9話:化け物
「お疲れさまでした」
カツキは車に乗り帰路に着いた
そのまましばらく車を走らせ停車
「テレポート」
家の駐車場に移動した
「今日は焼き肉、焼き肉」
久しぶりに友人と集まって外食する予定だ
もちろんライトも一緒だ
店を貸しきっているわけではない
ライトと俺が完全に意志疎通が出来ることは周知の事実になっていて、粗相することもない
魔法で空間を切り取っているので、犬の毛が飛ぶこともない
さらに言うと、『クリーン』という不浄や汚れを取り除く光、水、火の複合属性魔法が使えるので帰る時の方がきれいになってたりする
それが分かっている店は問題なく迎えてくれる
「「カンパーイ!」」
友人三人と俺、ライトの4人と一匹の宴会が始まった
最初は他愛ない会話だったがそれぞれのステータスの話になった
「俺さー魔法使いたかったけど、才能無いみたいで魔力何て3しかないんだよなー」
「俺は20もあるぜ、その代わりちからが3だ」
「お前は昔から体力無かったもんなー、俺はちからが12もあるんだ。二桁はプロスポーツ選手一歩手前らしい」
「へーそうなんだ、カツキは?」
「こいつ、絶対すごいぜ、何せ寝坊助だからな」
「寝坊助?」
聞きなれない言葉に聞き返してしまった
「ああ、政府ではお前のことそう呼んでるんだ、何せ、世界一目覚めるのが遅かったらしいからな」
「そうなんだ、てかなんで知ってるの?」
「言ってなかったっけ?自衛隊の隊長してるからちょくちょく聞くよ」
「それ、機密では?」
「ここだけの話だしいいんじゃない?」
「「それは無理があるだろ!」」
自衛隊ががこんなんで大丈夫なのかと一瞬で不安になる
しかし、それよりも寝坊助呼ばわりの方が気にくわない
「その呼び方どうにかなら無いのかな?」
「無理なんじゃない?俺がつけた訳じゃないし」
「そうか、市役所で聞いてみるよ」
「やめろ、ここだけの話だよ」
「え?嫌だからやめさせるよ」
「無理だって」
「全能力使ってやめさせるよ」
「そうだよ、能力の話してたよな、お前の見せてくれよ」
「いいよ、ステータスオープン」
そう言って自分のステータスを見えるように展開する
ちなみに、ステータスと言えば自分だけしか見えないようにも出来る
氏名:龍宮勝輝
年齢:21歳
職業:会社員
体力:1301
魔力:∞
神力:30
力 :62
防御:92
知力:480
精神:570
速さ:61
スキル
思考加速
全魔法(中級)
全武術(初級)
時空操作(中級)
解析
錬金術(中級)
神喰い
テイマー
ん?成長してないか?
「こいつ、やっぱりやベー」
「そうなの?」
「「無自覚だし」」
皆があきれている
「いいか?体力と魔力は一般的には100前後、鍛えているやつでも200行くか行かないかだ。魔力は無限は異常すぎる。てか、神力何て始めてみたわ」
「力とか防御とかも一般人は一桁、プロスポーツ選手でやっと二桁いくかいかないかだよ」
「スキルだって普通は一つ二つだろ」
「まじ?」
「「マジ!!」」
「これは、ここだけの話じゃ収まらんな。明日政府に相談するわ」
自衛隊の友人がそんなことを言って、始めて自分の異常性に気がついた
「それはやめて」
俺はそう言って、ライトを抱き抱えて店を飛び出してしまった
気がついたらライトと散歩している公園にいた
「ライト、俺は化け物みたいだ」
「ぱぱ、大丈夫?」
ライトが優しく寄り添ってくれる
それでも、自分が普通の人間とかけはなれてしまった事がショックで涙が止まらない
何故自分はこうなったのか分からずしばらく泣き続けていた。