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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
邂逅

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再会

明和5年1月1日 相良陣屋(相良城建設現場)


鉄道の開業記念式典を終えた私は、相良藩国元衆の新年の挨拶があるので相良陣屋に向かわなければならない。まぁ、城代家老の三好殿と国家老の井上殿の新年の挨拶が終われば、あとは酒酌み交わす程度だから新年のお仕事はすぐに終わる。


年末にどこぞのオッサンがタワケたことを抜かしていたが、取り敢えず、無視する方向で。私は何も聞いていない。うん、あれは偽書だ。そう、意次様があんな寝言を言うはずがない。きっとそうだ。そうに違いない。


新年はあんな寝言みたいな話を綺麗サッパリ忘れて、産業革命に邁進するぞ!


と、意気込み、陣屋の大広間に踏み込んだ。・・・のだが・・・。


「お集まりの皆様、大変お待たせ致しました。中央駅での式典で少々時間がかかりまして、申し訳ござらん。」


「有坂殿、待っておったぞ。」


「中央駅で随分と大風呂敷をやらかしたそうであるな。正月早々、全く困った御仁だ。」


「いやいや、オレっちの試作蒸気機関車が、祭り囃子に合わせて景気良く煙を吐いて動き出したのには感動もので・・・。」


「有坂殿、平賀殿。実は新年の挨拶は終わってござる。」


あぁ、終わってたんだ。まぁ、堅苦しいことしなくて済んだからよしとするか。源ちゃんと祝い酒を飲み直すか?


「では、我らはこれにて。盃会の関係者と祝い酒の宴席を出向きます故。」


「いやいや、本題が残っておる。結奈殿、こちらへ。」


ゆいな?誰だソイツ?なんだか嫌な予感が・・・。


あ~、なんか来た。というか、なんで白無垢なんだよ。誰か結婚するのか?誰だよ。聞いてないぞ?


「神庭結奈でございます。」


かんばゆいな?どこかで聞いた記憶のある名だな。どちらのかんばさん?


「この場に居るものは、皆、既に見知っておる故、有坂殿にのみ紹介するとしよう。」


あぁ、こいつらグルか。ってことは源ちゃんが見つけた転生者ってのがこのお嬢さんか・・・。


「先日、平賀殿から報告のあった、第二の転生者が彼女、神庭結奈殿である。なお、この度、殿の養女となられた。そして、結奈殿の婿が有坂殿、お主である。」


あー、きこえないー、なんにもきこえないー、わたしはなんにもきいてないー。


「諦めて現実を見なよ、総さん。彼女は、総さんの知り合いだそうじゃないか。」


あいつかー、あいつなのかー、やっぱりあいつなのかー。


「有坂殿、いえ、総一郎、往生際が悪い。そんなに私が嫌なの?」


「嫌とかそういうのじゃない。というか、なんで君がここに居るんだ。そして、なんでこんな格好をしているんだ。」


「いや、だから、総さんの嫁御なんだって。」


「嫁とか早い。というか、どういう経緯でこんなことになったんだー。畜生め。」


「知らないわよ。私も春に覚醒して驚いていたのに、相良の城下が秋には明治村状態とか、わけのわからないことになってるし、その黒幕があなただっていうし、こっちこそどうなってるのって聞きたいわよ。」


「だめだこいつ、はやくなんとかしないと・・・orz」


「こっちのセリフよ。」


「なんだ、仲が良いじゃないか。」


いや、悪くはないけれど。なんでこんなことに・・・。


「色々考えないといけないから、頭がどうにかなりそうだ・・・。源ちゃん、盃会の宴席、任せるわ。私は自室に戻るよ。」


「ちょっと、私はどうするのよ。」


「知らん。」


「何よ、それ、酷いわね。」


酷くて結構だ。こっちはそれどころじゃない。何を言ってるかわからないと思うが、私もわからない、頭がどうにかなりそうだ・・・。


「結奈殿、総さんについて行きなよ。ここじゃ、どのみち結奈殿の生活には不便だし。総さんもいい加減、盃会の執務室暮らしじゃなく、支給された自宅で生活させないといけないからねぇ。」


なんか、話が進んでるが、もうこっちは頭がどうにかなりそうな状態だから放っておく。新年早々、なんてことだ。悪夢だ。


「これは悪夢だ。なんて初夢なんだ。畜生め。」


そう叫ばずには居られなかった。

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