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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
それぞれの思惑

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Another View 神庭結奈4

明和5年1月20日夜 有坂邸


彼が帰ってきた。なんか頭抱えてる。彼と暮らし始めて3週間。こんな表情みたの正月以来だ。もっとも、あの時とは困惑とか憂鬱という感じだが、今回は割りと深刻な感じである。現代での付き合いでもこういう表情はあまり見たことがない。現代では悩みがあれば割りと素直に相談してくれたのだけれど、今回はどうなんだろうか?


「おかえり。ひどい顔だね。どうしたの?」


「あぁ、結奈か。ただいま。なんでもないよ・・・。ふぅ・・・。風呂沸いてる?沸いてるなら入るけど。」


「沸いてるよ。で、相談乗るけれど、話してくれないの?」


「ん・・・あぁ、もう少し考えてみるよ。」


どうやら、相談するつもりがない・・・というわけでもないらしい。話せない内容というわけではないけれど、彼の中では考えをまとめるまでには至ってないようだ。


なら今、私が彼に掛ける言葉はこれだろう。


「考え過ぎで湯あたりしないでね。」


「あぁ、注意するよ。」


そう言って彼は風呂に向かっていった。


さて、どうしようか。風呂を上がるまでに彼は考えをまとめているだろうか?まぁ、無理だよね。あの調子だと今日一日中頭抱えていたんだろうし、そもそも、彼があんなふうになるってことは想定外の事態が起きていて、しかも自分があずかり知らぬことであるのに当事者になっているということなのだろう。


なんで分かるかって?長い付き合いだしねぇ。

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