☆19 『御者』の練習と『ファムファム』のマロンさん
無事、馬車とホワイトラフィスの購入が終わった。
その後、『御者』の練習をすることになった。
『御者』とは、馬車の前部に乗って馬を操り、馬車を走らせる者のことを言う。
御者席に座り練習する前に。ホワイトラフィス2匹に交互に乗った。
まず、ホワイトラフィスに対してマッサージなどをして信頼関係を持つことが一番最初にする事らしいが、すでに打ち解けているということで端折ることになった。
『ニバシャン』の敷地内の大きめの庭で、乗ってみて分かったのだが、2匹とも俺の言葉が分かるのか、賢かった。
加速と言えば、加速してくれるし、減速と言えば減速する。
ジャンプと言ったらジャンプする。
右回りと言えば右回りする。
障害物を置いてもらい訓練してみたが、2匹のホワイトラフィスは無事クリアできた。
賢い。
それに、俺に衝撃や負担があまりかからない動き方をしてくれる感じがした。
その後、いろいろな道具をホワイトラフィスに装着してから、御者の練習をした。
『ドーン……』
12回の鐘が鳴った。
あっ、これ遅刻決定だな。
~中級層エリア大広場~
「お待たせ―」
いろいろあった後、待ち合わせ場所に到着した。
「遅いよ。何してたの?」
馬車とホワイトラフィスは、後で、取りに行くと店主に伝えた。
昼食後にでも取りに行こうと思っている。
「お姉ちゃん、雪斗さんが時間通りに来ないから心配してました」
「アシュ。私は別に、心配なんて」
「ごめん。貴族カードを取りに行っていたのと、困っている男の子を助けていたら……」
「雪斗。嘘をつくなら、もっとマシな嘘をつかないと」
嘘じゃないんだけどなぁ笑
ホントに、困っている男の子を助けていたんだけど。
まぁ、待たせてしまった俺が悪いな。
「お姉ちゃん。嘘じゃないと思いますよ?」
アシュリンは優しいな。
アシュリンというよりも、アシュリンちゃんと呼ぶほうがしっくりくる。
「まぁ、そんなことより、お昼食べに行こう?遅れたお詫びに俺が昼食代出すよ」
「やった。ありがとう、雪斗。ちょうど気になってたお店があったんだー」
そう言うと、アマリアは俺の手を握り、小走りで、お店の方へと歩き始めた。
「お手柔らかに、お願いします笑」
お金結構使っちゃったからね。問題ないとは思うけど。
「あぁー、ちょっと待ってー」
俺たちの後ろをアシュリンちゃんが走ってついてくる。
身長差があるから、一歩の大きさが違うんだよな。
数分歩いた後、『ファムファム』というお店に来た。
どうやら喫茶店のような感じだ。
このお店に来るまでに、小麦粉に近い『こむぎこん』という品を発見した。
今夜は、スパゲッティーが作れそうだ。
「ここよ、ここ」
「オシャレな店構えだね」
「はい。外観が可愛らしくて、今度、来ようねーって話していたんです」
喫茶店の外にはきれいな桜の木があった。
店の中に入り、席に着いた。
店のところどころに、花瓶の中に色とりどりの花が生けられていた。
カラフルだが、まとまりのあるように感じられた。
すごく優雅な気分になる。
席に着くと、店員さんがメニュー表を持ってきて、『お決まりになりましたらお呼びください』とファミレスなどの定型文を伝えられた。
テーブルの上にかぶせてあるテーブルクロスも可愛らしい作りだ。
女性受けしそうな感じのお店だな。
「可愛らしい名前のメニューだね」
隣に座っているアマリアにいう。
「そうね。絵が描いてあって、分かりやすいわ」
「お姉ちゃん、私、これとこれとこれも食べたい」
結構高カロリーな品を指差す、アシュリンちゃん
「もう、アシュリンそんなに食べたら太るわよ?」
「むぅ、お姉ちゃんひどい」
可愛らしく口を膨らませるアシュリンちゃん。
もうかわいい。
アシュリンちゃんは、アマリアに比べて、少しぽっちゃりしている。
ぽっちゃり系が好きな俺にとっては、このままの体型を維持してほしい所だ。
ダイエットなどされたら、ぽっちゃりじゃなくなってしまうかもしれない。
ここは、食べたいものを食べさせよう。
「いいよ。アシュリン。好きなの頼みな。食べきれそうになかったら、俺が残りを食べるから」
『どれにしようかなー?これにしようかなー?』と言った感じのアシュリンちゃんメインで料理が決まった。
俺は、とりあえずアイスコーヒーだけ頼むことにした。
『ジュージュー』
先に届いた、ドリンクを各自飲んでいると、主にアシュリンが頼んだ料理がまとめて、テーブルに置かれた。
料理を運ぶ時に使う手押し車?サービスワゴン?で料理が運ばれてきた。
おしゃれだ。高級レストランみたいな気分になる。
「おいしくてかわいいです」
アシュリンがそういうのも納得の料理たちだった。
星形に並べられたニンジンンの中に牛肉のステーキがあるなど、ひと工夫加えられている。
「あまい。あまいです」
ニンジンンを一口食べるアシュリンちゃん。
あまいようだ。
『アイサイト』
ニンジンンを確認する。
糖度が高いな。
自家製か。
それに、こんな偶然ってあるもんなんだな。
「へぇー。このお店は、レインさんの妹のマロンさんのお店か」
「えっ?雪斗、今なんて言った?」
アシュリンは食べるので必死で、俺の言葉が聞こえていないようだ。
「だから、レイン・ファム・ラインハルトさんの妹さんのお店だよ、ここ。すごいよね、上位貴族なら、お金持っているはずなのに、自分自らお店を経営するなんて」




