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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
トンネル越えたら明和4年の江戸でした

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呼ばれてないし、飛び出てもないけれど・・・じゃじゃーん

長く暗いトンネルを抜けると井戸の底だった・・・。


そこには今まで通ってきたトンネルなどどこにもなかった。私はそれを「当然だわなぁ。」と変に悟ったように呟いた。


仕方なく井戸から這い上がる。登りにくい・・・。


「なんだってボルダリング紛いなことをせにゃならんのだ。責任者呼べ。」


文句を言っても始まらない。登るしかない。


「よっこいしょっと。どこだここ。映画村っぽい感じだけど。」


見た感じは京都にある映画村なんだが、酷く違和感を感じた。映画村と言えど現代っぽい雰囲気はそこかしこに感じられるが、それがここにはない。


「これは・・・ガチで江戸時代とか、そういう時代の街、建物ってことか?」


呑気にそんなことを考えている場合じゃないと頭の何処かから警告が発せられている。であるのだが、現実への理解が追いつかない。追いついてもそれはそれで困るのだが・・・。


ガタッ


「やべっ、見つかる。」


いきなりヘマをした。暫く様子をうかがうつもりだったのに、見つけてくれと言わんばかりのヘマだ。これで見つからないほうが奇跡だ。


「誰かそこにおるのか?」


うん、気づかれてしまったよね・・・。出る?出ないと時代劇的にはアレだよね。うん、出あえ出あえ!ってね。まだ死にたくない。出ますよ、出ればいいんでしょ?殺さないでね。


「い、命ばかりは、お助けを。」


「何をしておった?幕府や大名の隠密ではなさそうであるしな。その方、オランダ人の様な装束と面妖な出で立ち、何者だ?」


まぁ、不審に思われるよね。というか、自分の格好、所謂スーツだもんな。


「何者と言われましても、説明に困ります。」


そんなこと言われても相手も困るわなぁ・・・。どうしようか、展開的にそろそろ家人呼ばれてしょっぴかれるよなぁ。って、向こうから呼んでもないのに来やがった・・・。


「田沼様、ご登城の支度できましてございます。そちらの面妖な者は?」


「源内の知人で、挨拶に参ったそうだ。儂は登城するゆえ、饗してやるが良い。おぉ、名を聞いておらなんだな?なんと申す。」


ん?田沼?田沼ってアレだよな。ってことは、この御仁は田沼意次か?なら、この人物は話せば味方になりそうだ。


「改めて名乗らせていただきます。平賀源内より紹介されました有坂総一郎と申します。田沼意次様。」


思いっきり嘘言ってしまったが、大丈夫だろうか?それと意次であってくれよ。外れたらヤバイし!


「田沼意次である。後ほど、話を聞くゆえ、帰りを待つが良い。」


とりあえず、当たっていて良かった。なんにしても、これからは情報収集だ。迂闊なことは言えないし、彼が田沼意次本人であるとして、如何様に交渉するか・・・。知識を開示しても信じてもらえないだろうし、あと、正確な年代がわからないと・・・。


「・・・さま、有馬様。」


やべ、家人が苛ついてる。思考の沼にハマって放置しすぎたらしい。家人に従って饗しを受けて暫く時間を稼ごう。思考するにしてもここじゃどうにもならんしなぁ。

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