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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
松江藩での日々

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おもてたんと違う!

明和5年4月10日 出雲松江 満願寺


佐陀川開削について現地調査をするため、松江城より西に半里に位置する満願寺に来ている。満願寺は戦国時代、第二次月山富田城籠城戦の前哨戦において、毛利水軍の前哨基地として機能した満願寺城の跡地である。宍道湖に突き出た小高い丘であり、西の平田、宍道などと連絡を取るのに都合が良い要地であった。


歴史上では約20年後の天明年間に不昧公、松平治郷はここに佐陀川を開削させているのであるが、彼らが始めるより前に、しかも大規模な形で佐陀川を開削させようと企んでいるわけであるが・・・。


現地に来て、予定ルートを巡行してみると、思いの外平坦な地形であるが、佐太神社近辺で山が両側から迫ってくることで想定よりも川幅(運河幅)を取れないこと、佐太神社の北から恵曇へ90度ターンをするという問題にぶち当たった。しかもターンする部分も山が迫っているため、船溜を造って回頭しやすくするという方法が取りにくいことも判明した。


しかし、工事そのものは、工事用具さえ整えれば、然程難度の高いものではなく、歴史上2年で仕上げたという実績を裏付けるものだと確信を得た。


また、工期延長さえ許容するならば、大型船の直航を可能にする工事も可能であり、この場合、佐太神社付近の山をいくらか切り崩せば良いだけである。


現代にも残る佐陀川の場合、プレジャーボートが遡上できるかどうか程度の川幅なだけに、それでは水運には大きく寄与できないのは間違いない。やろうと思えば、艀を長大編成で・・・というのも出来なことはないが、これだと佐太神社カーブで問題が出るのは間違いないだろう。


そこで3つのプランを提示することとした。


A案:現代と同じ。歴史上2年の工期を1年~1年半程度に短縮。

B案:河川用蒸気船が相互通行可能な川幅。工期2年。

C案:スエズ運河の方式。大型船交互通行とし、佐太神社北東に人造湖を造成し、ここで方向転換と行違いをする。工期2年半~3年。


やはり、机上の空論を現実の地形にリンクさせると、いくつかの無理が生じる。理想ではC案であるのだが、工期は兎も角、工費が捻出するのに苦労するのは目に見えている。現実的な条件はA案の拡大版であるB案になるだろう。排水能力も担保出来、その上で最低限の水運強化も出来る。A案では歴史上と同じく、排水能力の代替にしても役不足であるのは明白であるし、水運にはほとんど寄与しない。論外だろう。


だが、イマイチ決め手が・・・。そう、B案の場合、松江の貨物取扱量の飛躍的拡大は実際はそれほど見込めない。なぜなら、大型船が乗り入れできないことが大きく響く。恵曇で河川用蒸気船に載せ替えるという手間も増える。


やはり、C案で行くべきだろうか?源ちゃんか結奈がここに居たら適切な助言をしてくれるんだが・・・。

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