佐陀川開削事業の開始
明和5年4月26日 出雲松江 満願寺
昨日到着したばかりの源ちゃんを伴い、現場指揮所である満願寺へ。源ちゃんに検討している3つの案を提示した。
甲案:現代と同じ。歴史上2年の工期を1年~1年半程度に短縮。
乙案:河川用蒸気船が相互通行可能な川幅。工期2年。
丙案:スエズ運河の方式。大型船交互通行とし、佐太神社北東に人造湖を造成し、ここで方向転換と行違いをする。工期2年半~3年。
「源ちゃんは、この3つの案でどれが最も適切だと思う?」
「単純にこれは難易度別だねぇ。オレっちは丙案を推すよ。総さんは甲案なんて端から考えちゃいないだろうから、乙か丙ってことになるだろうね。で、本命は丙だと睨んだ。」
「まぁ、そうなんだけどね。これ、甲乙丙と工事予算が二倍ずつ増える・・・。つまり、甲よりも丙は四倍予算が必要なんだ。」
「甲と乙の違いは川幅の違い程度だから、そんなもんだろうね。乙と丙の違いは川幅は同じで人造湖が増えるわけだろ?で、問題はその人造湖だと、そういうことだろう?」
「そう。」
「んじゃあ、第一期工事で乙を仕上げて、排水能力の確保を優先すべきだとオレっちは思うぜ。その後に、新田開発を進めて、順次人造湖築造に取り掛かる段取りが適当じゃないかと考えるんだが、どうよ?」
「工期が延びるよ?その分、費用も増える。」
「工期は延びるけれど、その代わり開通したら通行料が手に入るし、新田開発出来ればその分の追加報酬が期待できるわけだから、それで補填すれば良いと思うがね?それに恵曇と松江の間を航行するのは大型船だけじゃない。陸路よりも早く着くのだから旅客も短距離貨物も舟運に移行するさ。それの運賃も稼げる。」
「なるほど、そうだね。なら、佐太神社辺りの鳥居前町を整備してそこにカネが落ちるようにすれば、もっと効果的だね。旅客船の休憩ついでに上陸させれば良いわけだし、参詣客も手に入る。」
「じゃあ、当初は大型船が通れる水深と幅を確保するってことで工事を始めようか。総さん、松江の殿様には、そう伝えて来てくれるかい?オレっちは測量とか実務の指揮取るからさ。」
「源ちゃん、悪いね。」
「良いってことよ!結奈殿にオレっちの相談役って立場を取られてしまって拗ねていたところだから嬉しいのさ!」
源ちゃん、知らないところで結奈に嫉妬していたらしい。確かに、源ちゃんに相談できないことも結奈に相談したら適切なアドバイスが返ってくるから結奈を無意識で頼っていたかもしれない。これからは、この時代の大事な相棒である源ちゃんをもっと大切にしないといけないな。




