☆6 討伐討伐討伐。脚力強化はフットサイト。
「よっしゃー!頑張るぞー!!」
ファーストの街から少し離れた森の中に入り、手始めに、拳強化を行ない、太い木に正拳突きする。
鈍い音を立て、木が倒れた。絶好調のようだ。
痛みは全然ない。
10分もせずに森の奥地まで来た。脚力強化すごいな。
「悪いモンスターを選ぶべきだよな」
脚力強化で空を翔けるように飛ぶ。
街の外に出るまでに一度、騎士所に寄って『俺、脚力強化魔法に優れていて、空中で活動するかもです』と言っておいた。
脚力強化魔法で空を飛べる者は、そこまで多くないことをアマリアに教えてもらったため、一応騎士所の人に伝えておこうと思ったのだ。
「グレーか。黒いのはいないな。どす黒いのだと討伐するのも気持ち的に楽なんだけど」
アイサイトで、鬱蒼と茂る木々たちを見まわす。
巨体を発見。でかい。大物の予感。
3m。
「森のくまさん。出会ってしまってこんにちはー」
空中に浮かんだ状態のまま、くまさんこと、『ファイアージャイアントベアーBランク』の心臓部分だけ結界で包囲する。
「剥ぎ取り」
自分でもえげつないことを考えたと思う。
モンスターは、心臓の代わりに魔石がある。
要は、魔石さえ取れれば亡き者となる。
『ドンッ』
森のくまさんは、心臓という名の魔石を失い、前かがみになって倒れた。
火魔法を纏ったパンチやキックが得意技のようだ。アイサイトで確認した。
魔石は火。
『ファイアージャイアントベアーBランク』を背中に背負い、ファーストの街へともどった。
~魔導士ギルド~
魔導士ギルドに立ち寄り、魔石を受付のお姉さんに手渡す。
「すごいですね。1人で倒すなんて、それも、魔石のみを簡潔に」
くまさんを背負って入ってきた俺に、魔導士ギルドにいた者たちの視線が集まった。
門番である騎士の人に、リアカー持ってきましょうか?と聞かれたが、そのまま背負ってきた笑
「雪斗、どうしたの?それ」
「討伐してきた」
「雪斗さん。昨日の宿屋での際も思いましたが、お強いですね」
「ありがとう。運が良かっただけだよ」
一応謙遜しておく。
「いやいや、運良くBランクのモンスター討伐とかできないからね笑」
「そうですよ。雪斗さん」
2人の言葉に、周りにいた魔法使いさんたちも首を前に動かし頷いている。
「えっと、Bランクの火の魔石ですね。この、ファイアージャイアントベアー平均よりも巨体みたいです。規定買取価格よりも上乗せしておきますね」
嬉しいことを言ってくれる受付の女性。
「ありがとうございます」
『チャリンチャリン』
「おっおー」
少し待つと、受付の女性が布袋を受け付けテーブルに置いた。
布袋には150万円分の金貨が入っているようだ。
「ファイアージャイアントベアー本体は、冒険者ギルドで換金してください」
その言葉を最後に聞いて、冒険者ギルドに向かった。
ちなみに、依頼をこなしたわけではない為、魔導士ランク上がらなかった。
残念。
冒険者ギルドで、いろいろと質問された後、買い取りしてもらった。
200万円。
いや、異世界2日目にして3桁万円お金持ちだ。
異世界に来て良かった。
魔導士ギルドに戻る前に騎士所に向かい、山賊の懸賞金ももらった。
くまさん討伐のお金の後にもらうと少なく感じるね笑
その後、懐も潤ったので、魔導士ギルドの喫茶店でお茶することにした。
アマリアとアシュリンの2人は、右手で魔工石に魔力を補充しながら左手でティーカップを持っている。
俺はアイスアップルティー、アマリアはアイスコーヒーのブラック、アシュリンはアイスミルクティーを飲んでいる。
ここの喫茶店のマスターは氷魔法の使い手のようで、俺の飲んでいるアイスアップルティーも安いようだ。
ここに来るまでに見た、アイス系統の飲み物を売っているお店はこのお店の値段に比べて+500円くらいはしていた。