている腕輪を見たが、やはり魔力が薄れているので充電しておいた
「充電しときました」
「ありがとう、さあ食べようか」
ちょうど運ばれてきたパスタを食べて昼食を終えた
「そうそう、昨日のモンスター····確か、キメラドレイクの事何か分かりました?」
「あの、龍宮様はどうして名称をご存知なのですか?」
「え?解析したら普通に表示されたけど違った?」
総理はあきれ顔だ
「カツキくん、普通の能力者の分析や解析では、モンスターの解析なんか出来ないよ」
おおう
思わぬところで、やりたくもない有能ムーヴをした自分に呆れてしまう
「ま、まあそれはいいとして、何か分かりました?」
「現在、解析中ですが、何か気になることでも?」
「えっと、ドロップアイテムとかあれば見せてほしいなと」
「ドロップアイテムですか?」
「はい、ミスリルの時みたいに何かあれば参考になるかと」