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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
新天地相良で一旗揚げよう
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法螺吹きの領内検分<城代家老に絵に描いた餅を献上する>

明和4年8月、相良陣屋


さすがは当主代行の意知様、あっさりと陣屋内に通してもらえた。だが、問題はこれからだ。城代家老三好殿を味方につけなければ相良領内の産業革命は絵に描いた餅だ。


「意知様、此度は如何なるご用向き?江戸より御出でになられるなど前代未聞。」


「父上の名代として、領内検分と領内の発展について話をしたいと思い参った次第。」


「各務殿は意知様の警護と勘定方としてお役目と推察いたしますが、そちらの御仁らは・・・。」


「右に居るのが私の側用人となった有坂総一郎、左に居るのが平賀源内殿。いずれも相良領内の発展に献策してきた者たちである。」


「領内発展と申されましても、殿の命に依り藤枝よりの街道の整備など今現在進めておりますものもありますれば、今暫く効果が出るまで時間がかかりますが・・・。」


「総一郎よ、四郎兵衛に例の献策を話すが良い。」


「有坂総一郎にございます。江戸にて殿に献策いたしました相良産業革命5ヶ年計画を簡単に説明いたします。」


江戸にて披露した現代メタ情報による相良(牧之原台地)の資源及び産物の可能性・・・相良油田、牧之原台地の茶畑開墾による外貨獲得を目指すことを改めて城代家老の三好殿に説明、順調に進んだ場合、第二次5ヶ年計画として石油を利用した蒸気機関の普及と蒸気船の就航など順に話していった。


「有坂殿、その蒸気機関とはどういったものか?草水は燃える水と知っておるが・・・。」


「三好殿、簡単に申しますと、草水を燃やし、水を沸騰させ、出来た湯気を集め、その湯気の力で水車を回すと考えてくだされば構いません。これは、草水でなくても木炭や燃える石・・・石炭であっても同じ様に出来ます。が、折角領内に草水・・・石油が採れるのですから、それを使うのがよろしいかと。」


「して、その草水、石油はどこにあるのか?」


「海老江の谷付近にあろうかと・・・。付近の住人に探索させてみるべきです。」


「ふむ。その探索は有坂殿、そなたが指揮なされい。平賀殿は、如何に?」


「蒸気機関が実用化されたならば、廻船の風待などせずとも江戸にも大坂にも出向けまする。また、到達時間も早くなるでありましょう。」


「相分かった、そなたらの言い分、承った。が、蒸気機関とやらの話は魅力的であるが、茶畑の開墾は些か難しくはないであろうか?あの地は民も不毛の大地と思うておる。農地に適してはおらん。」


「水はけが良い地ですので、肥料さえ適宜入手できれば茶の栽培を促進できると考えております。肥料も領内の網元に干鰯を調達させ、それを右から左へ・・・。茶の栽培が軌道に乗りましたら肥料の調達費も十分に賄えます。まずは、茶の栽培、そして江戸、京、大坂へ海路によって大量輸送という段取りでございます。」


「蒸気船とやらが就航すれば、他の産地よりも早く消費地に届けられ、利益が増えると・・・そなたらは言いたいわけだな?」


「左様でございます。勿論、茶だけではなく、他の産物の輸送にも相良の廻船問屋が幅を利かせることになるでしょう。さすれば、廻船問屋からの運上金、冥加金だけで、年貢を徴収せずとも藩の財政が運用できることでしょう。」


「まさに絵に描いた餅であるな。」


「真に美味そうな餅でございましょう?しかしながら、絵ではなく、真の餅にしてご覧に入れます。そのための私と源内殿でございます。」

相良油田に関する部分の矛盾する部分を改変しました。

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