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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
陰謀渦巻く西国道中

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説得失敗

明和5年3月15日 備後福山 福山城


三井高清ら越後屋の一行に技術顧問として相良財閥の技術者とともに福山くんだりまで出張ってきたのだが・・・。福山藩の城代家老などからは歓待された。どうも、私が思っていた以上に福山藩は財政がやばかったらしい。救世主到来といった感じだろう。そのうち有坂大明神とか言って祀られたりするんじゃなかろうかと思うくらい歓待された。歓待してくれたのは福山藩重鎮だけじゃなく、福山藩の領民たちもだった。どうも触れ書きが出回ったらしく、行く先々で歓待されて、一向に予定が消化できなかった・・・。福山藩の鬼畜な年貢や御用金供出から救ってくれた救世主扱いだ・・・。どういう内政していたんだ? 


想定以上に時間がかかったが、なんとか福山藩領で適当な場所を選定した。福山城から東に半里、深津と呼ばれる場所だ。現代で言えば、東福山駅やJFEスチールがある辺りだ。もっとも、JFEは海を埋め立てしたところにあるのだけれど。


なにせ、この近辺、遠浅なもんで外洋船みたいな喫水の深い船はお断りである。かと言って、水深が確保できる場所なんかだと他藩との境に近いし、あまりにも福山城下から離れる。よって、若干の妥協をした結果が深津であった。


まぁ、どうせ三井の製鉄所だから多少の嫌がらせという側面もある。一度に運べる量が少なければ、コストの分だけ価格高騰するのだから競合するにしてもこちらに有利となる。


そんなことをしているうちに半月経ってしまったわけだ。


時間こそ余分にかかっているが、私の当初目的は果たせた。あとは源ちゃんの首尾である。


「総裁~源内殿から書状が届きました。」


待っていたものがようやく届いた。


「宛:有坂総一郎、発:平賀源内」

「高松藩での周旋、失敗した。やっぱり松平頼恭様はオレっちのこと許してくれないらしい。」

「仕方がないので、津山藩に向かう。高松藩への周旋は総さんが担当してくれ。」


あぁ、やっぱり奉公構って結構根に持ってるんだね・・・。失敗したなぁ。今度は老中阿部正右殿を動かしてなんとかするか。高松の殿様は3年経てばあの世行きの筈だし・・・まぁ、老中阿部殿も来年あの世行きなんだが・・・。しかし、高松抜きだと西国への押さえが弱くなるなぁ。


よく考えたら津山藩主松平康哉殿は後の老中松平定信殿と懇意だったよなぁ。無理があったか・・・。だが、松平康哉殿本人は非常に名君であるし、道理を説けば・・・。あと、松江藩主は松平治郷殿か。彼もまた名君。不昧公の名は伊達ではない。最低でも越前系松平家2家を説得できれば・・・。

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