表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

02 『面白い』と『楽しい』


 前項で『面白い』の差は、人生経験であるという結論を出してしまったが、それだけでも自分が楽しくないので、もう少し話を広げてみたい。


 メジャーリーガー、イチロー(鈴木一朗)氏の言葉に、こういうものがある。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○


 ――僕にとっては、高校を出てすぐの92年にプレーしていたオリックスの2軍、あのチームの雰囲気は最高でしたから、すごく楽しかった。

 ――でも、『楽しい』のと『面白い』のとは、ちょっと違うと思います。

 ――いまだって、草野球の中に入って野球をやれば楽しいし、きっと笑いっぱなしですよ。

 ――でも、『面白さ』というのは、そういう次元では味わうことができない。


 ○ ○ ○ ○ ○ ○



 これも前項で出した、『面白い』=『すごい』の意味で使っていると捉えていいだろう。


 注目したいのは、対比として使われている『楽しい』という言葉だ。

 『面白い』と『楽しい』は別物として扱われているが、これを明確に説明できる人はいるだろうか? そもそも違いを意識しているだろうか?

 日常生活の中では、ほとんどの人は意識せず、同じ意味として認識しているのではないだろうか?


 この辺りとつらつらと考えて書いていくと、軽く数万文字単位になってしまいそうなので、簡略する。


 『面白い』と『楽しい』は、似ていても違う。少なくとも全くの同じではない。

 その根拠の一礼になるのが、反対語だ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○


【面白い】の反対語・対義語・対照語


①つまらない



【楽しい】の反対語・対義語・対照語


①つらい

②苦しい

③切ない


(出典 反対語大辞典)


 ○ ○ ○ ○ ○ ○


 参考によっては『楽しい』の反対語に、一部『つまらない』が入っている場合もあるが、『つらい』や『苦しい』を併記しているのはほぼ確実なので、無視する。

 ここで重要なのは、『面白い⇔つまらない』『楽しい⇔つらい』の関係性だ。


 例グループその1。

 エベレスト登山や大陸横断など、現実の冒険家が行う冒険。

 必ず大泣きするのがわかっているけど、見たくなる物語。

 シャレにならないほど難易度が高い、中毒性のあるゲーム。


 例グループその2。

 学校からの帰り道、ずっと歩道と車道を分ける白線の上を歩く。

 単純作業。

 普段。仕事。勉強。部活動。


 例グループその1は、『つらいけど、面白い』という例だ。

 例グループその2は、『つまらないけど、楽しい』の例だ。

 人によってそうは感じられず、賛同できない部分もあるだろうが、世間一般でそういう風に言われる、という意味で挙げた。そもそも『面白い』と『楽しい』を切り分けて考えようとしている時点で、納得できない人は納得できないだろうから、そこはもう無視するしかない。


 言葉にすれば相反しているように思えても、両立する状況が存在する。

 だから『面白い』と『楽しい』は、別物と考えたほうがいい。


 『つまらないけど面白い』や『つらいけど楽しい』もありうると主張する人がいるかもしれないが、それは元々『面白い』と『楽しい』が混同されがちだからだ。今は明確に切り分けて考えているから、そんな反論も無視する。



 言葉の使い方も、そもそも違う。

 『面白い』は、評価だ。対象となるものの性質を言い表している。

 対して『楽しい』は、その言葉を発した人物の心情だ。


 だから意味や使い方は似ていても、取替えが効かない場合がある。


①私は楽しいです。

②私は面白いです。


 中学英語の教科書みたいで日常的に使うセリフではないが、①の文章はまぁ、納得はできる。『今』を追加して時制を強調すれば、違和感もマシになる。

 けれども②は自慢か、ハードル上げにしか思えない。きっとこの人は抱腹絶倒のギャグをかましてくれるのだろう。けれどもスベる未来しか見えないのは偏見だろうか。



 面白いは、ひとりで感じること。(上で評価と書いてるから、ここで『感じる』と書くのは間違いなんだが)

 本質を言い表そうとしているのであって、原理的に誰かと共有できない、と考えることができる。


 楽しいは、誰かと一緒で得られる感覚。

 賛同が得られるかは別問題だが、誰かと感覚を共有しようとする行為・言葉と考えることができる。


 ここをゴチャ混ぜにして考えると個人差が生まれるため、『面白い』に温度差が生まれることになる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ