☆12 公爵家当主の『レイン・ファム・ラインハルト』
俺、アマリア、アシュリンは、アリスちゃんエリスちゃん、ノアンさん達と同じ馬車に乗った。
流石貴族の馬車と云うだけあって、アグネーゼさんに乗せてもらった荷馬車寄りも、快適な空間だ。
馬車内から外が覗けるように窓が付いているし、ソファーの座り心地もふかふかでくつろげる。
快適、快適。
馬車に乗って数分後、気づいたのだが、魔力草の採取をしていない。
帰りに採取してからファーストの街に戻ろう。
馬車に乗って、数分もしないうちにアリスちゃんとエリスちゃんは寝てしまった。
『スピースピー』と寝息が聞こえてくる。
護衛兼馬車の御者をしていた者が亡くなってしまい居ない為、執事のノアンさんが御者台に座って馬を操っている。
「そろそろ、王都が見えてきます」
ノアンさんが俺たちに聞こえるように言った。
ここまでの道中、特にモンスターは現れなかった。
というのも、アイサイトで確認し、心がグレー寄りの人道に近づいてるモンスターを結界で包囲して魔石だけ抜き取るという行動をとっていたからだ。
一度出した結界を引き寄せたり飛ばしたりと自由に動かせるため、馬車の中にいて事足りた。
「王都、初めてくるわ」
「わくわくします」
アマリアとアシュリンたちは、窓を開け、前のめりになり外を眺めている。
興奮している風である。
ファーストの街よりもかなり大きな城壁。
モンスターから襲撃されても大丈夫なようにかなり大きく長い城壁。
頑丈そうだ。
ノアンさんの隣に座り、世間話をして分かったが、アリアティア大陸の北に位置するアレンシア王国は、代々、比較的温厚な王様のようだ。
各領地を受け持つ領主に税率を高くしないように勧告している良い王様ですと教えてくれた。
街の門所では、長い長い検問の列ができていた。
その長い列を横切り、街の門所を通らず素通りして、50mほど離れた先にある別の門所を通過した。
どうやら、ファーストの街にはなかった貴族用の門所が設置しているようである。
ノアンさんが、御者をしていることに驚いていた騎士たち。
ノアンさんが門番の騎士と少し話をした後、すんなりと、街に入ることができた。
入門料や馬車料は取られなかった。
貴族っていいなー。
街に入ってからも、長かった。
下級層エリア、中級層エリア、上級層エリアがあり、もちろん公爵家の屋敷は上級層エリアにあるわけで、上級層エリアに入る前に再度検問を受けた。
下級層エリアに比べて、上級層エリアは、大きな屋敷、大きな庭、各屋敷に馬車があり、門番がいて、ガラスがふんだんに使われていた。
ガラスは、高級品のようだ。
下級層エリアの家では、窓ガラスとしてほとんど使われていなかったし、中級層エリアの家もちらほらという感じだった。
色々な屋敷を通過して、やっとこさ、ラインハルト公爵家の屋敷に到着した。
鉄でできた門には、馬車と同じ、公爵家の紋章が描かれている。
何とも分かりやすい。
門番は、全部で15名。
屋敷の外を見回りしている者が10名。
合計25名が門番ということか。
かなり、人件費かかりそうだな笑笑
門を通過してから屋敷に行くまでにも長かった。1kmはあると思う。
きれいに切られてある大きな木や、きれいに花壇で咲いている花々たち、公爵家の騎士たちの宿舎や練習場などなどの前を通った。
「うぅー。食べられないのだ」
「食べられないのでちゅ」
そろそろ屋敷のドアが見えてくる頃合いだったので、アリスちゃんと、エリスちゃんを起こそうと揺すった。
2人とも、食べ物の夢を見ているようだ。
流石双子。夢が同じなのかもな笑笑
なかなか、起きない2人。
屋敷のドアの前に停車して、馬車から降りたノアンさんがメイドを呼び、そのメイドさんたちが、アリスちゃんとエリスちゃんを抱っこして屋敷まで運んだ。
27名の騎士の結界を解き、抱っこされているアリスちゃんたちと一緒に屋敷の中に入った。
右と左に長い列を作り、アリスちゃんたちを出迎える。執事とメイドさんたち。
貴族って、大変なんだな―と感じられた。
これを見る限り、終始、誰かに見張られていそうだからだ。
俺は、結構普通に屋敷内に入ったが、アマリアやアシュリンは顔が引きつっている。
緊張しているのだろう。
「亡くなってしまった騎士たちは、馬車の中か?」
「そうでございます」
ノアンさんが簡潔に、答える。
右回りも左回りからでも上がれる2つの階段の右側から、男性が降りてきた。
アイサイトを使用しているから、分かるが、この男性が、公爵家当主の『レイン・ファム・ラインハルト』さんのようだ。
年齢は、25歳。若いな。
アリスちゃん、エリスちゃんたちは、17歳の時の子か
レインさんが護衛の騎士たちが亡くなったことを知っている理由は、王都に着いた時に伝馬を使ったからだ。
馬車よりも、1人しか乗らない、情報伝達をメインにする伝馬は早い。




