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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
御庭番、有坂民部

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小倉にて

明和6年3月29日 豊前小倉 小倉城


長州藩の瀬戸内側要港を巡視し、各地で熱烈な歓迎(台場からの砲撃)を受けたが、過摺りもしなかった。その後、長州藩の船の追跡を受けたので面倒だから撃沈した。うん、東郷ターンで一斉射。綺麗に決まった。


それから関門海峡を抜けようとしたのだが、流石におちょくり過ぎたらしく、長州藩がキレたようだ。


関門海峡の複数の台場から今まで以上の歓迎を受けた。驚いたことに大鉄砲なども投入したらしい。強装弾まで使っていて一部の弾丸が舷側に命中した。


だが、増速して海峡を通過したことで結局は被害らしい被害は出なかった。


長州側の台場の欠点は史実と同じく、海岸部の平地に陣地を構築し、そこに大砲をずらっと並べるタイプであった。お陰で、下関戦争の欧米連合艦隊と同じ様に攻略すれば良いと結論付けることが出来た。


江戸を出て10日、やっと洞海湾に錨を下ろした。想定よりも時間が掛かったが、瀬戸内側の状況は把握できた。


九州随一の譜代大名小笠原氏の預かる小倉藩は15万石。豊前北半分を領有する大藩だ。南半分を領する奥平家中津藩10万石と小倉藩が九州における幕府側の橋頭堡である。


江戸在府の藩主小笠原伊予守殿から頼まれている小倉藩領における鉄道事業の件を小倉藩に説明、後に家老となり小倉藩の財政再建で活躍する犬甘知寛を小倉滞在中の取次役としてもらった。勿論、江戸で伊予守殿に口添えして工作したのは言うまでもない。


犬甘殿に事業計画を一通り説明し、小倉城内にダイジェスト版のミニ鉄道を設置、それを元に家老や奉行、小倉の商人たちに実物を使ったレクチャーをし、藩主の命であり、小倉藩の財政と国力の要であると力説した。


イマイチ、彼らの反応は鈍いものであったが、実際に石炭を満載したトロッコが動くところを見ると非常に乗り気になってくれた。そりゃ、大八車やモッコで運ぶよりも効率的なんだから当然だろう。


そんなわけで、小笠原伊予守殿との約束を果たしたわけだ。


実際の鉄道建設は西隣の福岡藩黒田家との兼ね合いもあるので、当面は現代で言うところの日田彦山線、日豊本線、田川線を基本として建設する方向に持っていった。本当は平坦な鹿児島本線、筑豊本線、後藤寺線の整備が楽であるが、ここは福岡藩領を経由するだけに黒田家の許可を得ねばならない。


まぁ、欲張っても仕方ない。


一つの問題が解決したが、本題の方はまだ未解決。こっちが本丸。こいつをどうにかしないと帰れない。


というわけで、幸太郎に長州藩領への潜入を命じることにした。義弟にそんな真似させるとか鬼畜の所業だと言われるかもしれない。だが、敢えてそうすることにした。


「幸太郎、小倉の豪商陸奥屋の若旦那の振りをして、手代や番頭と一緒に長州へ潜入するように。」


「義兄上、何故、若旦那の振りをするのです?」


「お前さん、ついこの間まで豪農の跡取り、若旦那だったろう?簡単なことだろ?いつもと変わらないそれで、陸奥屋の使用人に応対すれば良いのさ。それで怪しまれない。」


「あぁ、そういうことですか。でしたら、容易いことですね。」


「ちなみに陸奥屋は鉄製品を扱う商人だ。だから長州の日本海側に点在するたたら製鉄関係と接触することになる。そして、萩城下で相良みたいに反射炉や高炉が稼働していたら、その場所と数を記録して戻ってくるように。期限は10日。出来るか?」


「些か期限が厳しいかと・・・。調査範囲を絞らないとなりませぬ。」


「萩、須佐、あと2箇所程度で構わない。要は反射炉を見つけるだけで良いのだ。調査ポイントは陸奥屋の連中と相談して決めれば良い。あと、陸奥屋に金子を預けてある。怪しまれない程度に適当に買い付けてこい。」


「では、こちらにお任せいただけるのですね。なんとか、やってみましょう。」


「頼んだぞ。無事で帰ってきてくれよ。」


力強く首肯いた幸太郎を見送って、小倉藩との折衝に再び向かったのである。



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