☆16 紋章完成?
「なんか、子爵になれることになった」
着替えてきた2人に、そう開口一番に告げた。
「はぁ?」
「えっ!?嘘ですよね??雪斗さん」
驚いた顔の2人。
「嘘じゃないよ?これ見てみて」
2人に子爵位申請書を見せる。
身元保証人には、ラインハルト公爵のサイン。
「雪斗。あんたといると驚くことばかりで、飽きないわ」
「あわわ、あわわ。雪斗さん……。紋章決めないとですね。朝食は買って、持って帰ってきますので、紋章決めに励んでいてください」
一瞬テンパった様子のアシュリンだったが真面目な顔になって、言葉を発した。
「えっ!?そんなに重要?」
ゆっくり考えて1週間後くらいに出そうと思っていたんだけど。
「雪斗、重要に決まっているじゃない。今日にでも、出すべきよ」
まじか。今日か。スパゲッティー作れなくね?
「そうです。雪斗さん、お姉ちゃんの言う通りです」
うんうん、頷くアシュリン。おっぱいが揺れている。
眼福。眼福。
「分かったよ」
2人はそう言うと、俺を置いて出て行った。
「えっと、紋章とは、貴族社会において用いられてきた貴族の証明となるもの。紋章の図を決めると、王都にいる紋章院(役所)の紋章官に見せ許可が下りれば使えるようになる」
なるほどなー。
早速、勉強を始めた。
1人になった家の中で、ぶつぶつと呟きながら紋章学の教本の最初のページを読み上げる。
「紋章学の起源は、戦闘に参加している者の顔が鉄や鋼製の兜で隠れている際に個人を識別する必要性にあったこと。そのほかに、紋章から得られる知見により、貴族や王族などの支配階級の系図を明らかにすること。王爵位や公爵位は王冠を必ず用いらなければならない。王爵位や公爵位以外は、王冠を紋章に用いてはならない」
へぇー。
「紋章は個人を特定する絵図であると同時に、その個人の属する家系を示す。紋章は、屋敷の門や、馬車、墓石、普段使いのハンカチ、剣や盾、コート、ローブなど、幅広く使われている。全く同じ図案の紋章が2つ以上あってはならないことと似た図案や色を使ってはならない」
ふむふむ。
「基本的に、先代の当主が死去して長男に紋章が相続される際には新たな当主は先代のものとまったく同じ紋章を用いる。個人および家系を表すものは、分家や縁組などで変化していくことがあるが、ある代で突然まったく別の紋章に置き換えられたり、兄弟でまったく異なる紋章が用いられたりすることはなく、男子女子を問わず、すべての子孫に先代の図案が継承されていく」
俺が先代ということになるのか。
紋章、日本でいうところの家紋って感じかな?
「げっ」
説明が終わり、次のページをめくると、色付きの紋章絵図が描かれており、爵位、当主の苗字、その他の事項が書かれていた。
分かっていた。分かってはいたが、これ、全部読むのか。
無理だな。辛すぎる。
俺の脳では把握できないよ。
脳??
あっ
「能力強化『ブレイン』」
試しに、脳を強化してみた。
なんか、頭がすっきりした気がする。
頭が研ぎ澄まされ、よく働いてくれそうな感覚。
試しに、見ているページを上から下まで見て、目を瞑る。
見た内容を思い浮かべる。
一言一句分かる。
何行目の何文字目の言葉は何か?と聞かれてもすんなりと答えれるだろう。
『ペラペラペラッ』
教本をめくる音だけが、部屋に響く。
「うん。全部読み終えて分かったことは、結構自由に作成していいことだね。存在しないモンスターや動物の絵図は良いけど、存在しているモンスターや動物の絵図は避けられているように感じられた。そこだけ、気を付ければ問題ないだろう」
この家には、きれいなサクラの木が何本も見受けられたな。
分かりやすいから桜の花びらを使おう。
丸い円の中に桜の花びらを真ん中に描いて、色はピンクにしよう。
円は白色かな。
花びらの真ん中は丸じゃなくて小さな☆にしよう。
アレンジ加えたいからね笑笑
「うーん。なんか違うよなー」
美術の成績は中学でいつも1だった俺。
忘れていた、絵を描けないこと。
美術の先生に『雪斗の描く絵は、美しくない。美術とは呼べない。汚れている汚術だな笑笑』と言われた。
自覚のあった俺は落ち込むというよりもその言葉を聞いて笑っていた。
クラスメイトも、先生の言葉に大爆笑していたし笑笑
「指先強化。これ使えばできるだろう」
先ほどまでとは違って、すらすらすらーっときれいな絵図が描かれていく。
家の中に、カラーインクもあったため、紋章に色を付けることも可能だ。
完成。かんせーい。
『ぐぅー』
おなかの虫が鳴った。
まだかな?アマリア達。30分は経ってると思うんだけど。




