☆13 『ファリス・ファム・ラインハルト』とパラリシス
「その3名がポイズンドラゴンから救ってくれた者たちか。ありがとう」
レインさんはそう言うと俺たちに頭を下げた。
再度思ったが、公爵家の者、ましてや、当主の人が軽々しく頭を下げるなんて。
でも、レインさんの娘2人の命を救ったわけだし、これくらいされるのも普通かな?
そう思い1人で納得し、後方にいたアマリア達を見ると、土下座状態だった。
なるほど。これが、やはり普通の対応なのだな。
「いえいえ。どういたしまして。偶然通りかかって、幸いでした」
笑顔で対応する。
「おっと、名乗っていなかったな。レイン・ファム・ラインハルトだ。一応公爵家当主をしている」
そう言って、右手を差し出してきた、レインさん。
一応も何も、当主じゃんっとツッコミを入れそうになった笑
「雪斗 小桜です。貴族ではありません」
レインさんの手を握り返し、熱い握手を交わす。
苗字があるため、貴族かどうか聞かれるのも面倒なので、予め自身が貴族ではない旨を伝えることにした。
「なるほど。貴族ではないのか。まぁ良い。救ってくれた恩人が貴族か平民かなんて関係ない事だからな」
気さくな感じで接してくれるレインさん。
「むにゃむにゃ。はっ!!お父様」
「おとうちゃま」
同じタイミングで起きたアリスちゃんとエリスちゃん
メイドさんに抱っこされている状態から床に降ろしてもらい、泣きじゃくりながら、父親レインさんに抱き着く8歳の2人。
安心して再度、涙が流れたのだろう。
~夕食~
「どうだ?口に合うか?」
アリスちゃんの持ち帰った麻痺を消す泉の水で、足が治ったアリスちゃんエリスちゃんの母親『ファリス・ファム・ラインハルト』さんも同席して、夕食を取ることになった。
「はい。おいしいです。良い感じです」
俺は普通にステーキを食べている。
俺の両隣に座っているアマリア、アシュリンは、がちがち状態だ。
緊張ばかりしていると疲れるだろうに。
帰りは、結界ロープで縛って、ファーストの街まで帰宅かな?笑笑
「本当にありがとうございました」
ファリスさんが何度目かわからない程のお礼を俺たちに言う。
アリスちゃんは金髪で父親と同じ髪色。
エリスちゃんは茶髪で母親と同じ髪色だ。
「いえいえ。どういたしましてです」
「この子たちに何かあったら私は……」
そう言いながら、グラスに注がれた赤ワインを飲もうとするファリスさん。
『ガシャンッ』
「あれ!?」
グラスを床に落とし割ってしまうファリスさん。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫か、ファリス」
俺と、レインさんがファリスさんに近寄る。
他の者は驚いた様子で固まっている。
後ろに控えていた、執事とメイドは、各々、作業を始めた。
消毒液やきれいなタオルを持ってくるのだと思う。
「手、手が急に痺れてきて……」
なんだって??
治ったはずじゃ??
「アイサイト」
帰りの為に一応、魔力を節約しておこうと思い、一時使用しないでいたアイサイトを発動させる。
「なんだ?これは??」
「どうかしたのか。雪斗殿」
俺の言葉に、反応するレインさん
俺が、身体強化魔法や結界魔法に優れていることは伝えてある。
ポイズンドラゴンを倒した方法を教えなければならなかったからだ。
モンスター名:パラリシス
感染 経路:ワルイド子爵が持ってきた、クッキーに混ぜ込まれてあった。
内 容:感染すると、麻痺を引き起こす。感染すると全身をまわり麻痺になるが3日もすれば、パラリシスは死に絶え、感染者は自然回復する。
退治 方法:空気が弱点のため、深呼吸を繰り返せば、回復が早まる。
多分、麻痺の泉の水で、足の麻痺は消えたのだろうが、足から手に向かったパラリシスが手を痺れさせているのだろう。
さて、結界魔法で解決かな??




