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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
国有鉄道への道

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実験失敗!?

明和8年10月27日 大井工場


 試験用の物見台が新橋駅と大井工場に設置された。両方共高さ10mの物見台を用意した。


 私も大井工場に出張って実験に立ち会っている。


 この時代、高層建築と言えば寺院の五重塔や三重塔、そして江戸城などに代表される城郭の天守閣や重層櫓くらいなものであり、その多くが10~20m程度である。江戸城天守閣など破格で約60m、姫路城大天守約30mの倍の高さだ。


 そう、この時代には高層建築などほとんど存在していない。よって、発光信号による通信を邪魔する高層建築がないため10m程度あれば十分だと考えた。実際、現代においても小型の灯台であればその程度だ。東洋一の大灯台と言われる日御碕灯台(灯台本体約40m、灯火標高約60m、江戸城天守閣よりも少し高い)などは別格だ。まぁ、灯火標高が高ければ灯台本体そのものは低くても大丈夫ってことなんだろうな……。


 新橋駅と大井工場は約6km、1里半ってところだ。戦艦大和型の150cm探照灯の有効照射距離が12kmであるから約半分。新橋駅からここ大井工場まで発光信号が届かない距離ではないと思う。


「実験開始!」


 発光信号の送信時間や送信の合図など事前に入念に準備を行っている。また、モールス符牒も実験担当者に何度も訓練をして短文の繰り返し送信をマスターさせている。


「新橋駅からの狼煙を確認、続いて発光信号受信用意!」


 順調に実験は進んでいるようだ。事前の訓練通りだ。


 空は澄んでいるし、霞などないから視界はとても良好だ。まさにこの実験の成功を祝いでいるかのようだ。素晴らしい!


「発光信号、確認出来ず!繰り返す、発光信号、確認出来ず!」


「観測員、遠眼鏡で確認しろ!狼煙係、再度送信の狼煙を上げろ!」


 発光信号が届かない?どういうことだ?こちらから新橋の物見台は視認出来ている。なぜだ?


 観測員や狼煙係などが事前に決められた手順で新橋に再実験の伝達を行うため動いている。


「新橋から再実験の狼煙を確認、今度は遠眼鏡と目視の二段構え!」


「目視観測員、確認出来ず!」


「遠眼鏡観測員、発光信号を確認!ホンジツテンキセイロウナレドカゼツヨシ」


「もう一度来るぞ!」


「再度確認、ホンジツテンキセイロウナレドカゼツヨシ」


「受信を確認、狼煙係、受信を知らせろ!同時に返信の狼煙も上げろ!」


 どうやら目視では無理だったが望遠鏡では確認出来たようだ……。しかし、目視確認出来ないというのはどういうことだ?


「返信、オオイノソラハレノチクモリ、オオイノソラハレノチクモリ」


「送信完了」


「新橋より受信の狼煙確認」


「実験終了!撤収!」


 実験の日程が終了、実験班は大井工場から新橋の本社へ撤収するようだ。


「う~む……これは困ったことになったなぁ……思ってたんと違う……」

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