☆17 紋章院。子爵位カードとお友達ですよカード
「ただいまー」
「ただいまです」
アマリアとアシュリンが、木でできた大きな籠を手に持ち帰ってきた。
「2人とも、お帰り。長かったね笑」
アイサイトで帰ってくるのを確認した俺は、家から1kmほど離れた門まで、迎えに行った。
「雪斗。馬車がないから、上級層エリアを出るまでに、かなり距離があるわ」
上級層エリアは住む場所しかない。
何かを購入する場合は中級層エリアまで出向かないといけない。
「そっか。馬車の購入を検討しないとだね」
~紋章院~
アマリア達が買ってきてくれた、焼き立てのパンと、アシュリンが作ってくれたスープとサラダを食した後、紋章院まで1人で来た。
2人は、日用品や洋服などを買いに2人で出かけている。
いつも2人で行動、仲良しだと思う。
2人とは、中級層エリアの中央にある大広場に昼頃集合することになった。
「おはようございます」
「はい。おはようございます。どのようなご要件でしょうか?」
中級層エリアにある紋章院に入って受付窓口までやってきた。
受け付け窓口にいるのは男性1人だけのようだ。
暇そうな職場だ。
こういうところに就職したいものである笑
「この申請書の受理をお願いします」
「かしこまりました。少々お時間いただいてもいいですか?」
「はい。大丈夫です」
俺の言葉を聞いた後、受付の男性は後ろへと下がった。
数分後、紅茶とお菓子を持って、女性が現れた。
女性は、持ってきたものを俺の座るテーブルに置くと、すぐに戻って行った。
良い香りだ。アイサイトで確認したが、高級品の茶葉のようだ。
こんなに良い紅茶が出されるのは、貴族になるかもしれない者が来る場所だからだろうな。
紋章院は、こじんまりとした大きさだ。
俺ももらう家これくらいで良かったなーと辺りを見渡したながら、お茶を飲んでいると、受付の男性が戻ってきた。
「問題ない紋章でしたので、受理させていただきます。こちらに完了のサインをお願いします」
「ユキト・コザクラっと」
サインを書いた。
「ユキト、コザクラさまですね」
「名前と苗字の間に入れる言葉は何にしますか?自由に決めてもらって構いません」
公爵家当主の『レイン・ファム・ラインハルト』さんで云うところの『ファム』の部分だろう。
何にしようか。
「あっ。猫だ」
窓から、猫が入ってきた。
受付の男性のひざ元に座る猫。
「野良猫なのですが、餌を与えていたら、懐かれてしまいました」
野良猫の頭をなでなでしながら答える男性。
もふもふしてそうだ。
「ニャー」
なでなでされ気持ちが良いのだろう。猫がにゃーと鳴く。
「ユキト・モフモフ・コザクラとかでも大丈夫ですか?」
冗談半分で言ってみた。
「はい。大丈夫ですよ。ですが、ホントにそれでよいのですか?」
「あっ、やっぱり変ですか?」
「普通は、何か意味のある言葉を入れるものですね。ラインハルト公爵様のファムはファミリー(家族)からきています」
「なるほど。うーん、どうしようか」
「うーん」
腕を組み、考える。
「うーん」
腕を組みなおし考える。
「やっぱり、ユキト・モフモフ・コザクラでお願いします」
悩んでいてもしょうがない。
悩みすぎて、神様に迷える魂と勘違いされた男だ俺は。
適当に生きよう。
「かしこまりました。子爵家カードに名前などなどの記載と紋章を描きますので、3時間後くらいにお越しください」
「時間結構かかるんですね」
「はい。子爵家の方が気に入った者に渡す、コザクラ子爵家のお友達ですよカード、通称フレンドカードも作成しますので」
「お友達ですよカード(フレンドカード)とは何ですか?」
「すみません。説明不足でしたね。お友達ですよカードとは、言葉通り貴族のお友達ですよーと他者に知らしめるためのカードです。これにより、公的機関の入門料の無償や割り引き。上級層エリアへの入門がスムーズになります。公的機関でなくても、お店によっては、商品を安くしてくれたりすることもあります。その他、人によって使い道はいろいろとありますね。要は後ろ盾のようなものですから」
「へぇー。便利ですね」
「便利な為、爵位のランクに応じて1年間に渡せる枚数が異なります。子爵位ですと、5枚ほどですね」
「意外と少ないんですね」
「爵位が上がれば上がるほど、少なくなります。公爵家のお友達ですよカード(フレンドカード)とかだと10年に1枚ですね。影響力が大きいので」
「確かに、公爵家のお友達ですよカードだったら、すごそうですね」
「公爵位よりも上位である王爵位のお友達ですよカードとかは、生涯で1枚だけです」
生涯って。
なんとも、まぁ、って感じだな。
『ドーンドーンドーンドーンドーンドーンドーンドーンドーン』
9回、鐘が鳴る音がした。
9回だから、今は、朝09時か。
鐘の説明を受けて、この異世界24時間ということが分かった。
朝05時から19時まで鐘が鳴る。
夜中は鳴らないようだ。
うるさいからだろう
12時に大広場にアマリア達と約束しているから後3時間あるな。
馬車でも買うか。




