☆5 魔導士ギルド
窓からの日差しを浴びて目が覚めた。
ちゃんと起きれるように、結界で日差しを弾かないように設定している。
設定すれば、日光も遮れる。
いくつか昨日に、もぎ取った果実を手に持ち、お食事処のある1階まで降りた。
アマリアとアシュリンの2人は食事を取っていた。
俺に気づいたようで手を振ってきた。
あの振り方的に私の隣に座りなさいというみたいだ。
アマリアさんの隣の席に座る。
席につくと、アイリスさんが朝食を運んできてくれた。
朝食は昨日と同じようなパンにハム、ベーコンのようなものの入ったスープにサラダ。ステーキはないようだ。
思っていたよりも昨日のオーク肉のステーキ美味しかったから残念だ。
「2人は、今日どうするの?」
「魔導士ギルドに行って、お金を稼ごうと思っている」
アマリアがレタスに似たレタスンをフォークで刺し、口に運びムシャムシャと食べながら答えた。
騎士所には昼に行こうと思っている。
あの山賊たち、ファーストの街付近を縄張りにしているようだったから、顔もすぐに手配書と合致すると思う。
昼まで暇だし、付いていこうかな、魔導士ギルド。
「俺も、付いていって良い?」
「いいよー」
「いいですよー」
2人の了解を得た。
財布には魔導士ギルドのFランクカードが入っていたはず。
手続きしないで良いから楽だ。
朝食を食べ終え、デザートに器用にうさちゃんリンゴを披露して2人と一緒に食べた。
その後、各々、外に出る準備をし、魔導士ギルドに向かって3人で歩いた。
魔導士ギルドや商業ギルド・ポーションギルドなどのほとんどのギルドは街の真ん中付近にあるようだ。
宿屋から、そこまで遠くなかった。
冒険者ギルドは、街の門近くにあるようだ。
討伐した、モンスターを運ぶ距離の短縮化のためや、モンスターが街を襲った時の緊急事態の対応のためとアマリアが教えてくれた。
街にいる騎士で対応できないときは、冒険者が駆り出させることもあるらしい。
~魔導士ギルド~
魔導士ギルドに到着した。
魔導士ギルドの看板には、魔法使いの被りそうなマジカルハット?のような絵とローブ、杖が描かれていた。
なんとなく、文字が読めなくても魔導士ギルドと分かりそうだ。
魔導士ギルドは2階建て。
1階は、喫茶店になっている。
魔法使いって、陰湿なイメージがあったからもっと暗い感じかと思ったが、ギルド内はきれいで、ホコリっぽくなく、どちらかと言うとフローラルな良い香りがするし、どことなくコーヒーの良い香りもする。
2人に連れ添って受け付けへ向かった。
受け付けのお姉さんは、にこっとした笑顔で好感が持てる。
「水の魔工石と火の魔工石の魔力補充の仕事をしたいのですがありますか?」
来る前に仕事内容は聞いている。
本来、モンスターを討伐すると、心臓付近に魔石というものがある。
その属性魔石を魔石技師が魔工石にして、その魔工石を埋め込んだマジックアイテムを使用することで、魔法が誰でも使えるのだという。
属性魔工石を使用すると、もちろん、魔工石に保有されている魔力量は減少していく。
それを、魔法使いが補充する仕事があるのだという。
そのため、魔法使いは、わざわざ、街の外に出なくても仕事にありつける。
素晴らしいシステムだ。
「はい。水の魔工石と火の魔工石ですね。大丈夫ですよ。ランクはどれほどでしょうか?魔導士ギルドカードの提出を願いします」
2人は、魔導士ギルドカードを受付のお姉さんに見せる。
「2人ともEランクですね。かしこまりました。とりあえず3つお渡ししますね。それ以上していただける場合は再度、受付まで来てください」
赤色と水色の魔工石を3つずつ受け取る2人。
「あっ、魔導士ギルドについて書かれたパンフレット的なのありませんか?」
喫茶店の席に座り早速作業を始める2人を眺めた後、受付に戻った俺。
「ありますよ。こちらです」
魔導士ギルドについては、アマリアに教えてもらっているので流し読みする。
依頼者の仕事を、魔法使いに紹介してその仲介料を受け取るのがギルドのようだ。
魔法使いは、F~Dランクの魔法を使える者
魔法士は、Cランク~Sランクの魔法を使える者
魔導士は、混合魔法を使える者を指すようだ。混合魔法の例として、火魔法と風魔法で温風を出すなどである。
2属性以上の魔法の同時発動は、お互いの魔法の兼ね合いが難しいようだ。
魔導士ギルドの仕事は危険度によってランク分けされている。
魔工石への魔力の補充はFランク指定だ。
魔力の補充だけでは、魔導士ギルドカードのランクはEランクどまりとなる。
依頼を達成すれば報酬がもらえる。
依頼に失敗した場合は魔導士ギルドでの違約料が発生する。
重要な依頼だった場合は、依頼者への違約料も発生するようだ。
「ひまだし、モンスター討伐に出かけるかな。お金手に入れる手段としても手っ取り早いし」
アマリア達にその旨を伝えて、魔導士ギルドを出た。