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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
動き出す雄藩

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ドヤァ!by平賀源内

安永2年6月10日 遠江国 相良


 源ちゃんこと江戸時代の発明王平賀源内が遠州相良に引きこもってから1年。


 彼は内燃機関の研究を進めていた。相良にはチート油田である相良油田があり、精製なんてしなくてもガソリンが手に入るという特殊条件が成立していたため、彼は日々研究と施策と実験を繰り返していたのである。


 この数年で蒸気機関は一定の成熟したレベルに到達しているため、技術蓄積というアドバンテージによって内燃機関の開発が細々とではあるが進められていたのである。


 しかし、冶金技術、精密加工技術、密閉性確保などの問題でことごとく失敗しており内燃機関の実用化は難航していたのだ。


 そこに源ちゃんが介入したことで資金と資材が大規模投入されることとなり、現地開発陣は俄然やる気を出し、その研究はさらに熱を帯び、過去の研究と実験の結果を再検証し、相良5社もその研究に沿って冶金技術など基礎技術の向上を図っていた。


「これでどうだ!」


 数日前に相良5社から届いた部材を組み立て、いくつか仕様や数値を変えた試作品が完成した。


「平賀殿、今度はうまくいくと我ら相良5社も自信を持っています!」


「左様、今までの研究であたりを付けることが出来た。これで、あとは強度や耐久性を検証出来れば実用化は目前だ!」


 彼ら開発陣は蒸気時代真っ盛りにおいていつ完成するともわからない新技術に取り組んでいることで日陰者扱いされてきたが、この日遂に報われることになったのだ。この日開発成功したエンジンは、主導した鈴木という技師の名をとり鈴木式発動機と命名され、後日、彼を社長とする鈴木原動機株式会社が設立され相良に大規模な工場が建設されることとなる。


 源ちゃんと開発陣は耐久試験を行い、満足いく結果が出たことで内燃機関実用化の第二段階へと歩みを進めた。鉄道車両への内燃機関の搭載である。


 彼はすぐさま国鉄から鉄道技師の派遣を依頼する旨を書状にしたため私に送ってきたのである。


 源ちゃんからの書状でこの顛末を知った私は思わず口にした。


「まさか、スズキがこの時代に出来るとかどうなってるんだろうか……」


「旦那様?すずきって?」


 お茶を飲みながら隣でくつろいでいた結奈が不思議そうな顔をして聞いてきた。


「あぁ……なんか相良にスズキが出来たそうだ。多分、結奈も知っているスズキだ……」


「バイクとか軽自動車の?」


「あぁ、それだね……私は源ちゃんに自動車業界のこと話した記憶ないんだけどな……」


「そのうち、ホンダとか出てきそうね……冗談抜きで……」


 まさかね……。ただの偶然だと信じたい……。

相良にはスズキの工場とコースがあるんですよね。で、思いつきました。


ええ、そろそろ内燃機関を登場させる必要が出てきたので……。

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